NPO法人 Kacotam
学習支援活動で『貧困の連鎖』をくい止めたい
子どもが夢を諦める社会を変える
子どもの貧困が社会問題となっている中、親の経済的な問題など、子ども自身ではどうしようもない理由によって、 学びの機会が失われ、高校や大学への進学を諦めざるを得ない子どもたちがいます。その結果、学力の低下だけでなく、将来を諦め「自分はどうせだめだ」と自己肯定感も低下しがちになります。
札幌市のNPO法人Kacotamでは、WAM助成を活用しながら学生ボランティアなどによる学習支援活動を行い、「楽しい学びの場をつくること」を目指し、「学びの機会の提供」と「自己肯定感の向上」をキーワードに活動しています。
団体名の「Kacotam」とは、
・「自ら考える」の「か(Ka)」
・「行動する」の「こ(co)」
・「楽しむ」の「た、む(tam)」
合わせて「かこたむ(Kacotam)」という名称にしたそうです。
制度上の学習支援では対応できないニーズに
現在、札幌市では市の委託事業として生活困窮者自立支援制度による学習支援事業が展開されていますが、制度で行う以上、「ひとり親家庭」「生活保護世帯」といった一定の要件を設定せざるを得ません。しかし現実には、生活保護の手前のボーダー層の家庭や、両親がいても経済的な課題を抱えている家庭、多子の家庭、あるいは手帳の取得のない軽度の発達障害などによって、特別な配慮の必要な子どももたくさんいます。
そして、これらの子どもたちは制度的な支援を得られない分、かえってハイリスクとなる可能性も秘めており、Kacotamではこうした子どもたちへの支援を積極的に取組むことで、単なる制度の補完だけでなく、民間ならではの柔軟性を持ち味とした活動を展開しています。
学力だけでなく、意欲も向上させたい!
KacotamではWAM助成を活用して、小学1年生〜高校3年生を対象に札幌市内の4か所の拠点で学習支援の活動を展開しました。教える側のボランティアには約80名の方が登録されていて、そのうち大学生が50名、残りの30名ほどが社会人。1対1を基本にし、学習に遅れのある子に対しても粘り強く教えていきます。そして、単に勉強を教えるだけでなく、一緒にお菓子を作ったり、雑談をする時間を設けるなど、子どもたちとの関係づくりを大切にしています。
また、「カコタイム」という時間を作り、ボランティアメンバーが趣味やスポーツなど勉強以外の自分の得意分野のテーマを決めて、これまでの経験や知識などを話すことで、子どもたちが視野を広げるためのきっかけづくりもしています。
このような取組みにより、ボランティアが、年齢の近いお兄さん、お姉さんとして身近なメンター(助言者、モデルとなる人)の役割を果たすことで、子どもたちが「自分もがんばって進学して、いろいろな可能性を切り拓いていこう!」と考えられるようになります。またこうした温かみのある支援によって、表面的な学力だけでなく、学習意欲そのものを向上させ、志望校への合格を果たしたり、不登校だった子どもが再び登校が可能になる等の成果がありました。
新たな挑戦に向けて
Kacotamでは、平成26年度に実施した学習支援事業をさらに継続、発展させて実施しています。今年度は、国語・数学などの教科以外に自然学習などを取り入れたり、将来なりたい職業について学習する「お仕事カコタム」という時間を設けるなど、メニューをさらに充実して実施しています。また、支援拠点に通うことができない子どもを対象とした訪問型学習支援や、発達障害などの課題のある子どもへの支援などにも積極的に取組もうとしています。
地域にとって欠かすことのできない、息の長い活動になることが期待されています。
<< 法人概要 >>
法人名 | 特定非営利活動法人 Kacotam | ||
代表理事 | 高橋 勇造 氏 | ||
主な事業 | 経済的困窮家庭、ひとり親家庭、社会的養護下の子どもたちを対象とした学習支援事業 | ||
設立時期 | 平成24年1月 | 職員数 | 4人(平成26年4月現在) |
電話 | 070-5283-9501 | ||
URL | http://kacotam.com/ |