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児童福祉制度解説

児童福祉制度解説の概要を解説しています。

児童福祉制度の概要

児童福祉制度は、児童福祉法を基本として様々な行政機関や施設、専門職のはたらきや実践によって推進されています。児童福祉法は、2017(平成29)年の改正により、理念が明確化され、すべての児童が児童の権利に関する条約の精神に基づき適切な養育や自立が図られる権利があることが明記されました。

そうしたなかで、社会的に養護が必要とされる児童については、児童福祉法において「保護者のない児童または保護者に監護させることが不適当であると認められる児童」と定義されています。保護者が死亡あるいは行方不明、病気療養中、経済的事情による養育困難、保護者から虐待を受けているなどの場合が該当します。このような児童については、家庭に代わる環境を与え健全な育成を図り、自立を支援するために、乳児院、児童養護施設などへの入所措置、里親への委託などが行われます。

また、近年、深刻な社会問題となっている児童虐待については、2000(平成12)年に児童虐待防止法が制定され、児童相談所の機能強化、児童家庭支援センターの拡充、児童養護施設の充実、児童虐待防止のためのネットワークづくりなどにより、発生予防、早期発見・早期対策、児童の適切な保護、保護者への指導・カウンセリングなどが行われてきました。そうしたなかで、児童虐待による死亡事件の発生、児童虐待相談件数の増加や一時保護基準の不透明さへの批判などを背景に、2020(令和2)年4月に児童虐待防止法の一部改正が行われました。これにより、児童の権利擁護、児童相談所の体制強化などが位置づけられ、親権者による体罰禁止が明確化されました。

他方で、児童福祉法においては家庭養育優先の理念を規定し、実親による養育が困難であれば、特別養子縁組による永続的解決(パーマネンシー保障)や里親による養育を推進することを明確にし、「家庭」、「家庭と同様の養育環境」、「良好な家庭的環境」による養育を推進していく方針を明確にしました。このように、施設の小規模化を図り、里親への支援の充実と拡充を図る方向性が位置づけられています。里親とは、さまざまな事情により家庭での養育が困難であったり、受けられなくなったりした子どもたちを家庭環境のもとで養育する者のことです。里親には、「養育里親」、「親族里親」、「専門里親」、「養子縁組里親」などの種類があります。

また、2024(令和6)年4月施行の児童福祉法の改正では、すべての妊産婦・子育て世帯・子どもの包括的な相談支援等を行うこども家庭センターの市区町村への設置、一時保護開始時の判断に関する司法審査の導入、児童自立生活援助事業対象者の年齢要件の緩和などが行われることとなりました。年齢要件の緩和により、従来最長でも20歳までとなっていた施設入所ですが、必要に応じて同じ施設などに入所し続けることが可能となりました。さらに、保育・子育て支援施策の分野では、核家族化の進行、共働き家庭の増加、待機児童解消などの課題に対応するために、幼児期の学校教育・保育、地域の子ども・子育て支援の量の拡大と質の向上を図る必要がありました。こうした流れを受けて、「子ども・子育て支援法」のもとに、2015(平成27)年4月から、子ども・子育て支援新制度がスタートしています。これにより、@施設型給付(認定子ども園、幼稚園、保育所共通給付)および地域型給付(小規模保育、家庭的保育など)の創設、A認定こども園制度の改善、B地域の実情に応じた子ども・子育て支援の充実、などが行われています。2019(令和元)年10月からは、幼児教育・保育の無償化が始まり、幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までのすべての子どもたちの利用料が無償化されました。また、0歳から2歳までの子どもたちについては、住民税非課税世帯を対象として利用料が無償になります。なお、これに伴い、子ども・子育て支援法に基づく補足給付事業として、認定こども園・保育所に通う生活保護世帯等の子どもは、市町村から食材料費の助成が受けられることとなりました。これにより、保護者負担の軽減が図られています。

ほかにも、母子健康保健法の改正に伴い2017(平成29)年4月より、子育て支援包括支援センター(法律上の名称は「母子健康包括支援センター」)の市町村設置が努力義務となり、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援の実施が期待されています。

障害のある子どもをめぐっては、2018(平成30)年4月より、重度の障害があって外出が困難な子どもたちが児童発達支援や放課後等デイサービスと同様のサービスを居宅で受けることができる、居宅訪問型児童発達支援制度が創設されました。また、障害の有無にかかわらず、ともに過ごすことができる社会の実現を目的として、保育所等訪問支援事業も実施されています。これは、保育所などを利用中もしくは利用予定の障害のある児童が集団生活に適応することができるよう、訪問支援員が保育所などを訪問して専門的な支援を行うものです。

関連して、これまでの法制度は、分野ごとの縦割りとなっていましたが、2018(平成30)年より共生型サービスが創設されました。これは、同一事業所において介護保険サービスと障害福祉サービスの両方を提供できるようにするもので、子どもに関しては、児童発達支援と放課後等デイサービスが対象となっています。

このほか、近年では、子どもの貧困も大きな社会問題となっており、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」をはじめとしたさまざまな制度施策が展開されるとともに、NPOなどの民間団体、企業などによる柔軟な活動への支援も行われています。

子どもをめぐる状況が多様化・複雑化するなかで、2022(令和4)年には、こども家庭庁設置法や子ども基本法などが制定され、こども家庭庁という新たな省庁がうまれました。こども家庭庁では、「常にこどもの最善の利益を第一に考え、こどもに関する取組・政策を我が国社会の真ん中に据えて(「こどもまんなか社会」)、こどもの視点で、こどもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、こどもの権利を保障し、こどもを誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押し」するための新たな指令塔としての役割が期待されています。

監修者
岡本周佳東洋大学 ライフデザイン学部生活支援学科助教
関西学院大学 人間福祉学部助教
山本雅章静岡福祉大学福祉心理学科特任教授/調布市社会福祉事業団業務執行理事
上島遥愛知文教女子短期大学幼児教育学科