2022年度の診療報酬改定は、診療報酬本体引き上げ(+0.43%)、薬価等引き下げ(薬価△1.35%、材料価格△0.02%)で、全体としては引き下げることとなりました。本体部分+0.43%のうち、看護の処遇改善のための特例的な対応+0.20%、リフィル処方箋(反復利用できる処方箋)の導入・活用による効率化△0.10%、不妊治療の保険適用のための特例的な対応+0.20%、小児の感染防止対策に係る加算措置(医科分)の期限到来△0.10%等となっています。改定のポイントをみていきます。
急性期一般入院料と重症患者割合を再編
中央社会保険医療協議会(中医協)は2月9日、2022年度の診療報酬改定案について了承し、後藤茂之厚生労働大臣に答申した。
今回の改定は、@新型コロナウイルス感染症にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築、A安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進、B患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現、C効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上、の4つの基本方針に基づく内容となっている。
全体の改定率は、診療報酬本体+0・43%、薬価等△1・37%(薬価△1・35 %、材料価格△0・02%)となった。本体改定率は、通常分の0・23%(医科+0・26%、歯科+0・29%、調剤+0・08%)のほか、看護の処遇改善が+0・20%、リフィル処方箋の導入が△0・10%、不妊治療の保険適用が+0・20%、乳幼児感染予防策加算の期限到来による廃止が△0・10%となっている。
なお、診療報酬で対応する看護職員の処遇改善については、別途諮問・答申が行われる。主な改定項目は次の通り。
≪入院≫
●急性期入院
患者の状態に応じた適切な医療が提供されるよう、「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の評価項目を見直し、該当患者割合の基準値を「200床以上」と「200床未満」の病床規模別に設定。なお、2022年9月30日までの経過措置を設けている。
また、看護必要度の測定の負担軽減、測定の適正化を推進する観点から、許可病床200床以上で急性期一般入院料1を算定する病棟では、看護必要度Uを用いることを要件化した。200床以上400床未満の病棟については、2022年12月31日までの経過措置を設定している。
〇看護必要度における該当患者割合の見直し
【200床以上】
看護必要度T(看護職員が毎日測定する方法)
急性期一般入院料1 31%→31%(改定前→改定後/以下同)
急性期一般入院料2 28%→27%
急性期一般入院料3 25%→24%
急性期一般入院料4 22%→20%
急性期一般入院料5 20%→17%
急性期一般入院料6 18%→/
看護必要度U(診療実績データを活用して把握する方法)
急性期一般入院料1 29%→28%
急性期一般入院料2 26%→24%
急性期一般入院料3 23%→21%
急性期一般入院料4 20%→17%
急性期一般入院料5 18%→14%
急性期一般入院料6 15%→/
【200床未満】
看護必要度T
急性期一般入院料1 / →28%
急性期一般入院料2 26%→25%
急性期一般入院料3 23%→22%
急性期一般入院料4 20%→18%
看護必要度U
急性期一般入院料1 / →25%
急性期一般入院料2 24%→22%
急性期一般入院料3 21%→19%
急性期一般入院料4 18%→15%
看護必要度の該当患者割合の基準を変更することに伴い、急性期一般入院基本料を7段階から6段階とした(同入院料1〜5は変更なし、同入院料6(1408点)を削除し、改定前の同入院料7(1382点)を改定後の同入院料6とする)。
このほか、「点滴ライン同時3本以上の管理」を「注射薬剤3種類以上」に変更、「心電図モニター」の項目を削除、「輸血や血液製剤の管理」の評価を1点から2点に変更する。
また、急性期一般入院料1のなかでも、さらに高度で充実した急性期医療を提供している医療機関を評価する「急性期充実体制加算」を新設。なお、総合入院体制加算とあわせた算定はできない。さらに、急性期充実体制加算を算定する医療機関で、精神疾患を有する患者の受け入れ体制がある場合にさらに加算できる「精神科充実体制加算(30点)」(精神科標榜等が要件)も新設している。
〇急性期充実体制加算(1日につき)【新設】
1 7日以内の期間 460点
2 8日以上11日以内の期間 250点
3 12日以上14日以内の期間 180点
[対象患者]
高度かつ専門的な医療および急性期医療を提供する十分な体制を有する病院の入院患者
[算定要件]
当該患者の入院期間に応じ、それぞれ所定点数を加算。区分番号A200に掲げる総合入院体制加算は別に算定できない
[主な施設基準]
@ 急性期一般入院料1を算定する病棟を有する病院であること
A 地域において高度かつ専門的な医療および急性期医療を提供するにつき十分な体制が整備されていること
B 高度かつ専門的な医療および急性期医療に係る実績を十分有していること
C 入院患者の病状の急変の兆候をとらえて対応する体制を確保していること
D 感染対策向上加算1(改定前の「感染防止対策加算」)に係る施設基準を届け出ていること
●高度急性期入院
新型コロナウイルス対応で重要な集中治療室(ICU)等を評価し、重症患者対応型体制加算を新設。今回改定で新設される急性期充実体制加算と感染対策向上加算1の届出が必要であるが、2023年3月31日までは急性期充実体制加算の届出を行っていなくても算定可能となっている。
また、集中治療領域において、とくに重篤な患者・家族等に対する支援を行う専任の担当者(入院時重症患者対応メディエーター)を配置した場合の評価も新設された。
〇重症患者対応体制強化加算【新設】
イ 3日以内の期間 750点
ロ 4日以上7日以内の期間 500点
ハ 8日以上14日以内の期間 300点
[対象患者]
特定集中治療室管理料1〜4または救命救急入院料2・4を算定する病室の入院患者
[算定要件]
当該患者の入院期間に応じ、それぞれ所定点数に加算
[主な施設基準]
@ 集中治療を必要とする患者の看護に従事した経験を5年以上有し、集中治療を必要とする患者の看護に関する適切な研修を修了した専従の常勤看護師を1人以上配置
A 救命救急入院料または特定集中治療室管理料に係る届出を行っている保険医療機関において5年以上勤務した経験を有する専従の常勤臨床工学技士を1人以上配置
B 常勤看護師のほか、集中治療を必要とする患者の看護に従事した経験を3年以上有する看護師を2人以上配置
C Bに規定する看護師は、(ア)集中治療を要する患者の看護に必要な専門的知識・技術の養成を目的とした国または医療関係団体等が実施する研修(600時間以上)、(イ)保健師助産師看護師法に規定する指定研修機関における集中治療を必要とする患者の看護に関する研修、のいずれかを受講していること
D 医師、Bに規定する看護師または臨床工学技士により、集中治療を必要とする患者の看護に従事する看護職員を対象とした院内研修を年1回以上実施。研修には、(ア)重症患者の病態生理、全身管理の知識・看護、(イ)人工呼吸器および体外式膜型人工肺(ECMO)を用いた重症患者の看護の実際、のいずれの内容も含むものであること
E 新興感染症の発生等の有事の際に、都道府県等の要請に応じて、他の医療機関等の支援を行う看護師を2人以上確保されていること。なお、当該看護師はBに規定する看護師が望ましい
F 急性期充実体制加算および感染対策向上加算1に係る届出を行っている保険医療機関であること。ただし、2023年3月31日までの間に限り、急性期充実体制加算に係る届出を行っていなくても差し支えない
G Bに規定する看護師は、集中治療室に係る特定集中治療室管理料(救命救急入院料)の施設基準に係る看護配置に含めないこと
H 特定集中治療室用等の看護必要度において「特殊な治療法等」に該当する患者割合が15%以上であること。ただし、歴月で6カ月を超えない機関の1割以内の一時的な変動は、施設基準に係る変更の届出は不要
〇 重症患者初期支援充実加算 300点(1日につき)【新設】
[対象患者]集中治療領域における入院患者
[算定要件]入院した日から起算して3日を限度として所定点数に加算
[主な施設基準]
@ 患者サポート体制充実加算を届け出ていること
A 院内に専任の入院時重症患者対応メディエーターを配置していること。なお、支援にあたっては担当医師、看護師等の他職種とともに支援を行うこと
B 入院時重症患者対応メディエーターは、当該患者の治療に直接関わらない者であって、以下のいずれかであること
ア 医師、看護師、薬剤師、社会福祉士、公認心理士またはそのほか医療有資格者(医療関係団体等が実施する研修を修了していることが望ましい)
イ 医療有資格者以外の者であって、医療関係団体等が実施する研修を修了し、かつ、支援に係る経験を有する者
※ 救急救命入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室管理料、総合周産期特定集中治療室管理料および新生児治療回復室入院医療管理料において算定可能
地域包括ケア病棟の要件・基準は厳格化
●地域包括ケア病棟
地域包括ケア病棟に求められる役割を明確化するため、地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料の評価体系が見直された。自院からの転棟患者割合が高い場合等の減算規定も導入された。
・ 入院料・管理料1・2の在宅復帰率
(改定前)70%→(改定後)72・5%
・ 入院料・管理料3・4を新設
(在宅復帰率は70%)
・ 入院料2・4の要件「自院の一般病棟からの転棟患者割合6割未満」の対象は
(改定前)「許可病床数400床以上」 →(改定後)「同200床以上」に(満たせない場合の減算は10%→15%に引き上げ)
・ 入院料・管理料1・3の地域包括ケアの実績
「自宅等からの入院割合」
(改定前)15%以上→(改定後)20%以上
「自宅等からの緊急の入院受け入れ」
(改定前)3カ月に6人以上→(改定後)同9人以上(10床未満の病床数の場合:同様に3カ月で6人以上→8人以上に引き上げ)
・ 入院料・管理料2・4に在宅医療等の実績要件を新設(以下のいずれか1つ以上を満たすこと。満たせない場合は10%減算)
ア 自宅等から入棟した患者割合が2割以上
イ 自宅等からの緊急患者の受け入れが3カ月で9人以上
ウ 在宅医療等の実績を1つ以上有すること
・ 100床以上の施設の入院料・管理料1・2の基準に「入退院支援加算1」の届出を義務化(満たせない場合は10%減算)
・ 一般病床で入院料・管理料を算定する場合には、第二次救急病院または救急病院であることを要件とする(200床未満の場合は、救急外来を有していることまたは24 時間の救急医療提供で要件を満たすこととする)(2022年3月31日時点で入院料または管理料の届出を行っている場合は、2023年3月31日まで経過措置あり)
・ 療養病床で入院料・管理料を算定する場合には、所定点数から5%減算(2022年3月31日時点で入院料の届出を行っている場合は、2022年9月30日まで経過措置あり)。ただし、以下のいずれかに該当する場合は減算されない
ア 自宅等から入院した者の割合が60%以上
イ 自宅等からの緊急の入院患者の受け入れ人数が前3カ月で30人以上
ウ 救急医療体制が整備されていること
●回復期リハビリテーション病棟
質の高いリハビリテーションを推進するため、回復期リハビリテーション病棟入院料の重症患者割合の要件引き上げ、6段階から5段階への再編、対象患者に心大血管疾患の患者の追加等が行われた。
・ 重症患者割合の要件引き上げ
入院料1・2
(改定前)30%以上→(改定後)40%以上
入院料3・4 (改定前)20%以上→(改定後)30%以上
(2022年3月31日までに入院料1〜4の届出を行っている場合は、2022年9月30日まで経過措置あり)
・入院料の段階を6段階から5段階に再編
入院料5を廃止。改定前の入院料6を改定後の入院料5とする(2022年3月31日までに入院料5または6の届出を行っている場合は、2023年3月31日まで改定前の点数表により算定可)
・新たに改定後の入院料5を算定する場合、開始した日から2年間に限り算定可
・対象患者に「急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患または手術後の状態」を追加。算定上限日数は90日以内
・入院料1・3については、(公財)日本医療機能評価機構等による第三者評価を受けていることが望ましい
なお、2022年3月31日で廃止予定であった特定機能病院における回復期リハビリテーション病棟入院料について、一定程度の役割を果たしていることから、「特定機能病院リハビリテーション病棟入院料」を新設した。
〇 特定機能病院リハビリテーション病棟入院料 2129点【新設】
(生活療養を受ける場合には、2115点)
[対象患者]
特定機能病院の一般病棟に入院しており、回復期リハビリテーションを要する状態にある患者
[主な施設基準]
@ 回復期リハビリテーションの必要性の高い患者が80%以上、特定機能病院の一般病棟単位で行うものであること
A 心大血管、脳血管疾患等、運動器、呼吸器の各リハビリテーション料(T)のすべてを届け出ていること
B 患者に対し、1日当たり2単位以上のリハビリテーションを行っていること
C 専従の常勤医師を1人以上配置、看護職員配置は10対1以上・7割以上が看護師
D 専従・常勤(以下同)の理学療法士を3人以上、言語聴覚士を1人以上、管理栄養士を1人以上、社会福祉士等を1人以上配置
E 休日を含め週7日間リハビリテーションを提供できる体制であること
F 新規入院患者のうち50%以上が重症患者
G 退院患者のうち他の保険医療機関へ転院した者等を除く割合が70%以上
H リハビリテーションの効果に係る実績指数が40以上
I 早期離床・リハビリテーション加算および早期栄養管理介入管理加算を届け出ていること
●療養病棟
療養病棟については、看護職員等の配置基準が25対1以上で、医療区分2・3の該当患者割合に定めがない「経過措置病棟」について、「療養病棟入院料2の所定点数の85%相当」(改定前)から「同75%相当」に引き下げた。ただし、2024年3月31日まで2年間の経過措置がある。
また、経過措置病棟で疾患別リハビリテーション料を算定する患者に対し、FIM(機能的自立度評価法)の測定を月に1回以上行っていない場合は、1日につき2単位までの出来高算定とする。さらに、医療区分2で疾患別リハビリテーション料を算定する患者にFIMの測定を行わない場合には、医療区分1に相当する点数を算定することとした。これについては、2022年9月30 日までの経
過措置がある。
医療区分3の「中心静脈栄養を実施している状態」については、患者の摂食機能・嚥下機能の回復に必要な体制を整備していない場合、医療区分2に相当する点数で算定することとする。これについては、療養病棟入院料1・2を算定している病棟には2022年9月30日までの経過措置がある。さらに、2022年3月31日時点で入院料1・2を算定しており、医療区分3の「中心静脈注射を実施している状態」に該当している患者については、当該状況が継続している間に限り、医療区分3に該当する場合の点数を算定できる。
●緩和ケア病棟
緩和ケア病棟に入院している疼痛を有する患者に対して、がん疼痛薬物療法ガイドラインに沿った評価指標を用いて疼痛の評価を実施し、療養上必要な指導を行った場合について新たな評価を行うとともに、緩和ケア病棟入院料の評価が見直された(各100点引き下げ)。
〇 緩和ケア疼痛評価加算 100点(1日につき)【新設】
●有床診療所
有床診療所の一般病床初期加算、救急・在宅等支援療養病床初期加算について、急性期医療を担う他の医療機関からの患者の受け入れと、在宅からの患者の受け入れを区別して評価
〇有床診療所一般病床初期加算
有床診療所の一般病床初期加算、救急・在宅等支援療養病床初期加算について、急性期医療を担う他の医療機関からの患者の受け入れと、在宅からの患者の受け入れを区別して評価
〇有床診療所一般病床初期加算
(改定前)(1日につき・14日限度)150点→
(改定後)
・ 有床診療所急性期患者支援病床初期加算(1日につき・21日限度) 150点
・ 有床診療所在宅患者支援病床初期加算(1日につき・21日限度) 300点
〇有床診療所療養病床入院基本料
(改定前)(1日につき・14日限度)150点→
(改定後)
・ 有床診療所急性期患者支援療養病床初期加算(1日につき・21日限度)300点
・ 有床診療所在宅患者支援療養病床初期加算(1日につき・21日限度)350点
また、有床診療所で慢性維持透析患者を受入れる病床の確保を進めるため、慢性維持透析管理加算(1日につき100点)を新設した。
在宅医療の連携を強化、オンライン診療は初診から可能に
≪外来≫
●定額負担の見直し
紹介状なしで受診した患者等から定額負担を徴収する責務がある医療機関の対象範囲(改定前は特定機能病院、一般病床200床以上の地域医療支援病院)を見直し、一般病床200床以上の「紹介受診重点医療機関(紹介患者向けの外来を基本とする病院)」にも拡大。
定額負担の金額も、初診5000円(改定前)→7,000円(改定後)、再診2,500円(改定前)→3000円(改定後)とし、定額負担を求める患者の初診・再診の保険給付範囲から同額を控除する。2022年10月1日から適用される。
このほか、紹介受診重点医療機関入院診療加算(入院初日・800点)、外来在宅共同指導料1・2(1人につき1回/1は400点、2は600点)が新設された。
〇かかりつけ医
慢性疾患を有する患者に対するかかりつけ医機能の評価を推進するため、地域包括診療料等の対象疾患を見直し、慢性心不全、慢性腎臓病を追加。患者からの予防接種の相談に対応すること、その旨を院内掲示で周知することを要件に追加した。
また、機能強化加算の算定要件と施設基準が見直された。
●機能強化加算の見直し
[算定要件]【新設】
@ 患者が受診している他の医療機関および処方薬を把握し、必要な管理を行うとともに診療録に記載(担当医の指示を受けた看護職員等が行うことも可能)
A 専門医または専門医療機関への紹介を行う
B 健康診断の結果等の健康管理に係る相談に応じる
C 保健・福祉サービスに係る相談に応じる
D 診療時間外を含む、緊急時の対応方法等に係る情報提供を行う
@〜Dの対応について、院内と自院のホームページ等に掲示すること
[主な施設基準]【新設】
次のいずれかを満たすこと。
@ 地域包括診療料1もしくは加算1の届出を行う
A 地域包括診療料1もしくは加算2の届出を行い、直近1年間に(ア)もしくは(イ)のどちらかを満たす
ア 地域包括診療料2もしくは加算2を算定した患者が3人以上
イ 訪問診療または往診した患者数が3人以上
B 小児かかりつけ診療料の届出を行う
C 在宅時医学総合管理料または施設入居時等医学総合管理料に係る届出を行う機能強化型の在宅療養支援診療所(在支診)もしくは在宅療養支援病院(在支病)
D 在宅時医学総合管理料または施設入居時等医学総合管理料に係る届出を行う在支診・在支病で、(ア)〜(ウ)のいずれかの要件を満たす
ア 過去1年間の緊急往診の実績が3件以上の在支診
イ 過去1年間の緊急往診の実績または在支診等からの要請で患者の緊急受け入れを行った実績の合計が直近1年間で3件以上の在支病
ウ 過去1年間の在宅看取りの実績または15歳未満の超重症児および準超重症児に対する在宅医療の実績が1件以上の在支診・在支病
≪在宅≫
外来医療を継続的に受けている患者が在宅医療に移行する際に、外来担当医と在宅担当医が連携して指導等を実施した場合の評価が新設された。
また、在宅療養支援診療所(在支診)以外の診療所による在宅医療への参画を促すため、継続診療加算の名称を在宅療養移行加算に変更し、評価を見直した。
〇継続診療加算の見直し
(改定前)継続診療加算 216点→
(改定後)・在宅療養移行加算1 216点 ・在宅療養移行加算2 116点
さらに、機能強化型訪問看護ステーションのさらなる役割の強化を図るため、研修の実施等に係る要件および評価を見直した。
〇 機能強化型訪問看護管理療養費1・2(訪問看護管理療養費)
1 月の初日の訪問の場合
イ 機能強化型訪問看護管理療養費1
(改定前)1万2530円 →
(改定後)1万2830円
ロ 機能強化型訪問看護管理療養費2
(改定前)9500円 →
(改定後)9800円
[施設基準]
機能強化型訪問看護管理療養費1・2ともに、地域の保険医療機関、訪問看護ステーションまたは住民等に対する研修や相談への対応について実績があること。【新設】
(2022年9月30日までの経過措置あり)
●オンライン診療
改定前のオンライン診療料(再診)を廃止し、オンライン(情報通信機器を用いた場合)診療の初診料、再診料、外来診療料を新設する。また、オンライン診療の医学管理の対象を拡大する。これらの点数は対面診療の約87%としている。
さらに、在宅の医学管理について、オンライン在宅管理料を廃止し、訪問診療とオンライン診療を組みあわせて実施した場合の評価を新設。これについては、施設で療養を行っている患者に対しても同様に新設している。
〇 オンライン(情報通信機器を用いた場合)診療【新設】
初診料 251点
再診料 73点
外来診療料 73点
〇在宅時医学総合管理料
・在支診または在支病が、月2回以上の訪問診療のうち1回以上情報通信機器を用いた診療を行っている場合【新設】
@ 単一建物診療患者が1 人の場合 3029点
A 単一建物診療患者が2人以上9人以下の場合 1685点
B @およびA以外の場合 880点
・在支診または在支病が、月1回の訪問診療を行い、2月に1回に限り情報通信機器を用いた診療を行っている場合【新設】
@ 単一建物診療患者が1 人の場合 1515点
A 単一建物診療患者が2人以上9人以下の場合 843点
B @およびA以外の場合 440点
〇施設入居時等医学総合管理料
・ 在支診または在支病が、月2回以上の訪問診療のうち1回以上情報通信機器を用いた診療を行っている場合【新設】
@ 単一建物診療患者が1 人の場合 2249点
A 単一建物診療患者が2人以上9人以下の場合 1265点
B @およびA以外の場合 880点
・ 在支診または在支病が、月1回の訪問診療を行い、2月に1回に限り情報通信機器を用いた診療を行っている場合【新設】
@ 単一建物診療患者が1 人の場合 1125点
A 単一建物診療患者が2人以上9人以下の場合 633点
B @およびA以外の場合 440点
≪その他≫
〇 症状が安定している患者に対し、医師と薬剤師が適切に連携して一定期間内に反復利用できる処方箋(リフィル処方箋)を導入
〇 入退院支援加算の対象にヤングケアラー(家族に対する介助や介護を日常的に行っている児童等)とその家族を追加
〇 一般不妊治療、生殖補助医療、男性不妊治療に保険適用
2022年度介護報酬改定(臨時)率は+1・13%
社会保障審議会介護給付費分科会は2022年2月28日、本年10月から行う介護職員等の処遇改善(月額平均9000円相当)のための新加算(介護職員等ベースアップ等支援加算)創設に向けた臨時改定について、後藤茂之厚生労働大臣に答申した。
改定率は+1・13%。既存の処遇改善加算(V)以上を算定していること、加算額の3分の2以上をベースアップ等に充当すること等が要件となっている。