前回、前々回と2回に渡り、司会進行役(議長)のスキルについて述べました。今回から、出席メンバーに求められるスキルとして「話す」、「きく」、「質問する」の3 つについて述べていきます。
筆者は福祉施設・医療機関においてコミュニケーション向上という視点からの研修を行っていますが、研修参加者に対して「話すことときくこと、どちらが得意ですか?」と質問すると「きくことは好き、できるが、話すことは苦手」と答える方が圧倒的に多いのです。対人援助職にとって傾聴のスキルは必須ですから、「きくこと」に対する意識が高く、「よい聴き方」を積極的に学んでいる方も少なくありません。ところが「話す」になると「ご利用者と話すのは好き、得意」という方は一定数いるものの、人前や公式の場で発言することへの苦手意識が目立ちます。日常の会話であれば、基本的にはその時その場で思いついた内容をやり取りすればよいのですが、会議で発言する際には、日常の会話とは異なるいくつかのポイントがあります。
@情報収集
会議で発言するためには、前もって議題にかかわる情報を集めておく必要があります。会議前に自分の部署の現状の確認や所属部署の職員から情報や意見の収集を行い、要点を報告できるようメモしておきます。
A自分の考えをまとめる
議題について情報収集をしたうえで、現状を踏まえて、課題や解決策を自分なりに考えます。出席メンバーが多様な意見を持ち寄り、議論を通して「組織にとって最良・最善な結論」を導き出すことが会議の意義ですから、「無難な正解」を求め過ぎずに、自分の立場での率直な考えをまとめてみましょう。「なぜそう考えたのか」という根拠も伝えられるように整理しておきます。
B話す内容を組み立てる
相手にわかりやすく話すには、「結論」→「根拠」→「補足」の順番で内容を組み立てます。
「なぜなら△△だからです。」(根拠)
「ただし、○○を実行するためには、
□□が必要です。」(補足)