今回は出席メンバーに求められるスキルの3 回目として、「質問する」スキルについて述べていきます。
質問は議論を発展させ、深めるカギ
皆さんの会議では活発に質問が飛び交っていますか?「質問」=「発言が十分でないことを指摘する、される」というマイナスのイメージがあり、する側もされる側も質問を遠慮しているような雰囲気がないでしょうか? しかし、それは大きな間違いです。そもそも、相手の発言に関心をもって聴いていなければ質問することはできませんし、質問をされるということは聴き手が自分の発言を注意深く聴いてくれているということです。発言に対して質問があり、その質問に答えることで内容が深まり、よりよい結論を導き出すことができます。質問は議論が発展するカギとなるものです。出席メンバーが「質問する・されることはよいことである」という意識をもてるよう、開始時に「他メンバーの発言をよく聴いて、詳しく知りたい点については積極的に質問をお願いいたします」と声掛けしたり、司会進行役がこまめに質問を促すのもよいでしょう。
質問をするマナー
「質問することはいいことである」とはいっても、タイミングもわきまえず、わからないところ、気になるところを片っ端から質問すればよいというものではありません。まずは、前回「聴くスキル」で述べたように、相手が話している間は口を挟まず、何について話しあっているのかを意識して、話を整理しながら聴くことに集中します。そして、発言が終わったら、挙手し、「質問してもよろしいでしょうか?」と司会進行役、発言者に了解を得てから質問します。また、会議における質問は、あくまでも「議論を深めるための質問」であり、発言者を言い負かしたり、発言の至らない点を詰問するような質問は慎みます。「もっと詳しく知りたいので教えてください」という気持ちで、発言者にプレッシャーを与えないような口調、表情を心がけましょう。
質問の切り口
会議での質問に役立つ切り口として「具体的には?」と「なぜ?」があります。
例えば、介護職会議において「報・連・相ができていないからだと思います」という発言があったとします。この発言に対し、出席メンバーが「そうそう、報・連・相ができていないんだよね〜」とうなずいているだけでは、会議の結論は「報・連・相を徹底する」で終わってしまいます。
ここで「報・連・相ができていないというのは“具体的には”何ができていないということでしょう?」と質問することにより「報告内容に必要な情報が入っていない」、「連絡ノートがあるがハンコを押すだけで、ちゃんと見ていない職員がいる」、「問題が大きくなってから慌てて相談してくる」などの具体的な事柄があがってきます。
さらに、「報告内容に必要な情報が入っていないのは“なぜ”なのでしょう?」と質問することにより、例えば、「苦情になった時にご家族とやり取りするのはフロア主任で、ご家族とのやり取りの様子は一般の職員に伝わってこないので、一般職の職員はこの情報が必要だとわかっていないのだと思います」という意見が出れば、「報告書に、この点について記載する欄を加える」、「家族との苦情応対の内容は文章だけでは雰囲気が伝わらないので、回覧に加えてフロア会議において必ず口頭で申し伝える」などの具体的な結論へとつながります。
「質問」は司会進行役のスキルとしてよくあげられていますが、出席メンバーにも同じように求められるものなのです。
※ この記事は月刊誌「WAM」平成27年11月号に掲載したものです。
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