第4回: 建物保守管理での経済性を高める発注方法を考えてみましょう
建物保守管理を経済的に行うためには?
下の円グラフは、建物の建設から廃棄までの一生涯にかかる費用(ライフサイクルコスト:LCC)の割合を示したものですが、建物保守管理(保全費、修繕・更新費、運用費)での費用が約80%を占めています。
この数字からも建物保守管理をいかに経済的に行うかが、将来を見据えたかしこい建物保守管理のポイントと考えます。
建物の保守管理と聞いてまず頭に思い浮かぶのは、設備機器の保守点検や清掃等のメンテナンスだと思います。建物を快適に、よりよい状態で使用するためには欠かせないものではありますが、現行のメンテナンスに「疑問」や「不満」をお持ちではないでしょうか。
また、建物の修繕についても、緊急もしくは何か不具合が生じてからの修繕対応となっており、目前の事象を解決していくのが精一杯という状況に不合理性を感じていないでしょうか。
提案ステップ そのC
消防設備やエレベーター、受変電設備等の関係法令で点検が義務づけられている法定点検、自動ドアや空調設備、給湯ボイラー等設備機器が良好に稼働するための保全としての自主的な点検等、設備機器によってその点検の位置づけはさまざまであり、一律ではありません。
では、どれが法定点検であり、自主点検なのか? また、自主点検についてもどこまで実施すればよいのか? すべての設備機器に対してメンテナンスを実施できればよいのですが、費用のことを考えるとなかなかそうはいきません。経済的な建物メンテナンスには、この見極めが重要となってきます。
事例@ 保守契約での経済効果
エレベーターや吸収式冷温水発生器、自動ドア等の設備機器のメンテナンス費用および発注契約仕様について、他施設における実績値との比較等も加味し、査定することでコストダウン効果を導いています。
事例A 保守点検業務上の改善
エレベーター保守会社(メーカー以外)よりロープ交換が必要との報告書と見積書が出てきたため、報告書にあるロープの劣化状況をメーカーに確認したところ、メーカーが推奨する交換状況にまで劣化していないことが判明し、不要な修繕を回避できました。
このような方法で現行のメンテナンス内容や委託会社への発注形態を整理することで、これまで疑問であったものが明瞭化され、経済的な建物メンテナンス実施へ向けての第一歩となります。
※ この記事は月刊誌「WAM」平成26年7月号に掲載されたものです。
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