児童に関する各種の相談に応じ、それぞれの問題解決に必要な指導・援助を提供する機関
概要
児童相談所(児相)は、すべての子どもが心身ともに健やかに育ち、権利が守られ、そのもてる力を最大限に発揮することができるよう、専門性に基づく一貫した相談援助活動を行うとともに、都道府県や区市町村をはじめ関係機関と連携して相談援助活動を総合的に企画し実施する子ども家庭福祉の司令塔的な行政機関です。都道府県と政令指定都市に設置が義務づけられ、中核市や特別区にも設置が認められています。
役割分担として、一般的な子育て相談ニーズは身近な市町村で対応し、専門的な知識・技術を必要とする事例への対応や、広域的な対応が必要な業務は児童相談所が受けもつことになっています。児童相談所の担う機能は大きく分けて以下の4機能です。
@区市町村援助機能
区市町村による児童家庭相談への対応について、区市町村相互間の連絡調整、区市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行う
A相談機能
子どもに関する相談や通告を受け付け、必要に応じて子どもの家庭や地域状況、生活歴、発達、性格、行動等について調査・診断・判定し、援助指針を定め、自らまたは関係機関等を活用して子どもや家庭を支援する
B一時保護機能
必要に応じて子どもを家庭から離して一時保護する
C措置機能
在宅指導、児童福祉施設入所措置、里親委託等を行う
これらの業務を遂行するため、児童相談所は原則として「総務部門」「相談・判定・指導・措置部門」「一時保護部門」の三部門からなる組織体制をとっています。児童相談所の職員は「子どもの権利擁護の最後の砦」として、常に子どもの権利(生きる権利、守られる権利、育つ権利、参加する権利)が保障されているかを確認し、自らの権限を適切に遅滞なく行使する責任を有しています。
なお、一時保護所は、児童相談所に付属し、保護を必要とする子ども(おおむね2歳以上18歳未満)を一時的に預かるところで、子どもの今後の養育にそなえて、生活状況の把握や生活指導なども行う施設です。
施設数
児童相談所232か所、一時保護所152か所(2023年4月現在)
出典:「児童相談所一覧」|こども家庭庁
(https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran/)
主な就業職種
ソーシャルワーカー(児童福祉司、相談員)、医師、保健師、看護師、児童心理司、心理療法担当職員、児童指導員、保育士、一時保護対応協力員、臨床検査技師、理学療法士(PT)等、栄養士、調理員、事務職員
採用について
児童相談所は児童の健全な育成を図るうえでも重要な機関で、通常、一般行政職として採用されますが、配属されるかは人事異動によって決まることになっているため、課題もあります。
なお、2000年11月に「児童虐待防止法」が施行されたほか、2004年11月、2016年6月に児童福祉法が改正され、2018年12月に策定された「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」では、児童福祉司や児童心理司は2022年までに、保健師は2020年までに増員が図られることになりました。しかしながら、児童虐待が増えているため、さらなる増員と地域の児童委員や保護司などとの連携が重要となっています。
関連団体・組織
自治体
全国児童相談所長会
http://www.zenjiso.org/