家庭内の紛争や非行を犯した少年の事件を専門的に取り扱う司法機関
概要
家事事件の審判と調停および少年事件の調査・審判を行う裁判所で、地方裁判所と同格の司法機関です。
具体的には、家事事件の調停・審判を行う家事部、非行少年の審判や少年の福祉を害する成人の刑事事件の裁判を行う少年部の2つに分かれています。このうち、家事部では、夫婦や親子など親族間における人間関係や財産などをめぐる紛争をできるだけ当事者同士の話し合いによって解決させるため、調停が行われますが、それでも決着できない場合、審判に移すこともあります。このほか、職権による後見監督や扶養料などの履行の確保も重要な職務です。
一方、少年部では、犯罪を犯したり、そのおそれのある20歳未満の少年を対象に通常の刑事手続きによる処罰をせず、あくまでもその健全育成と人格形成を図るべく、性格の矯正や環境の調整に関する保護処分のための調査や審判を行います。
ただし、犯罪時に14歳以上でかつ保護処分よりも刑事裁判によって処分することが相当と判断された事件については、検察官に送致され、成人同様の刑事裁判にかけられることがあります。
また、2022年4月に選挙権年齢や民法の成年年齢が「18歳」へと引き下げられるなか、少年法の適用は「20歳未満」に据え置かれましたが、18歳〜19歳は「特定少年」として部分的に成人に準じて取り扱われ、17歳以下とは区別されています。
本庁・支部・出張所数
本庁:50か所、支部:203か所、出張所:77か所(2023年4月現在)
出典:「裁判所について」|裁判所
(https://www.courts.go.jp/about/sosiki/gaiyo/index.html)
主な就業職種
裁判官、家庭裁判所調査官、書記官、事務官、参与員、家事調停委員、医師、看護師
採用について
家庭裁判所調査官は毎年度、定期的に実施される裁判所職員採用総合職試験(家庭裁判所調査官補)に合格して、採用されます。その後、裁判所職員総合研修所で2年間研修を受け、必要な技能などを修得することが必要です。このほか、欠員が生じた際に、募集・採用があります。
なお、非常勤の参与員と家事調停委員は民間の有識者のなかから委嘱されます。
関連団体・組織
最高裁判所事務総局
https://www.courts.go.jp/