被災地域(旧施設所在地)、再建地域(新施設所在地)と仙台市浸水区域マップ
被災施設から仮設グループホームへ
仙台駅から車で20分ほど南東、沿岸から2Km、防潮堤の役割にもなった仙台東部道路の東側(海側)300mのところに、グループホームなつぎ埜(平成21年4月開設、定員18名)がありました。東日本大震災の津波により被災したのは、施設開設からわずか2年弱のことでした。
地震発生後、利用者18名中14名は指定避難所である小学校に避難していました。地域から集まった他の避難者とともに校庭で待機していたところ、津波が襲ってきました。動ける方は校舎に避難することができましたが、重度で歩行困難な人は津波のために7名の方が亡くなってしまいました。なつぎ埜の施設も津波により甚大な被害を受けてしまいました。
なつぎ埜の利用者は暫くの間、法人施設のグループホームよもぎ埜(定員18名)で生活をしていましたが、手狭であることから、長町駅にほど近い場所に仮設のグループホームを設置し平成23年8月から仮設グループホームで生活することとなりました。
仮設のグループホーム(定員18名)は各9名からなるユニット型になっています。設置に際し、法人が設計から係わることで、仮設でありながら質の高いケアを提供できる機能的な構造となっています。後に、この仮設グループホームと同様の構造のものが他県の被災地でも設置されたとのことです。
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▲ 仮設グループホームの取材日の様子です |
▲ すでに解体が行われていました。 |
本ページに掲載している動画の中に一部エーザイ株式会社により作成された映像があります。当該部分は仮設施設での生活を撮影したものですが、一般的なグループホームと機能面で遜色がないことがわかります。
新たな「なつぎ埜」竣工
平成26年3月、仙台東部道路の西側500m程のところで新たな「なつぎ埜」がスタートしました。再建場所は、万一の安全のために1m程の盛土をし造成しています。施設は、2ユニットで定員は18名。地域交流スペースは2階に設置しています。
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▲ 施設外観 |
▲ 入口の看板は、仮設のときに使用していたもので利用者のご家族により作成されたものです。 |
資金面については、福祉医療機構からの借入は1億3千万円で事業計画全体のほとんどを賄っています。なお、被災後の復興の計画段階でも、福祉医療機構が前向きに相談にのってくれたこと、特に経営安定化資金の融資については、仮設グループホームで家賃収入が見込めない中、継続運営の力になったとのことです。
この施設の特徴として、仮設のグループホームでもそうであったのですが、施設の隣に畑を作っています。利用者の生き甲斐づくりのみならず、利用者と職員のコミュニケーションの場ともなっています。
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▲ 居室から望む畑の様子 |
▲ 収穫だけでなく、畑を通した交流も楽しみの一つです。 |
地域に安心を届ける拠点施設として
なつぎ埜では、地域でのコミュニティ作りにも震災前同様に力を入れています。移転時にボランティアの力を借り、開設時には感謝の会を開き、開設後は認知症サポーター養成講座、オレンジカフェ(認知症カフェ)、認知症相談窓口を設置し、認知症専門家を招へいし無料研修会を開くなど、様々な形で地域とともに活動をしています。地域の認知症高齢者をサポートし、認知症の人やその周りの人々みんなが安心して暮らせるような地域づくりを目指して積極的に活動しています。
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▲ 施設入口にある、掲示板には施設で行われる様々なイベント等の案内が掲示されています。 |
▲ 認知症なんでも相談室、オレンジカフェ |
法人代表であり宮城県認知症グループホーム協議会会長でもある蓬田さんの、施設内外で精力的に活動されている姿、震災の体験を通して「生かされたもの」としての責任を前に進む力に変え、地域での安心を創っていかれる姿が印象的でした。
<< 法人概要 >>
法人名 |
株式会社リブレ |
代表取締役 |
蓬田 隆子氏 |
法人施設 |
グループホームよもぎ埜、グループホームなつぎ埜、高齢者複合施設リブレ松川(グループホーム、小規模多機能型居宅介護、デイサービスサービス付き高齢者向け住宅) |
旧施設所在地 |
宮城県仙台市若林区種次中屋敷37 |
新施設所在地 |
宮城県仙台市若林区今泉字小在家東97−2 |
福祉医療機構融資額 |
130,000千円 |
法人設立時期 |
平成17年11月 |
施設再建時期 |
平成26年3月 |
URL |
http://care-net.biz/04/libre/index.php |
取材動画