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被災福祉施設復興事例紹介
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〜 宮城県 遠田郡涌谷町 〜

株式会社まちの豆腐屋プロジェクト

「涌谷とうふ店、涌谷・放送字幕制作センター」の新設事例紹介

取材日 平成27年10月2日
東日本大震災により、半壊以上の建物1,420棟といった被害を受けた宮城県遠田郡涌谷町(出典:涌谷町ホームページ)。その「涌谷町」で震災の被災者及び障害者の雇用促進に取り組む「(株)まちの豆腐屋プロジェクト」を取材した。

施設所在地地図




被災地で障害者雇用、一般雇用にも取組む「まちの豆腐屋プロジェクト」


 宮城県遠田郡涌谷町に株式会社「まちの豆腐屋プロジェクト」が運営する「涌谷とうふ店」、「涌谷・放送字幕制作センター」があります。
 いずれの事業所も東日本大震後に就労継続支援A型事業所として指定され、被災地での障害者雇用、さらにはスタッフとして、一般の方の被災地雇用にも取り組んでいます。

                
▲ 涌谷とうふ店外観▲ 涌谷・放送字幕製作センター外観

江戸時代から続く地域の伝統「おぼろ豆腐」を継承する「涌谷とうふ店」


 「涌谷とうふ店」がある涌谷町は江戸時代から「おぼろ豆腐」が伝統として続く町です。数十年前は、何件もあったとうふ店も年々減少し、平成22年には町で唯一続いていた老舗店も廃業することになりました。そのことはニュースでも広く取り上げられたそうです。当時、涌谷町から1時間ほど車で離れた仙台市で豆腐店を営んでいた「まちの豆腐屋プロジェクト」専務の森さんもそのニュースを見聞きし、何とか「おぼろ豆腐」を後世に残せないかと、自らおぼろ豆腐の製造に手を挙げ、同町の役場にかけあったそうです。
 そうした結果、事業を行う場所や建物を町から借りられるなど、全面的な協力が得られ、開所に至ることが出来たそうです。
 また、開所にあたっては、森さんはこれまで社会福祉法人が運営する授産施設へ豆腐の製造販売を指導してきた経験があり、仙台市の豆腐店では障害者の一般就労も受け入れてきた事業実績もあることから、就労継続支援A型事業所として事業を開始することにしました。
 地域の障害者雇用を促進するとともに、地域の伝統「おぼろ豆腐」を継承します。

                
▲ 涌谷とうふ店での豆腐の製造の様子▲ 出来たての「おぼろ豆腐」

被災地での障害者雇用の受け皿となる「涌谷とうふ店」


 「涌谷とうふ店」は平成23年4月に指定を受けています。開所の計画は、東日本大震災の前から行われていました。涌谷町は津波が届く沿岸部ではありませんが、震災と開所の時期が重なったこともあり、建物の改築資材の調達が困難となったり、ガソリン不足、道路の不通等が原因で、1か月ほど工期が延長したとのことです。
 地域への震災の影響としては、雇用環境の悪化がありました。当時は離職を余儀なくされる人が多かったうえに、ハローワークでは一般の方でも求人情報が少ない状況で、地域にA型事業所もなかったことから、障害者の採用枠は皆無に近かったそうです。
 そのような状況の中で開所した「涌谷とうふ店」では、A型事業所として求人情報を出したところ、3日間で数十人の応募があったそうです。「涌谷とうふ店」の開所は、「おぼろ豆腐」の存続だけなく、障害者雇用の受け皿として、地域の震災復興への大きな力となっています。


若い障害者への雇用創出を図る「涌谷・放送字幕制作センター」


 「まちの豆腐屋プロジェクト」では、豆腐の製造・販売だけではなく、新たな事業として、放送等の字幕制作を行なう「放送字幕制作センター(A型事業所)」を平成27年4月に開所しました。これまでとは全く異なる分野への取組みです。きっかけは、震災の支援にアメリカから来ていた方が大手エンターテインメント会社へ転職したことだそうです。その方から、大手エンターテインメント会社で製造・販売する映像作品に字幕の製作を「まちの豆腐屋プロジェクト」で行うことは出来ないかという話があり、行政とも相談しながら実施に向けて準備を進めてきたそうです。
 字幕の制作は法人で誰も携わったことのない未知の分野であったにもかかわらず、参入を決めた理由の1つには、「高校を卒業したばかりのような若い障害者の働く場を確保したい」(同法人専務 森さん)という思いがあったそうです。今はインターネットなどを通じてコミュニケーションも図れる時代になっており、若い人には「豆腐の製造」よりもパソコンを使った仕事の方が興味を持って働いてもらえるのではないか、とのことです。字幕センターのスタッフの採用にあたっては、被災地での雇用促進を図るため、地元のハローワークを通じて行いました。採用した方全員がこれまで字幕の製作経験はなく、また、障害者支援の経験もなかったそうです。事業が円滑に行えるようになるまではかなりの時間を要したとのことですが、必要な技能や知識は、字幕の製作は協業する企業へ、障害者支援については「涌谷とうふ店」へ研修に行くことで身につけたそうです。「字幕製作は、“こだわり”によって、すごく出来が良いものにも、雑なものにもなる」(同法人専務 森さん)とのことですが、仕事へは最高品質のものを目指そうと取り組まれているそうで、開所から半年が経過した現在では、協業する企業からも「クウォリティーが高い」という評判を得ているそうです。


▲ 字幕製作現場

被災地での雇用促進だけではなく、新たな社会貢献を担う「まちの豆腐屋プロジェクト」


 字幕放送については、総務省において平成19年10月に、平成20年度から平成29年度までの字幕放送・解説放送の普及目標を定めた「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」が策定されるなど、字幕放送等の視聴覚障害者向け放送の普及促進に向けた取組みが推進されています。
 まちの豆腐屋プロジェクトの取り組みは、被災地での雇用促進、障害者の働く場の確保だけではなく、今後は新たな社会貢献として、聴覚障害者支援にも実を結ぶのではないでしょうか。同法人のさらなる飛躍が期待されます。

<< 法人概要 >>
法人名 まちの豆腐屋プロジェクト 代表者 赤間 久美子 氏
法人施設 就労継続支援A型(涌谷とうふ店、キッチンガーデンふるかわ、涌谷・放送字幕制作センター)
新施設所在地 宮城県遠田郡涌谷町字桑木荒156番地3(涌谷とうふ店)
宮城県大崎市古川稲葉3-6-10(キッチンガーデンふるかわ)
宮城県遠田郡涌谷町涌谷字瀧田20-1(涌谷・放送字幕制作センター)
法人設立時期 平成23年
施設設立時期 平成23年4月1日(涌谷とうふ店)
平成24年2月1日(キッチンガーデンふるかわ)
平成27年4月1日(涌谷・放送字幕制作センター)
対象 涌谷とうふ店 定員20名(身体、知的、精神)
涌谷・放送字幕制作センター 定員15名(身体、知的、精神)
URL http://おぼろ.com/



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