施設所在地地図
地域密着型の特別養護老人ホームを新設し、地域の介護ニーズと震災復興を支える社会福祉法人協同光陽会
岩手県奥州市江刺区の緑豊かな中山間地に社会福祉法人協同光陽会が運営する「特別養護老人ホームあっぷるホーム」(以下、「あっぷるホーム」という。)があります。施設の庭には農園が設けられ、職員と利用者が共に農業に携わって生きがいづくりとなる活動を行ったり、また、夏には広い駐車場を活かして地域の方が200名以上も参加する祭りを開催するなど、地域の方との交流も活発に行われています。
江刺区は、高齢化率が34.4%(平成26年3月末)と奥州市の中でも2番目に高い地域ですが、平成27年12月には、隣の敷地に地域密着型の特別養護老人ホームあっぷるホームあおざさ(以下、「あっぷるホームあおざさ」という。)を開所して地域の介護ニーズを支え、また震災復興も担います。
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▲ 広域型の特別養護老人ホーム「あっぷるホーム」外観 |
▲ あっぷるホームあおざさ外観 |
震災の経験を活かして「あっぷるホームあおざさ」を新設
東日本大震災時における被害状況としては、あっぷるホームの建物では屋根裏にあった配管が2カ所外れて漏水があったこと、外壁に十数カ所亀裂が入ったこと、加えて4月7日に発生した余震によって、全面ガラス張りの戸を支える柱が歪んでしまうなどの被害があったそうです。
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▲ 天井には漏水の跡が残る |
▲ 余震によって、歪んだ柱。ガラス戸の開閉が困難となった。 |
また、サービスの提供にあたっては、特にガソリン不足の影響を大きく受けたとのことでした。手に入る量がわずかであったことから、訪問介護事業の訪問回数を減らさざるを得なかったり、職員の通勤も2、3人がまとまって乗合とせざるを得なかったそうです。
他にも停電により、貯水槽から施設に引き込むモーターが回らず、ライフラインである水の確保が困難となったり、重油の配送が遅配したりといった影響があり、運営は大変だったということでした。
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▲ あっぷるホームの貯水槽。モーター式で施設内に水を引き込む |
このような経験を踏まえ、新設した「あっぷるホームあおざさ」では、今後の震災に備えた対策が行なわれています。
建物は、鉄筋コンクリート造りでも強度がより強くなるように設計され、災害のときに停電しても水が得られるように水道管から直に水を引き込めるようにし、冷暖房については電気式のエアコンを配置し、発電機を新たに準備するとともに、非常用電源を取り付けることにより非常時でも必要な機器を稼働できるように整備しています。
また、食糧については、震災が起こった際には、翌日には緊急配送が行なわれるように業者と協定を結び、職員の分も含めて1週間分は確保できるようにしたとのことでした。
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▲ あっぷるホームあおざさに設けた発電機接続口 |
人材の確保が課題
新設したあっぷるホームあおざさの課題としては、人材の確保が挙げられます。
全国的に人材の確保が課題となっている中、同法人では福祉の専門学校を歩いて事業説明を行なったり、県のハローワークを通した「福祉のしごとの出前講座」という授業時間に、職員を講師にし、仕事の魅力を聞いてもらったり、奥州市、近隣の町と合同で企業見学会を開いたりといった取り組みも行なわれているそうです。
法人としては、キャリアアップ制度を構築し、資格取得を奨励し、取得者に手当を支払うなどの取り組みも行なわれているそうです。
福祉避難所として指定された「あっぷるホーム」
平成27年度になって、あっぷるホームが奥州市から新たに福祉避難所として指定を受けました。東日本大震災のときには、施設に避難してきた方はいなかったそうですが、必要な設備や備品を配備して「何かあったときには、近隣の方のためになるようにしたい。」と施設長である佐々木さんは話されました。
今後も地域に根差した中核を担う施設として、住民からも期待される施設であり続けるに違いありません。
<< 法人概要 >>
法人名 |
社会福祉法人協同光陽会 |
理事長 |
佐藤 許M 氏 |
法人施設 |
あっぷるホーム(特養、老人デイ、ショートステイ、居宅介護支援、在宅介護支援、訪問介護)、あっぷるホームあおざさ(地域密着特養)、ゆるっと家(老人デイ) |
施設所在地 |
岩手県奥州市江刺区玉里字青篠7番地3 |
法人設立時期 |
平成14年 |
電話 |
0197-28-6335 |
FAX |
0197-28-6336 |
URL |
http://care-net.biz/03/applehome/ |
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