生活困窮者自立支援関連情報
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▲図表1 |
「主たる拠点」から地域の関係機関・団体等への職員派遣等の状況をみると、行政の依頼による「介護保険審査会」(47件)、「入所判定委員会」(145件)、「介護認定審査会」(476件)のほか、「地域ケア会議」(404件)といった公的な会合を除く連携では、「地域の祭り・行事」(478件)が最も多く、次いで「講習会・講演会等への講師派遣」(405件)があげられる。行政の関与が薄い(法人の主体性が問われる)、「地域社会との連携」においては、他と比べて少なく、具体的な連携のあり方を検討する必要がある。
生活困窮者等への地域支援の状況をみると、生活困窮者等に関する情報収集について、「把握している」は51・2%、「把握していない」は48・8%と拮抗している。「把握していない」の理由のうち、最も多い回答は「必要性は感じているが、何をしてよいのかわからない」(25・7%)と「必要性は感じているが、業務多忙のためできない」(25・6%)がほぼ同数であり、「必要性は感じているが、職員数が足りないためできない」(16・0%)と続く。一方で、把握していない法人のうち、1割が「必要性を感じない」(12・5%)と回答している。
情報収集の方法(複数回答)については、「地域社会の連携機関からの要望」が279件と最も多く、地域において信頼される主体となっていることがうかがえる。次いで「地域包括支援センター(受託)」が225件、「個人面談」が176件、「自治会・町内会」が138件と続いている。
また、情報収集に関わる課題としては、「個人情報保護の観点から、入手できる情報が限定される」との回答が最多であった。
情報収集については、必要性を感じているものの、何をしてよいのかわからないといった回答も多く、生活支援サービスの実践につなげられる情報収集の事例や、一定のモデルが示されることで、実施できる可能性があることが示唆される。
「主たる拠点」における平成24年度の生活困窮者等への生活支援の実施状況(複数回答)をみると、「社会福祉法人減免」を実施していると回答した法人は62・5%となっている。「福祉・介護相談」(43・3%)、「相談窓口設置(情報・サービス提供)」(39・7%)も約4割が実施しており、「利用者負担の軽減」(25・6%)、「定期的な訪問(話し相手、安否確認)」(21・5%)などが上位にあげられる(図表2)。
近年の経済・雇用情勢、家族構成等の変化によって地域の福祉ニーズが多様化・複雑化しているなかで、より積極的に地域の情報を収集し、社会福祉法人の使命を果たしていく姿勢が求められる。
▲図表2 |
平成27年度の介護報酬改定に向けて議論を行っている社会保障審議会介護給付費分科会は8月7日、介護老人保健施設と介護療養型医療施設について議論した。老健については、前回の介護報酬改定で、在宅復帰率やベッド回転数に応じて@在宅強化型(強化型)、A在宅復帰・在宅療養支援機能加算(加算型)、Bそれ以外(通常型)の3タイプに分類され、異なる報酬設定が行われているが、強化型の登場により老健に本来求められている在宅復帰が進んでいることから、「老健については引き続き在宅復帰機能を強化する必要があるのではないか」という論点が厚生労働省事務局から示された。これに対し、多くの委員が賛同・評価する意見を出した。
平成29年度末で廃止が予定されている介護療養型医療施設については、要介護高齢者の看取りやターミナルケアを中心とした長期療養を担っており、この機能を引き続き確保するための体制・取り組みが論点として示された。これについては、「機能を確保しつつ、再編成する必要がある」といった指摘が相次いだ。
8月27日の会合では、通所系サービス、訪問系サービス等について議論された。厚生労働省事務局は、通所介護について「認知症高齢者や重度の要介護者を積極的に受け入れることが求められており、この機能を軸に評価する報酬改定」を提案した。また、通所介護施設で寝泊まりもさせている「お泊まりデイ」については、狭い室内に多数の高齢者が宿泊していたり、火災や体調の急変への備えが不十分という指摘があることから、利用定員や床面積等の指針を作成し、都道府県等への届出も義務づける方針を示した。
介護人材の確保については、かねてより入職率・離職率が高いこと、給与水準が相対的に低いこと、女性比率が著しく高い職場であることから結婚・出産段階での離職率が高い等の課題が指摘されている。また、平成22年度以降、有効求人倍率が一貫して増加するなど、人手不足感はますます広がっている。これらの課題について検討してきた福祉人材確保対策検討会は8月26日、「介護人材確保の方向性について〜中間整理メモ〜」をとりまとめた。
介護人材確保の方向性としては、参入促進、資質の向上、労働環境・処遇の改善、全体的な視点について、11項目に整理している(表)。
このほか、「個別の地域や事業所のレベルでは革新的な動きもみられ、それらの活動を横展開させていくことや、意欲的な取り組みが報われる業界としていくことが重要」とも指摘している。
さらに、中間整理メモでは、介護福祉士の資格取得方法の見直しについても盛り込んでおり、平成28年度からの養成施設ルートの国家試験義務づけを延期するとしている(施行時期については法令改正で対応)。一方で、実務経験ルートの実務者研修の受講の義務づけについては、平成28年度から施行することを提言している。ただし、現在の負担軽減措置(科目の読み替え、通信教育の活用)に加え、受講しやすい環境整備(受講期間を最大限柔軟にする等)を進めるとともに、その他の方策(実務経験要件の運用のあり方等)について、引き続き検討する。
表 |
介護サービスの給付費の状況を把握し、報酬改定等に必要な基礎資料を得ることを目的に行われる介護給付費実態調査の結果(平成25年度)が、8月7日に明らかにされた。
介護予防サービスおよび介護サービスの年間実受給者数(25年4月〜26年3月の各サービス提供月の受給者を名寄せしたもの)は、566万500人で、前年度に比べ22万9900人(4・2%)増加している。内訳は、介護予防サービスが143万400人(前年度比6・6%増)、介護サービスが455万3600人(前年度比3・8%増)となっている。
平成26年4月審査分における受給者1人当たり費用額を都道府県別にみると、介護予防サービスは沖縄県が4万3500円と最も高く、次いで福井県の4万3200円、鳥取県の4万2800円となっている。介護サービスでは、沖縄県が21万1900円と最も高く、次いで石川県が20万5300円、鳥取県が20万5000円となっている。
居宅サービスの平均利用率(支給限度基準額に対する割合)を要介護(要支援)状態区分別にみると(平成26年4月審査分)、要介護5が64・2%と最も高く、次いで要介護4が61・3%、要介護3が57・6%となっている。また、居宅サービス種類別の割合は、訪問介護と通所介護はいずれの要介護(要支援)状態区分でも3割を超えている。訪問看護は、状態区分が高くなるに従って利用割合も増え、要介護5では28・4%の人が利用している。
施設サービスについては、1年間の単位数は介護福祉施設サービスが1574億1964万7000単位と最も高く、次いで介護保健施設サービス(1201億3889万1000単位)、介護療養施設サービス(305億6254万3000単位)となっている。
平成26年3月中に退所(院)した施設サービス受給者について、状態区分別に入所(院)期間の割合をみると、介護福祉施設サービスでは、いずれの要介護状態区分でも「1〜5年未満」の割合が最も高い。介護保健施設サービスでは、状態区分が高くなるにしたがって、1年以上の割合が多くなっている。介護療養施設サービスでは、要介護1・2では90日未満の割合が多く、要介護4・5では「1〜5未満」の割合が多くなっている。
厚生労働省は8月4日、平成24年度の認可外保育施設の現況をとりまとめた。
認可外保育施設のうち@夜8時以降の保育、A宿泊をともなう保育、B一時預かりの子どもが利用児童の半数以上、のいずれかを常時運営している施設については、ベビーホテルという。
それによると、認可外保育施設の総数は7834カ所で、前年度より95カ所増加している。内訳をみると、ベビーホテルが1818カ所(前年度比12カ所減)、その他の認可外保育施設が6016カ所(前年度比107カ所増)となっている。これらの施設に入所している児童の総数は20万721人で、前年度より1万5762人増加している。内訳は、ベビーホテルが3万4511人(前年度比1823人増)、その他の認可外保育施設が16万6210人(前年度比1万3939人増)となっている。なお、入所児童数のうち、8587人は両親が夜間働いている等の理由で利用している小学校入学後の学童である。
認可外保育施設(届出対象施設)に対する立入検査の結果、「指導監督基準に適合していないもの」に対する最終的な指導状況をみると、ベビーホテルは646カ所が指導を受け、その内訳は口頭指導166カ所、文書指導478カ所、改善勧告1カ所、施設閉鎖命令1カ所となっている。その他の認可外保育施設は、1665カ所が指導を受け、内訳は口頭指導593カ所、文書指導1072カ所であった。指導監督基準に適合していない主な項目は、ベビーホテル・その他の認可外保育施設ともに、@乳幼児の健康診断の実施、A職員の健康診断の実施、B非常災害に対する具体的計画(消防計画)の策定・訓練の実施の順で多くなっていた。
保育需要が増え続けるなか、認可外保育施設においても保育環境の整備が求められる。