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サービス取組み事例紹介
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東京都品川区・社会福祉法人さくら会 西五反田高齢者複合施設

見守り支援機器の導入により介護の負担軽減と質の向上へ

 福祉医療機構では、地域の福祉医療基盤の整備を支援するため、有利な条件での融資を行っています。今回は、その融資制度を利用された東京都品川区にある「西五反田高齢者複合施設」を取りあげます。同施設は、介護が必要な高齢者と自立した高齢者を対象にした2タイプのケアハウスと在宅サービスを併設した地域の介護支援拠点となっています。施設概要や導入した見守り支援機器の効果などについて取材しました。

※この記事は月刊誌「WAM」平成30年9月号に掲載されたものです。


地域ニーズに応えた介護サービスを提供


 東京都品川区にある社会福祉法人さくら会は、平成12年4月の設立以来、「利用者に選ばれる質の高いサービスを追求する」という基本理念のもと、地域に根ざした介護サービスを提供し、地域住民が住み慣れた地域のなかで安心して暮らし続けることを支えてきた。
 開設施設は、品川区で唯一の介護老人保健施設を中心にケアハウスやデイサービス、訪問介護などを併設した「南大井高齢者保健福祉複合施設」のほか、サービス付き高齢者向け住宅や地域密着型多機能ホーム、訪問看護などを併設した「品川区立大井林町高齢者複合施設」を開設し、地域ニーズに応えた高齢者の住まいと在宅サービスを組み合わせた複合施設を運営している。
 さらに、同法人は品川区独自のケアハウスを中心とした高齢者の複合施設を整備する公募の採択を受け、平成16年4月に「西五反田高齢者複合施設」を開設している。東京都の所有する青果市場跡に建てられた同施設の敷地面積は6429u。JR「五反田」駅、東急目黒線「不動前」駅から徒歩7分に位置し、生活の利便性が高い好立地にある。
 建物は施設棟と住宅棟の2棟からなる地上14階建てで、施設棟の2〜4階に特定施設入居者生活介護の指定を受けたケアハウス「ケアホーム西五反田」が入り、住宅棟の2〜4階部分に自立した高齢者を対象にしたケアハウス「さくらハイツ西五反田」、5〜14階部分は品川区が管理する区民住宅(98戸)が入っている。
 入居施設のほか、1階にはデイサービス(定員:一般デイ35人、認知症デイ12人)、在宅介護支援事業所、ホームヘルパーステーションを併設し、高齢者の住まいと在宅サービスを組み合わせることにより、いつまでも地域のなかで暮らし続けられることをサポートする環境を整備している。

▲1階の「ふれあいモール」には、行政窓口やクリニック、調剤薬局、コンビニがテナントとして入り、地域の介護支援拠点となっている ▲全室個室の「ケアホーム西五反田」の居室。居室面積は22 〜 24uと広々とした設計

地域の介護支援拠点としての役割を担う


 そのほかにも、施設棟と住宅棟をつなぐ「ふれあいモール」には、住民票や印鑑登録などの行政手続きの窓口となる「大崎第一地域センター」をはじめ、クリニックや調剤薬局、コンビニエンスストア(バリアフリー対応の高齢者向けコンビニ)がテナントとして入り、地域の介護支援拠点としての役割を担っている。
 全室個室のユニットケア方式を採用した「ケアホーム西五反田」の定員は81人で、1ユニット9人を基本とし、各フロアに3ユニットずつの9つのユニットで構成している。 
「ケアホーム西五反田」のケアの特徴について、施設長の橋本盾彦氏は次のように語る。
「介護職員の体制については、人員配置の基準を上回る2:1と手厚い体制としています。看護師は24時間配置し、日中は1フロアに1人、夜間は施設全体で1人を配置することで健康の不安を抱えるご入居者にも安心して生活していただけます。専任の理学療法士も配置しているので、リハビリを受けることも可能となっています」。
 現在、「ケアホーム西五反田」の稼働率は94%で、入居者の平均年齢は90歳、平均要介護度は3・2となっている。看取りにも積極的に取り組んでおり、昨年度亡くなった入居者のうち、7割を施設内で看取っている。
 このような看取りの対応ができる理由として、同施設は立地条件がよく、近隣に暮らしている入居者の家族が1週間あたりで延べ300人近くが来所しているため、家族との連携が図りやすいことが要因の一つとなっているという。

▲各ユニット内にあるキッチン・食堂

自立支援に力を入れ、入居者が住まいを選択できる支援を目指す


 「そのほかにも、当施設では理学療法士を配置し、自立支援に力を入れており、昨年度は『ケアホーム西五反田』の入居者6人が入居時の要介護度から改善しました。入居されて最後まで暮らしていただくのではなく、施設で元気になり、自宅に戻られるなど自分の住まいを選択できる支援をしていくことを目指しています」(橋本施設長)。 
 また、自立した高齢者を対象にした「さくらハイツ西五反田」の定員は43人で、1人部屋(35室)と2人部屋(4室)の2タイプの居室を用意している。バリアフリー設計を基本とした各居室をはじめ、食堂や教養娯楽室などの共用スペースを設置し、入居者ごとの生活スタイルを大切にしながら、安全で快適な暮らしをサポートしている。 
 入居後の身体や心身の状況に応じて、施設内に併設した在宅サービスを受けることができ、日常的に介護が必要になり、1人暮らしが困難になった際も「ケアホーム西五反田」へ優先的に住み替えが可能なことから、現在の稼働率は100%と高いニーズがあるという。


▲「ケアホーム西五反田」の各階には、バリアフリー設計のバルコニーを設置 ▲「さくらハイツ」の2 階には共有スペースとして教養娯楽室を設置し、入居者同士の交流や趣味などの活動に活用されている

見守り支援機器の導入で業務を改善


 現在、介護の負担軽減や質の向上に向け、介護ロボットの開発・普及が推進されているなか、同施設ではコニカミノルタ(株)が開発した見守り支援機器「ケアサポートソリューション」をケアホーム西五反田の4階の1フロアに導入している。
 見守り支援機器を導入した経緯について、橋本施設長は「厚生労働省の平成28年度予算事業として実施した『介護ロボットを活用した介護技術開発支援モデル事業』をメーカーが受託し、当施設が導入施設として採択されたことがきっかけでした。当時はスタッフの確保が厳しく、夜勤スタッフを1ユニットに1人配置することは経営面からみても大変な状況にありました。経験の少ない若手職員はすぐに夜勤ができるわけではありませんので、ベテラン職員に負担がかかるという悪循環があったことから、見守り支援機器を導入し、介護現場で働く職員の負担を軽減し、業務改善を図りたいと考えました」という。
 導入した見守り支援機器「ケアサポートソリューション」は、居室の天井に設置したセンサーが入居者の起床、離床、転倒・転落、呼吸異常などの状態を検知し、職員が所持するスマートフォンに行動情報と映像を通知するシステム。「かけつけてみないとわからない」から「状況をみてかけつける」ことを実現することで、介護業務全体の効率化を図ることを目的とした機種となっている。
 そのほかにも、転倒・転落時には事故前後の記録映像がサーバーに残り、状況を確認しながら原因の究明やエビデンスに基づいた対応策を考えることができ、スマートフォンから介護記録の入力・作成やスタッフ間の情報共有ツールとしての機能も搭載している。
 なお、映像の表示は2種類のセンサーを搭載することで、消灯時でもクリアな映像を確認することが可能となっており、入居者のプライバシーを考慮し、危険行動を検知したときのみ通知される仕組みとなっている。操作方法もできるだけシンプルにすることで、スマートフォンの操作に慣れていない年配の職員でも簡単に操作できるよう工夫されている。

▲天井部に設置した見守り支援機器のセンサー。カメラレンズがないため、入居者に監視されている感覚を与えないようなデザインとなっている

▲ 消灯時でも鮮明な映像がスマートフォンに通知されるため、職員はリアルタイムで映像を確認でき、安心してケアに従事することが可能に

入居者の安全だけでなく家族や職員の安心に


社会福祉法人さくら会 施設部

スーパーバイザー 小倉 貴之氏

 導入後の効果について、施設部スーパーバイザーの小倉貴之氏は次のように語る。
 「映像で確認してから行動を判断できるため、移動などの行動量は半分近くになり、とくに夜勤の負担が軽減しています。そのなかでも個人的には、ご入居者の転落・転倒事故や虐待疑惑といったご家族からのクレームを回避できるようになったことがいちばん大きいと思います。導入前はそのような事故が起きると、状況証拠から原因を推測して説明するしかなく、わだかまりが残ってしまうケースもありましたが、導入後は映像をみせることができるのでご家族にも納得していただくことができます。また、原因を推測して対応策を考えることは時間を要するのですが、原因が明確になることでエビデンスに基づいた対応策を効率よく考えることが可能となり、ご入居者の安全な暮らしにとどまらず、ご家族、スタッフの安心にもつながっています」。
 見守り支援機器の導入により、介護職員は時間的なゆとりが生まれ、入居者への直接介助の時間が増えるなど介護の質の向上にもつながっているという。
 同施設では「ケアサポートソリューション」の導入効果を実感したことと、ナースコールの更新を検討していたこともあり、モデル事業の終了後も引き続き設置することとした。今年度中を目途に「ケアホーム西五反田」の全室に導入する予定となっている。また、介護記録の入力などの機能を活用した業務の効率化については、現在は機器の設置が4階のみのため、従来型の介護ソフトを使用しており、まだ十分な活用に至っていないものの、全室導入後は介護記録の見直しや検証を行いながら、さらなる業務の効率化を図ることを構想している。


見守り支援機器の導入は人材確保にも影響


 現在、介護スタッフの確保が全国的な課題となっているなか、見守り支援機器の導入は人材確保にもよい影響をもたらしているという。
 「専門学校などで見守り支援機器を導入した取り組みを説明させてもらうと、興味や関心をもった多くの学生が施設見学に訪れてくれるようになり、安定的な採用につながるという効果が出ています。また、2年に1回、職員を対象に実施している満足度調査では、導入後は職場への満足度が非常に上がり、仕事に対する意欲も高くなっています」(橋本施設長)。
  今後の展望としては、入居者や地域住民がいつまでも元気でいられるよう自立支援の取り組みを強化していくとともに、さらに地域の介護支援拠点としての役割を担っていきたいとしている。
 現在、地域に向けた活動としては、認知症カフェを毎月開催し、施設全体で取り組んでいる。毎回40人を超える参加者が集まり、近隣にある障害者の就労支援事業所の利用者も参加している。今後は就労支援事業所と連携しながら、施設内に障害者の雇用の場をつくることも構想しているという。
 見守り支援機器を導入し、介護職員の働きやすい環境を整備するとともに、地域の介護支援拠点としての役割を担う同施設の取り組みが今後も注目される。

入居者、地域住民が元気になる施設を目指す
西五反田高齢者複合施設

施設長
橋本 盾彦氏
 導入した「ケアサポートソリューション」は、一つのシステムのなかに介護現場で必要とする機能がパッケージされていることが大きな魅力となっています。現在は「ケアホーム西五反田」の1 フロアのみの設置となりますが、全室導入後は介護記録をスマートフォンで入力することで業務量をどのくらい削減できるかを検証していくとともに、情報共通の機能を活用して申し送りの時間短縮に取り組み、さらなる業務改善を図りたいと考えています。
 今後の展望については、地域の介護支援拠点として、さらに自立支援に力を入れていき、入居者や地域住民が元気になる施設を目指していきたいと思っています。それはご本人やご家族が望んでいることですし、職員の働きがいにもつながると考えています。



<< 施設概要 >>
施設の概要 社会福祉法人さくら会
西五反田高齢者複合施設
施設開設 平成16年4月
理事長 前田 武昭氏 施設長 橋本 盾彦氏
職員数 179人(平成30年8月現在)
併設施設 ケアホーム西五反田(定員81人)/さくらハイツ西五反田(定員43人)/西五反田在宅サービスセンター(定員一般デイ35人、認知症デイ12人)西五反田ホームヘルパーステーション/西五反田在宅介護支援センター
法人施設 南大井高齢者保健福祉複合施設(介護老人保健施設、デイサービスセンター、ケアハウス、ヘルパーステーション、在宅介護支援センター)/品川区立大井林町高齢者複合施設(サービス付き高齢者向け住宅、地域密着型多機能ホーム、訪問看護ステーション、在宅介護支援センター)
住所 〒141−0031 東京都品川区西五反田3−6−6
電話 03−5434−7831 FAX 03−5434−7832


■ この記事は月刊誌「WAM」平成30年9月号に掲載されたものを掲載しています。
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