サービス取組み事例紹介
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▲「アマルネス・ガーデン」にある特養の居室 | ▲各ユニットにある共同生活室。施設設計ではバリ島をイメージしたリゾート感のあるデザインを採用 |
▲併設するデイケアは、開放感のある広々としたスペース |
▲働きやすい環境づくりとして施設内には託児ルームを設置 | ▲浴室は露天風呂のほかにも、血液の循環を促進する炭酸泉を完備 |
また、同法人は「この業界にイノベーションの風を吹き込む先駆者になる」という理念のもと、平成14年に民間の金融企業から転身した松本理事長が、これまでの介護・福祉業界の枠にとらわれない独自の経営改革を進めてきた。
その取り組みの一つとして、平成21年に法人独自で開発した介護技術認定制度「ケアマイスター」を導入している。
「ケアマイスター」を開発・導入した経緯について、松本理事長は次のように説明する。
「当時のスタッフの評価についてはリーダーシップがあることが重要視され、キャリアアップの仕組みは役職をあげるルートしかありませんでした。管理職になることを望まない人や、技術が高くてもリーダーシップのない人もいるなかで、それぞれに独立した評価制度をつくり、キャリアアップできる仕組みが必要だと考えました」。
「ケアマイスター」の仕組みは、介護技術の習熟度により、無資格からスタートし、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、マイスターの6段階で評価するもので、年1回(シルバー以下は年2回)実施する実技と筆記試験の両方の基準を満たすことで上位クラスに昇段する仕組みとなっている(図)。試験に合格すると、その段階に応じた認定証と「マイスター手当」を支給しており、正規・非正規職員を問わず、全職員が受験することを必須としている。
実技の評価は、法人全体で11人いるマイスタークラスの職員が担い、筆記試験の問題は介護福祉士やケアマネジャーの国家試験に準じていることで、資格取得にもつながりやすい。
そのほかにも、法人理念や方針への理解度についても出題することで法人の求める人材像を示し、全職員に浸透させるというメリットもあるという。
「職員は認定証を身に着けているため、利用者や家族は職員の経験年数や技量がわかるのですが、新人スタッフにとっても、どの職員を目指すのか目標を立てやすくなります。新人の教育では目標の具体像を示してあげることが非常に大切だと思います」。
さらに、現在は「ケアマイスター」と同様に、職員の接遇・マナーを評価する接遇技術認定制度「サービスマイスター」を導入している。「役職」、「介護技術」、「接遇技術」の3つのキャリアアップのルートをつくったことにより、一人ひとりの職員が自分にあった働き方を選択し、能力を高めていくことが可能となった。
なお、「ケアマイスター」は、口コミなどで広がり、他法人からも導入したいという要望が寄せられたことから、社会福祉法人とは別に一般社団法人ケアマイスター協会を立ち上げ、評価システムの提供も行っている。
さらに、介護技術の向上を目指した取り組みとして、介護オリンピック「C1 グランプリ」を開催。「リネン交換」、「おむつ交換」、「更衣」、「パソコンのタイピング」などの技術をいかに早く、美しくできるかを競うもので、介護技術だけでなく職員同士の団結力を高めることにもつながっている。近年は他法人も参加してイベント規模を拡大しているという。
技現在、介護スタッフの人材不足が課題となっているなか、キャリアアップ制度を導入したことで、職員の定着率が高まるとともに、採用でも意欲的で向上心のある人材を確保することにつながっている。
そのほかの人材確保策としては、介護スタッフの業務の一部を担うサポート職という名称で募集することで応募が増えているという。
「介護スタッフとして募集をかけると、その段階で未経験者にとってはハードルが高くなります。そのため、軽度な介助などを業務とするサポート職として募集をかけたところ、非常に多くの応募が集まったのですが、最終的にはこれらのスタッフを初任者研修やケアマイスター制度などを通じ、介護スタッフとして養成することを構想しています」。
将来的な人材確保の取り組みとしては、平成27年から職業体験イベント「キッザケア」を毎年開催している。
同イベントは、地域の小学校低学年の子どもを対象に、「介護士」、「管理栄養士」、「看護師」、「保育士」のなかから3つの職種を選択してもらい、それぞれの仕事を体験するもので、体験後には専用通貨「キュア」が支給され、自分たちの稼いだ通貨で野菜や菓子などの買い物を楽しむことのできるイベントとなっている。
「初年度は40人の子どもたちが参加し、希望者が多いことから現在は定員を100人に広げて開催しているのですが、すぐに定員がいっぱいになる状況です。どの職種にもまんべんなく希望があり、介護士を希望する子どもたちが多くいることを実感しています」。
「キッザケア」は、子どもに介護の仕事に興味をもってもらうとともに、付き添いで訪れる保護者にも介護施設に足を踏みいれる機会になるというメリットもある。実際にイベントをきっかけに働いてくれるようになった保護者もおり、スタッフの子どもも参加できるため、親の働く姿をみて、親に対して尊敬の念を抱くことにつながるという。
▲「キッザケア」は小学校低学年の子どもを対象に「介護士」、「管理栄養士」、「看護師」、「保育士」のなかから3つの職種を選択してもらい、仕事を体験するイベント |
また、女性が働きやすい職場環境づくりでは、今年1月から子どもをもつ女性パート職員を優遇した子育て支援として「えこひいき手当」を導入した。
これまで同法人の子育て手当は、職員の性別にかかわらず、正職員のみ子ども1人当たり月額5000円を支給していたが、導入後は女性パート職員の支給額を1万円に引き上げ、さらに入職後に生まれた子どもについては2万円を支給し、産休・育休からの復帰を推進している。
「このような手当を導入した経緯として、当法人はパート職員の割合が高く、とくに尼崎市はひとり親家庭が多いという地域特性があります。子どもの体調不良などで仕事を休まなくてはならないことが少なくないなか、時給で働く職員にとっては収入が減少し、生活に影響がでます。このような職員をサポートするために手当を創設しました。この手当には多くの原資がかかりますが、サービスと売上向上はもちろんのこと処遇改善加算も活用しています」。
さらに、処遇改善加算がスタートしてからは、パート職員にも賞与を支給しているほか、夫婦や兄弟姉妹、親子で勤務している職員に「家族手当」として、それぞれに5000円ずつ支給しており、職員からも好評だという。 独創的に職員の働きやすい環境づくりを実践する同法人の取り組みが今後も期待される。
施設の概要 | 社会福祉法人あかね | 施設開設 | 平成7年 |
理事長 | 松本 真希子 | ||
職員数 | 880人 | ||
法人施設 | 〈尼崎エリア〉 介護医療サービスリゾート「アマルネス・ガーデン」(特別養護老人ホーム、デイケア、クリニック、訪問看護ステーション)/介護福祉施設「ロータス・ガーデン」(特別養護老人ホーム、デイサービス、ケアハウス)/介護総合サービスセンター「ロータス・オデオン」(デイサービス、ナイトサービス、訪問介護)/サービス付き高齢者向け住宅「ヴィラ・グラスセゾン」 〈姫路エリア〉 介護福祉施設「銀の櫂」(特別養護老人ホーム、デイサービス)/デイサービスリゾート「杣緑」(デイサービス、ナイトサービス、訪問介護)/サービス付き高齢者向け住宅「ヴィラ杣扇」、「ヴィラ陽の栞」/生活リハビリ特化デイサービス 〈猪名川エリア〉 介護福祉施設「天河草子」(特別養護老人ホーム、デイサービス、ケアハウス、訪問介護)/サービス付き高齢者向け住宅「ヴィラ櫟」/認可保育所 | ||
住所 | 〒660−0883 兵庫県尼崎市神田北通1−2 | ||
電話 | 06-7670-2288 | FAX | 06-6430-0450 |
URL | http://www.e-akane.com/ |