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神奈川県横浜市・社会福祉法人かたるべ会

障害者の生きがいにつながる 就労支援を目指して

 福祉医療機構では、地域の福祉医療基盤の整備を支援するため、有利な条件での融資を行っています。今回は、その融資制度を利用された神奈川県横浜市にある社会福祉法人かたるべ会を取りあげます。同法人は、平成29年4月に知的・精神障害者の生活介護、就労移行支援、就労継続支援B型、放課後等デイサービスを併設する「うれしの」を開設し、利用者の生きがいにつなげています。その取り組みについて取材しました。

※この記事は月刊誌「WAM」平成29年10月号に掲載されたものです。


障害者の就労支援や生活支援に取り組む


 神奈川県横浜市にある社会福祉法人かたるべ会は、平成2年8月の設立以来、「障害のあるなしに関わらず、社会人として普通に暮らせる社会」の実現を目指し、横浜市を拠点に知的・精神障害者の就労支援や生活支援に取り組んできた法人である。
 同法人の設立経緯は、理事長の平野章氏が大学卒業後に障害者の入所施設で指導員として就労支援に取り組んでいたものの、就職先が少なかったことから、自らが中小企業の障害者雇用担当に再就職し、障害者を受け入れたことにはじまる。企業を退職後、自宅を障害者の働く場とし、横浜市の補助金を受けて地域作業所「かたるべ会」を設立、平成15年10月に社会福祉法人の認可を受け、現在に至っている。
 法人施設は、比較的重度な利用者の生活介護を行う「第1かたるべ社」をはじめ、主に就労継続支援B型事業所となる「第2かたるべ社」、「第3かたるべ社」、「ジャスミン」を開設。そのほかにも、障害者の生活を支えるため、市内に14カ所のグループホームや移動支援・余暇支援を行う「生活本舗」を運営し、障害者の「仕事・生活・余暇」という生活リズムを保つことを目的とした事業を展開している。



障害種別・程度を問わず、「社会的労働」への参加を促す


 「かたるべ会」で実践している支援方針について、平野理事長は次のように語る。
 「当法人では利用者の苦手な部分ではなく、得意な部分に注目した活動に力を入れています。そうすることでモチベーションが高まり、コミュニケーションも円滑となり、生きがいにつながると考えています。また、仕事については、社会人の義務として障害の種別や程度を問わず、すべての利用者に『社会的労働』に参加してもらうことを方針にしています。そのためにも利用者一人ひとりの適性にあった適材適所の仕事を創出していくことが支援者としていちばん大きな役割となりますし、どんなに障害が重い人であっても働く場を保証していく必要があると考えています」(以下、「 」内の発言は平野理事長の説明)。
 各事業所で実施している就労支援の取り組みは、「第1、第2かたるべ社」では企業から受けたDMの封入やボールペンの組み立てなど受注作業を中心に活動しており、「第3かたるべ社」ではレンタルマットの洗浄・交換業務やハウスクリーニング業務などの外部委託が主な活動となっている。 企業から受ける受注作業は、これまで精力的な営業活動に取り組んできたことで、現在は市内を中心に50〜60社との取り引きがあり、仕事の受注にとどまらず就職先となるケースも多く、平成28年度だけでも7人の雇用を実現している。
 また、「ジャスミン」の開設にあたっては、利用者の工賃アップにつなげる職域を開拓するため、職員が自分の取り組みたいことを提案し実行できる「企画提案制度」を導入し、全職員に対して活動メニューの企画立案を呼びかけた。
 「職員からさまざまな企画があがるなか、中国人のスタッフから提案のあった肉まんや餃子の製造販売に取り組んだところ、地域に好評で非常によく売れたことから、『ジャスミン』の活動の中心となっています。そのほかにも、『ジャスミン』がボランティアで取り組んでいた駅前などの清掃活動の実績が認められ、今では横浜市から清掃業務として委託を受けています」。


▲「うれしの」の日中活動で実践している「オープンダイアローグ」。利用者の心の安定に効果がある ▲作業に取り組む利用者の様子

▲「うれしの」では、利用者自身が栄養バランスのとれた昼食をつくり食事をしている


平成29年4月に「うれしの」を開設


 さらに同法人は平成29年4月に、総合福祉支援施設となる「うれしの」を開設し、生活介護、就労移行支援、就労継続支援B型のほか、法人としては新規事業となる放課後等デイサービスを併設している(定員各10人)。
 施設のコンセプトとして、@仕事と生きがい、A健康食と適度な運動、B安心して暮らせる社会の3つを掲げ、利用者の生きがいにつなげる支援に取り組んでいる。
 利用者(放課後等デイサービスを除く)の年齢は18〜65歳と幅広く、比較的重度の人を中心に受け入れており、法人内の事業所で環境を変えたほうがよさそうな利用者にも移ってもらったという。一つの事業所で適応できない利用者に対し、新たな環境を提供できることは多くの事業所を運営する同法人のメリットとなっている。
 なお、平野理事長は、これまで就労支援に取り組んできた実績から、大手製薬メーカーが障害者雇用部門を立ち上げる際に協力要請を受け、社会福祉法人の理事長と企業の障害者雇用部門の責任者を兼務してきたが、今回の開設にあたり企業を退職し、所長に就任している。
 同施設では、コンセプトに掲げる栄養バランスのとれた健康食にこだわり、利用者自らが食事をつくっていることが特色となっている。
 「栄養バランスのとれた食事は、精神の安定のためには非常に重要です。とくに糖質の摂取が多いと落ち着きがなくなるといわれています。利用者には健康によい食事づくりに取り組んでもらっていますが、いずれは就労支援の活動として『うれしの食堂』を運営し、地域住民に健康食を提供していくことを構想しています。現在は利用者と一緒に試行錯誤しながら、提供するメニューの開発を進めている段階ですが、健康によく、おいしい料理を追求しているので少し時間がかかっています。開発したメニューの一つに、おからを生地に使った『おからピザ』があり、地域住民に『うれしの』の活動を知ってもらうために、健康によいクッキーなどの菓子とあわせて、試験的に販売を開始しています」。
 仕事の内容としては、利用者の適性に応じて調理を行うグループと、商品のタグや包装の製作を行うグループに分け、生活介護の利用者も一緒に参加しながら作業に取り組んでいるという。


▲「うれしの食堂」として地域住民に健康食を提供していくことを構想し、メニューづくりに取り組んでいる

オープンダイアローグ」で利用者の心の安定を図る


 そのほかにも、日中活動では「オープンダイアローグ」を実践し、利用者の心を安定させることに取り組んでいる。
 「オープンダイアローグ」は、フィンランド発祥の薬を使わない統合失調症の治療法として注目されており、当事者と支援者が一緒に輪になり、対等な立場で対話するプログラムである。「この取り組みは、一人ひとりの発言に注目し、発言者の『ありのまま』を受け入れていくことがポイントになります。障害のある人たちは注目されず、親や学校の教員のいうことを聞かなくてはいけないという意識をもってきた人が少なくないのですが、プログラムを行うことで普段は落ち着きがない利用者も人の発言に注目し、相手の顔色をうかがうのではなく、いいたいことをハッキリといえるように変化していきます。『うれしの』では毎日実践していますが、効果があることから、法人内の他の事業所でも取り入れています」。
 また、併設する放課後等デイサービスでは、障害のある子どもの養育をサポートしているが、同法人は利用者の就労を中心に取り組んでいることで、子どもたちの今後の見通しが立ちやすく、将来的な相談にも対応できるメリットがあるという。さらに、一般就労につながった利用者の保護者が職員として3人勤務していることから、保護者の立場をよく理解しながら、自分の経験を伝えられることは、放課後等デイサービスの利用者の保護者にとって心強いものとなっている。


▲製造した菓子等を外販する利用者 ▲併設する放課後等デイサービスでは、就労支援に取り組んでいるため、子どもたちの今後の見通しが立ちやすく、将来的な相談にも対応することが可能に

利用者の普通の暮らしを目指し、結婚や子育てをサポート


 同法人では、障害があっても社会人として普通に暮らせる社会の実現を目指し、利用者の結婚や出産、子育てなどのサポートにも積極的に取り組んでいる。
 「障害のある利用者に交際相手ができると生活する喜びにつながり仕事のモチベーションが高まるのですが、これまで当法人では4組の利用者が結婚しています。グループホームで食事の提供や金銭管理、移動支援などを受けながら生活している人もいますし、出産して親子で住んでいる人もいます。なかには福祉関係者であっても、さまざまな困難があることを理由に障害者同士の結婚や出産に否定的な意見もあるのですが、私たちの経験からいうと、支援者など周りからどんなに大事に思われていても、大切なパートナーや子どもができるほうが利用者にとって生きる励みにつながり、人として成長していくことを実感しています」。
 そのほかにも、地域に向けた取り組みとして、障害者の相互理解を深めることを目的に、「障害者の生活と就労を考える交流会」を隔月で開催し、養護学校の教員をはじめ、行政職員、民間企業など毎回80人を超える参加者を集めている。
 交流会では、支援者同士が障害者の相互理解について再認識するとともに、それぞれがどのように関わり、支えることができるかについて話しあう場となっている。企画提案制度により、職員が働きやすい職場環境に 現在、医療・介護の人材不足が深刻化するなか、福祉の現場においても人材確保は厳しい状況にある。
 同法人では、人材確保に向け、採用チームを組織するにあたり、全職員に希望者を募り、応募のあった3人の職員を中心に採用活動に取り組んでいる。比較的若い職員が担当することにより、同世代の人たちの考えていることを理解しやすくなったという。
 人材確保策の一つとして、利用者が日々の生活や苦労していることについて、職員の出身大学で講演活動を行っており、講演を聞いて支援に関心をもった学生が入職したケースも少なくないという。
働きやすい職場づくりの取り組みでは、企画提案制度があり、職員のやりたいことが実現できる風通しのよい職場環境があることで、離職率も低く、働きがいをもって仕事に取り組んでもらうことにつなげている。
 今後の展望について平野理事長は、職域の開拓に取り組んでいるものの、まだ仕事の幅が狭いことから、自分たちの仕事が社会に役に立っていると実感できるような仕事を創出していくとともに、利用者全員の就労を目指していきたいとしている。
 障害の種別・程度を問わず、生きがいにつながる就労支援を実践する同法人の取り組みが今後も注目される。


障害者の「ありのままを受け入れる」意識が必要
社会福祉法人かたるべ会
理事長 平野 章氏
 障害者の一般就労が進まない要因としては、私も企業で障害者雇用を担当していた経験があり、苦労は知っているのですが、企業側の受け入れる意識に問題があると思っています。これまでは、障害者がある程度のレベルに達していなければ就職できないという流れがありましたが、それでは就職できる人は限られてしまいます。
 障害者にも一人ひとりの強みがあり、例えば、自閉症の人なら根気強く作業に取り組むことができ、ダウン症の人は周りを明るくするという力があります。そのようなそれぞれがもつ強みを組織のなかで有機的につなげることで収益を望めるような事業にすることは可能ですし、そのためにも、障害者の「ありのままを受け入れる」という意識を社会に根づかせていく必要があると感じています。
 今後の構想としては、「うれしの食堂」をオープンさせ、地域住民が健康になる食事を提供していくとともに、まずは地域のなかで障害に対する理解を深めていくことに取り組んでいきたいと考えています。


<< 施設概要 >>
施設の概要 社会福祉法人かたるべ会
理事長 平野 章
職員数 82名 法人設立 平成2年8月(社会福祉法人認可:平成15年10月)
法人施設 第1 かたるべ社(生活介護)/第2 かたるべ社(生活介護、就労移行、就労継続支援B 型)/第3 かたるべ社(就労継続支援B 型、短期入所、相談支援事業)/ジャスミン(就労移行、就労継続支援B 型)/うれしの(生活介護、就労継続支援B 型、就労移行、放課後等デイサービス)/グループホーム14カ所
住所 〒226−0003 神奈川県横浜市緑区鴨居1-8-6
電話 045-935-7699 FAX 045-935-7665
URL http://www.katarube.com/


■ この記事は月刊誌「WAM」平成29年10月号に掲載されたものを掲載しています。
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