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— 京都府舞鶴市・社会福祉法人成光苑 地域共生型総合福祉施設ライフ・ステージ夢咲 —

垣根を超えて地域共生社会の実現へ

福祉医療機構では、地域の福祉医療基盤の整備を支援するため、有利な条件での融資を行っています。今回は、その融資制度を利用された京都府舞鶴市の「ライフ・ステージ夢咲」を取りあげます。同施設は、高齢者福祉・障害福祉サービス事業所を併設し、地域共生社会の実現を目指しています。施設概要や実践する取り組みについて取材しました。

▲ 施設の外観

変化するニーズに対応し、地域福祉の向上に貢献


 社会福祉法人成光苑(理事長:高岡 國士 氏)は、時代とともに変化するニーズに対応し、その支援に積極的に取り組むとともに、地域に根ざした施設として地域福祉の向上に貢献することを使命としてきた。
 同法人は、和顔愛語の精神のもと「地域に愛される施設づくり」を目指し、昭和25年に母子支援のため、保育所を開設したことに始まる。
 現在は、法人本部のある大阪府摂津市をはじめ、大阪府北部と京都府北部において、地域に根ざした保育・高齢者福祉・障害福祉事業を展開している。主な施設として、保育所・認定こども園を7カ所、高齢者福祉施設を13カ所、障害福祉施設を2カ所運営し、総事業所数は74カ所にのぼる(令和5年5月現在)。
 近年は、保育事業・高齢者福祉事業・障害福祉事業で地域共生社会の実現に向けて取り組んでおり、令和4年5月には京都府舞鶴市に地域共生型総合福祉施設「ライフ・ステージ 夢咲」を開設した。
 同施設は、地域密着型特別養護老人ホームをはじめ、ショートステイ、訪問介護のほか、障害福祉サービスの障害者グループホーム、生活介護、居宅介護・重度訪問介護、特定相談支援を併設した複合施設となっている。


高齢者・障害者の家族が一緒に生活できる施設


 地域共生型総合福祉施設の開設について、施設長の山本幸一郎氏は次のように説明する。
 「開設経緯としては、舞鶴市の地域密着型特養を整備する公募事業があり、障害福祉サービスを併設した複合施設の新設を提案したところ、採択に至りました。複合施設を提案した理由として、舞鶴市の人口は年々減少しており、平成27年をピークに高齢者人口は微減傾向に入り、将来的に地域密着型特養だけでは経営が厳しいことや、さらに地域の福祉ニーズに応えていくため、高齢者だけでなく障害者も住み慣れた地域で暮らし続けられる複合施設を整備し、地域住民との交流も図りながら地域共生社会の実現に寄与することを目指しています」(以下、「 」は山本施設の説明)。
 計画当時、市内の障害福祉サービスの提供状況としては、入所施設は常に満床で新規入所者の受け入れは難しく、特殊浴槽を備えた生活介護事業所も市内には1カ所しかなく、入浴サービスの利用者のなかには片道1時間以上をかけて通わなければならない状況があったという。
 さらに、地域住民のなかには、障害のある子どもと同居している親自身が高齢となり、子どもの将来に大きな不安を抱えているという声があり、高齢者や障害者の家族が一緒に生活できる施設づくりも開設の目的の一つとなっている。
 また、在宅での生活が困難な障害者とその家族から施設入所を希望する声が少なくないことから、複合施設では住まいの場として障害者グループホームを整備し、利用者が高齢になった際には、特養への住み替えができる環境をつくった。


街中の開設にこだわり、人材確保と地域交流を推進


 地域共生型総合福祉施設「ライフ・ステージ 夢咲」の敷地面積は4,053uで、JR舞鶴線「西舞鶴駅」から徒歩7分と好立地にある。開設地の選定では、通勤の利便性を図り、利用者にこれまでと同じ生活環境のなかでケアを提供し、家族にも頻繁に面会に訪れてもらえるよう、街中に開設することにこだわったという。それにより、地域住民にも施設に気軽に足を運んでもらい、地域交流を図ることを目指している。
 複合施設は鉄骨造2階建てで、1階は障害者グループホームと生活介護、地域交流スペースが入り、2階部分が地域密着型特養の居住エリアとなっている。建物は自然の温もりが感じられる木目調のデザインを採用し、利用者に安らぎと安心感のある生活環境を提供している。
 1階に設置した地域交流スペースは、平常時には地域交流カフェを運営し、災害時には、一般避難所での生活に支障をきたす、一定の配慮を要する人が過ごせる福祉避難所として活用することを想定した。
 「コロナ禍での開設になったため、地域交流カフェは運営に至っていませんが、いずれは営業許可をとり、カフェを開きたい地域住民に運営をしていただき、日常的に施設内外の方々に利用してもらうことを考えています。また、コロナ禍ならではの設備として、玄関以外の外部から直接入室することができる面会室を設置したことにより、面会制限を設けず、対面での面会ができるため、利用者や家族からも喜ばれています」。
 入所定員29人の地域密着型特養は、利用者14〜15人を1ユニットとする2ユニットとショートステイ(6床)で構成している。
 実践するケアの取り組みとしては、特養に限らず、施設全体でリハビリに力を入れている。特養では、理学療法士を配置し、専門的なリハビリを提供できる体制をつくっている。
 「令和3年度の介護報酬改定で個室ユニット型施設の定員が1ユニット『おおむね10人以下』から『15人以下』に緩和され、当初3ユニットで計画していたユニット数を2ユニットに変更したことにより、その分、共同生活室を拡張することができました。そのスペースを活用してリハビリスタッフによる充実した集団プログラムや個別リハビリを提供することに取り組んでいます」。


▲ 地域密着型特養の各ユニットと居室
 ▲ 特養の共同生活室では、広いスペースを活用して理学療法士による集団プログラムや個別リハビリを行う ▲ 地域交流スペースでは、平常時は地域交流カフェを運営し、地域住民との交流を図るとともに、災害時には福祉避難所として活用することを想定

障害種別を問わず、重度の障害者を受け入れる


 障害者グループホームは、「介護サービス包括型」、「外部サービス利用型」、「日中サービス支援型」の3類型があるが、同施設は常時介護を必要とする利用者に対し、24時間対応の支援体制を確保する「日中サービス支援型」として運営している。主に重度の障害者を対象とし、身体・知的・精神の障害種別を問わず受け入れており、人工呼吸器の使用や喀痰吸引などの医療的ケアが必要な利用者も視野に入れているという。
 現在の利用状況は、特養とグループホームともに稼働率はほぼ100%で、開設から1カ月で満床になっている。
 グループホームの利用者の障害支援区分(6段階で数字が大きいほど支援度合いが高い)の平均は5.3で、重度の方が大半を占めて20〜64歳の方が利用している。
 とくにグループホームは、地域に重度の方の受け皿がなかったことや、利用対象が舞鶴市民に限られる地域密着型特養とは異なり、市外からの利用も多く、広範囲で支援ニーズが高いという。
 また、併設する生活介護では、主に重度の障害者に対して日常生活の援助を行うとともに、創作活動やリハビリの提供を通じて、身体機能・生活能力の向上に取り組んでいる。入浴支援では地域で不足していたリフト浴・機械浴の2種類の特殊浴槽を設置し、支援ニーズに応えている。


▲ グループホームの居室と共同生活室


生活介護で利用者同士が交流


 「生活介護は、高齢者の通所介護のように新規の利用ニーズがある事業ではないため、開設当初はグループホームの利用者が中心で、稼働率は75%ほどで推移していました。ただ、舞鶴市には特別支援学校があり、毎年20人のほどの卒業生がいるため、重度障害のある方の利用につながり、現在は稼働率が90%を超え、今後も地域からの利用者が増えていくことが見込まれています」。
 日中の施設内では生活介護が最も活動的な場であることから、特養の利用者で身体を動かしたい、何か活動をしたいという方が、スタッフと一緒に生活介護のレクリエーションに参加し、利用者同士が交流することも日常的な光景となっているという。
 そのほかにも、同施設は高齢者や障害者である家族が一緒に生活できる場を提供することも特徴の一つとなっている。
 「開設から間もないこともあり、実際にそのような利用ケースはないものの、それに近いケースとして、自宅で障害のある子どものケアをしながら、自分の両親の介護をしている方から入所に関する相談が寄せられています。このようなニーズは必ずあると思いますし、いつでも対応できる体制を整備しています」。  


さまざまな経験を通してスタッフが成長


 複合施設を開設した効果としては、スタッフの成長につながっていることをあげる。
 「これまで交わることのなかった高齢分野と障害分野のスタッフが情報共有を行い、単体施設では経験できない体験やスキルを身につけることで、さまざまな視点でケアができるようになっています。当施設では高齢・障害分野の境界がなくなり、福祉という大きな枠組みで支援を考えることが浸透しつつあります。このような考えが広がることは、地域共生社会の実現につながる一歩になるのではないかと思います。また、開設に向けた採用活動では、施設のコンセプトや地域共生社会を推進する複合施設の方針に共感したり、魅力を感じて応募してくれた人が多く、職員の確保にもつながりました」。
 一方、複合施設を運営していくうえでの課題として、さまざまなハンデキャップをもつ利用者に対応していくため、専門的な知識・スキルを獲得し続ける必要があるとしている。とくにグループホームでは、障害種別を問わず、重度の利用者を受け入れているため、医療的ケアを充足させるとともに、幅広い障害特性に応じた適切なケアを提供していくことが重要だとしている。
 スタッフの育成に向けた取り組みとして、令和5年5月に人事では、高齢分野・障害分野を超えて、担当業務の変更を実施している。
 「スタッフにとっては、戸惑いや新たな知識やスキルを獲得するために苦労があったと思いますが、福祉に携わるうえで必ずプラスになり、”福祉人“としての成長につながると考えています」。
 地域共生社会の実現とともに、高齢者と障害者が住み慣れた地域で暮らし続けることを支える同施設の今後の取り組みが注目される。  


▲ 生活介護では、重度障害の利用者に対し、創作活動の提供やリハビリを通じて機能向上に取り組む。
 入浴サービスでは2 種類の特殊浴槽を完備
▲ 外部から直接入室できる面会室を設置し、コロナ禍でも対面での面会が可能に


障害者の働く場、活躍できる場をつくる
社会福祉法人成光苑地域共生型総合福祉施設ライフ・ステージ夢咲
施設長 山本 幸一郎氏
 今後の展望としては、さまざまなハンデキャップをもつご利用者に適切なケアを提供していくために、さらにスタッフの教育に力を入れていく必要があると考えています。また、グループホームのご利用者は障害程度が重いため、日中に就労支援事業所などに通うご利用者は1人しかいませんが、将来的に就労を希望するご利用者に対して、施設内外に働く場や活躍できる場をつくりたいという思いがあります。
 さらに、コロナ禍で実施できなかった地域住民との交流を進め、地域に頼りにされる施設を目指していくとともに、障害をもつ人たちへの理解を深めていくことが地域共生社会の実現につながると考えています。



<< 施設概要 >>
理事長 高岡 國士 開設 令和4年5月
施設長 山本 幸一郎
併設施設 【高齢者福祉】 地域密着型特別養護老人ホーム(定員29人)、ショートステイ(6床)、訪問介護
【障害福祉】 障害者グループホーム(定員20人)、ショートステイ(2床)、生活介護(定員20人)、居宅介護、重度訪問介護、特定相談支援
住所 〒624−0841 京都府舞鶴市字引土小字河原田470番
TEL 0773−78−3131 FAX 0773−78−2233
URL https://swc-seikouen.or.jp/


■ この記事は月刊誌「WAM」2023年8月号に掲載されたものを一部変更して掲載しています。
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