トップ背景

トップ

高齢・介護

医療

障害者福祉

子ども・家庭

知りたい

wamnetアイコン
検索アイコン
知りたいアイコン
ロックアイコン会員入口
トップアイコン1トップ |
高齢アイコン高齢・介護 |
医療アイコン医療|
障害者福祉アイコン障害者福祉|
子どもアイコン子ども・家庭
アイコン



勤怠管理システム・勤務シフト作成支援システム
福祉医療広告

高齢・介護
医療
障害者福祉
子ども・家庭

サービス取組み事例紹介
トップ

— 神奈川県愛甲郡愛川町・社会福祉法人愛川舜寿会 春日台センターセンター —

コミュニティの中心であった施設跡に共生型施設を運営

神奈川県愛甲郡愛川町にある「春日台センターセンター」は、認知症グループホーム、小規模多機能型居宅介護、放課後等デイサービス、就労継続支援を併設した地域共生文化拠点となっています。施設概要や実践する取組みについて取材しました。

▲ 施設の外観

地域に根ざした高齢者福祉、障害福祉事業を展開


 神奈川県愛甲郡愛川町にある社会福祉法人愛川舜寿会は、「共生・寛容・自律」という法人理念のもと、地域に根ざした高齢者福祉、障害福祉事業を展開している。
 開設施設は、愛川町において特別養護老人ホーム「ミノワホーム」と、厚木市に認可保育所「カミヤト凸凹保育園」を運営。定員58人の特養では、デイサービス、居宅介護支援事業所、配食サービスを運営するほか、平成24年から生活困窮者支援事業の「かながわライフサポート事業」を開始している。
 また、認可保育所では、児童発達支援、放課後等デイサービスを行う障害児通所支援事業所「カミヤト凸凹文化教室」を併設し、保育と療育を一体的に提供するインクルーシブ保育を実践している。
 現理事長の馬場拓也氏は、世界的に知られるアパレルブランドを退職後、平成25 年から理事長に就任し、新たに「地域の人々と、ケアを起点としたコミュニティを再構築し、社会をヒラキ”やさしく“する」というビジョンを掲げ、先進的な視点でまちづくりを推進している。
 その取り組みの一つとして、運営する特養では利用者がまちの動線と交われるように、施設と道路の間にあった約80メートルの壁を取り払って庭をつくり、利用者だけでなく、地域にも開放した。閉鎖された空間ではなく、利用者と地域住民の双方に施設や地域での生活を見えるようにすることで、認知症高齢者や障害をもつ人たちへの理解が高まり、日常的な交流が生まれるきっかけになったという。


地域共生文化拠点「春日台センターセンター」を開設


 さらに、同法人は令和4年3月に愛川町の公募事業の採択を受け、「春日台センターセンター」を開設した。
 同施設は、認知症グループホーム、小規模多機能型居宅介護、放課後等デイサービス、就労継続支援事業所のほか、地域交流や学習支援の場を併設した地域と福祉をつなぐ地域共生文化拠点となっている。開設地は、昭和44年に開業して以来、地域住民の生活の中心であったスーパーマーケット「春日台センター」跡地(平成28年閉店)に開設した。
 地域文化共生拠点を開設した経緯について、馬場理事長は次のように説明する。
 「公募の要件としては、認知症グループホームと小規模多機能型居宅介護の整備でしたが、地域で不足していた障害福祉サービスに加え、地域共生文化拠点として高齢者・障害者とふれあう機会をつくり、相互理解を深めながら地域全体をケアすることを提案し、採択されました。また、開設地は、向かいに自治会館があり、施設間の通りは商店街につながる、かつてはコミュニティが息づいた場所でした。地域住民にとってもなじみがあり、地域に開かれた施設をつくるには絶好の場所だと考えていました。ただ、この土地は神奈川県住宅供給公社が所有していたため、公募がかかるのを待たなくてはなりませんでした。その間、担当職員に地域貢献につながる社会福祉事業を計画していることを相談し、共感してもらっていたところ、土地を公募にかけるという連絡をいただきました。結果的に、施設整備と土地取得の2つの公募の採択を受け、開設に至りました」(以下「 」内は馬場理事長の説明)。
 なお、施設名は、子どもから高齢者の生活の中心であった「春日台センター」を、再び地域の中心(センター)にしていくという想いが込められている。


 ▲▼ 小規模多機能型居宅介護は、空いている時間をオープンスペースとして開放。放課後に子どもたちが集まり、勉強をしたり駄菓子を買って楽しむ場として活用されている ▲ 大きくせり出した庇のある軒下には縁側を設け、利用者や地域住民が交流するスペースとして活用されている
  ▲ 併設するグループホームと放課後等デイサービスでは、高齢者と子どもの日常的な交流が行われている

地域の日常生活の動線上にある福祉施設


 令和4年2月に開設した「春日台センターセンター」の敷地面積は約1,500u。建物は全長42mの横長の木造2階建てとなっている。
 1階の手前から就労継続支援事業所のコインランドリーとコロッケスタンド、小規模多機能型居宅介護、認知症グループホーム(1〜2階部分)が入り、2階には学習支援を行う寺子屋、地域交流スペースのコモンズルーム、テラスを設置している。
 「施設のコンセプトとしては、地域の日常生活の動線上にある福祉施設を掲げています。福祉施設は地域に開かれた場所であることが重要ですが、地域住民にとっては目的や用事がなければ足を運ばないため、コインランドリーや総菜を販売するコロッケスタンドを設けました。また、福祉の営みを見える化するとともに、さまざまな交流体験ができる環境をつくり、相互理解を深めることを目指しています」。
 施設設計では、大きくせり出した庇ひさしが特徴となっており、軒下に縁側をつくり、利用者だけでなく、地域住民が腰をかけて会話を楽しむ場所として活用されている。
 さらに、施設内には2つの通り土間をつくることで、靴を脱がなくても施設内を通り抜けることができ、利用者や地域住民などの多様な人たちが行き交う環境を生み出している。施設の反対側には閑静な住宅街が広がっており、近道として利用されるなど、施設が地域生活の動線上に組み込まれていることが特徴となっている。
 2階に設置したコモンズルームは、地域交流スペースとして地域住民に開放しており、3室ある個室はシェアオフィスとして利用することができる。また、寺子屋では、子どもの学習支援や地域住民の生涯学習を行うほか、愛川町の委託事業として不登校の子どもを対象にした学習支援を実施している。


 ▲ 施設内は通り土間でつなぐことで、靴を脱がなくて通り抜けることができ、利用者や地域住民が行き交う環境を生み出している ▲ 設置したコインランドリーでは、就労継続支援A 型事業として衣類の洗濯、乾燥、たたみまでを行う洗濯代行サービスを実施している
 ▲ 2階に設置したテラスは、外階段から上がれるため、誰でも利用することができる ▲ 就労支援B型事業として利用者が揚げたてのコロッケを販売

利用者と地域住民が日常的に交流


 各事業所の取り組みとしては、併設する認知症グループホームと放課後等デイサービスは、多世代共生型として運用しており、高齢者と子どもたちが日常的な交流を行っている。
 「通い・泊まり・訪問」を一体的に行う小規模多機能型居宅介護では、日中の利用者は主にダイニングスペースで過ごすため、その間の空いた空間を誰でも使えるオープンスペースとして開放している。夕方から駄菓子を販売しており、学校帰りの子どもたちが集まり、駄菓子を買って楽しむ場となっている。また、保育所や幼稚園帰りの親子が休憩に利用する場所として地域になじんでいる。
 就労継続支援事業としては、コインランドリーで洗濯代行サービスを行う「洗濯文化研究所」を就労継続支援A型事業、コロッケスタンドの「春日台コロッケ」を就労継続支援B型事業として実施している。
 「洗濯代行サービスは、地域住民の家事の負担軽減を就労支援により実現できないかと考えました。普通にコインランドリーとして利用することができますし、クリーニング屋として衣服を預かり、洗濯、乾燥、たたみまで利用者が行っています。お客さんの自宅まで集荷、配送するデリバリーサービスも実施しています」。
 洗濯代行サービスの取り組みは、「洗剤を正確に量る」、「衣類をたたむ」、「接客」を行うなど、作業工程を細分化できるため、利用者の特性や得意なことに応じた作業を割り振ることが可能となっている。利用者のなかには細かな汚れや変化にも敏感に気づくことができる人もいるという。
 また、「春日台コロッケ」では、地域住民に愛されていたスーパーのコロッケのレシピを継承し、利用者が調理、接客、販売までを行っている。放課後等デイサービスの卒業生が就労実習として働き、人との交流を通して社会経験を積む受け皿にもなっている。
 「どちらの仕事もお客さんから直接感謝の言葉をかけてもらえるため、自分が必要とされていることを実感できる活動になっています。支援者側としては、施設内で就労までワンストップで支えるという発想ではなく、利用者がさまざまな働き方ができる選択肢を用意していくことが大事だと考えています」。


自治会と相互に協力しあう関係性を構築


 地域交流の取り組みとしては、利用者・地域住民の日常的な交流とともに、季節行事などのイベントを自治会と協働し、開催している。
 「例えば、これまで夏祭りは近隣の公園を使用していましたが、開設後は自治会と協働し、当施設と自治会館の間にあるスペースに櫓を組んで開催しています。自治会は当施設に多様な人たちが集まり、地域が活性化していることを喜んでくれており、イベントの用意や人手が足りないときに声がかかるなど、当法人を頼りにしていただいています。我々も行政に要望を出すときには、一法人としてではなく、地域の意見として自治会を通して伝えてもらうなど、相互に協力しあう関係が構築されています」。
 今後は地域住民がつくった農産物を販売するマルシェを毎週日曜に開催することを予定しており、地域住民の利益や生きがいを生むことにより、さらに地域の活性化につなげていきたいとしている。


交流を通じて高齢者・障害者への理解が深まる


 地域共生文化拠点を開設した効果として、多様な人たちが施設に集い、交流活動を通して高齢者や障害をもつ人への理解が深まっているという。
 「当施設は、多い日には子どもを中心に100人以上の地域住民が利用しており、交流を通して高齢者や障害者のことを知り、共生していくことが当たり前の感覚となっています。夕方、学校帰りの子どもたちが集まると、利用者は縁側に出てきて子どもたちが遊んでいる様子を眺めることが日常的な光景となっていますが、施設内でも1日の時間の流れがわかり、外に出るきっかけをつくってくれています。ただ、本当の意味での地域共生文化拠点としての効果は施設に来てくれる子どもたちが将来、社会課題に目がいく大人になってくれるなど、10年後にならないと見えないと思っています」。
 ケアを起点としたコミュニティの再構築を行う同法人の今後の取り組みが注目される。


 ▲ 施設前にある商店街に続くプロムナードは、子どもたちの遊び場となっている ▲ 広々とした空間のコモンズルーム

舞台になることがメリット
社会福祉法人愛川舜寿会 春日台センターセンター 理事長 馬場 拓也氏
 多様な人たちが集う地域共生文化拠点を開設しましたが、このような取り組みは居場所となるとともに、舞台になることが大きなメリットとなります。例えば、障害者がコロッケを販売しているのは事業所ではなく、周りから注目を集める舞台であり、生きがいにつながっています。
 今後の展望としては、障害者の住まい支援とともに、生活困窮者や帰巣先のない受刑者のサポートを行う仕組みづくりが必要であり、社会福祉法人として取り組んでいかなければならない課題だと考えています。



<< 施設概要 >>
理事長 馬場 拓也 開設 令和4年3月
併設施設 認知症グループホーム(定員18人)、小規模多機能型居宅介護(定員25人)、放課後等デイサービス(定員10人)、就労継続支援A・B型事業所(定員各10人)
法人施設 特別養護老人ホーム「ミノワホーム」(入所定員58人)、認可保育所「カミヤト凸凹保育園」(定員90人)、放課後等デイサービス「カミヤト凸凹文化教室」(定員10人)
住所 〒243-0302 神奈川県愛甲郡愛川町春日台3丁目6−38
TEL 046−280−4822
URL https://aikawa-shunjukai.jp/


■ この記事は月刊誌「WAM」2024年8月号に掲載されたものを一部変更して掲載しています。
  月刊誌「WAM」最新号の購読をご希望の方は次のいずれかのリンクからお申込みください。




ページトップ