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医療法人社団綾和会 掛川東病院

官・民・地域協働の「希望の丘」の中核を担う

 静岡県掛川市は、地域包括ケアシステムの実現に向けて、平成27年4月に「希望の丘」を開設した。医療・介護・福祉・保健・教育に関する多機能施設を集約し、官・民の協力のもと一体的に健康福祉に貢献することを目指している。「希望の丘」のなかで中核的な役割を担う医療法人社団綾和会掛川東病院の取り組みについて、取材した。

※ この記事は月刊誌「WAM」平成27年11月号に掲載されたものを一部変更して掲載しています。

新たな地域包括ケアシステムのモデル


 少子高齢化や人口減少が進行するなか、誰もが住み慣れた地域のなかで安心して暮らせる地域包括ケアシステムの構築が進められている。このようななか静岡県掛川市は、平成27年4月に同システムの新たなモデルとして「希望の丘」を開設し、全国的な注目を集めている。
 「希望の丘」は、“健康医療日本一のまちづくり”を目指す掛川市が、医療・介護・福祉・保健・教育に関する多機能施設を集約し、官・民の協力のもと一体的に健康福祉に貢献する計画である。
 同市は平成25年5月に、掛川市立総合病院と隣接市の袋井市民病院の2つの総合病院を統合し、両市をはじめとする中東遠(ちゅうとうえん)地区における急性期医療を担う基幹病院として中東遠総合医療センター(500床)を開設。異なる市が協働して公立病院を合併したことは、全国的にも稀なケースであったが、「希望の丘」は閉院した掛川市立総合病院跡地の約8ヘクタールにおよぶ広大な敷地を活用し整備された。
 集約した施設は、掛川東病院を中心に、特別支援学校、特別養護老人ホーム、保育所、生活介護事業所、障害児学童保育施設、地域健康医療支援センター「中部ふくしあ」で構成され、それぞれ異なる法人により運営されている。


 ▲ 「希望の丘」は8 ヘクタールの広大な敷地に、さまざまな多機能施設が集まる。  ▲ 「掛川東病院」の外観

 「ふくしあ」は、掛川市が整備を進めている在宅医療・介護や生活支援など在宅生活を総合的に支える地域拠点となる。専門職を配置し、多職種連携による相談対応や支援を行 っており、希望の丘内にある「中部ふくしあ」を含め、市内5カ所に整備されている。


地域完結型医療の実現に向け、急性期病院の補完機能を担う


 「希望の丘」のコンセプトとして、それぞれの施設が医療や福祉、子育てなどの、さまざまな課題解決に対応するだけでなく、施設間の連携を図り機能強化につなげることを掲げる。さらに地域住民との連携を深め、幼児から高齢者まで幅広い世代間交流や利用者相互のふれあいの機会を提供するとともに、地域住民の健康維持に対する意識を高めていくことを目指している。
 また、「希望の丘」においては、地域完結型医療の実現に向け、中東遠総合医療センターの機能を補完する後方支援病院として、掛川東病院が中核的な役割を担っている。
 同院を運営する医療法人社団綾和会は、平成2年の設立以来、常に患者の視点に立ち、最適な入院・療養環境を提供するとともに、安全性の高い医療を実践してきた法人である。同年、焼津市に開設した駿河西病院(療養病床200床)をはじめ、平成12年に掛川北病院(療養病床200床)、平成18年に浜松南病院(一般病床50床、療養病床100床)を開設。今回新設した掛川東病院を含め、療養病床を中心に4つの病院や介護老人保健施 設などを運営しており、総病床数は県内でも有数の1,040床にのぼる。
 医療法人社団綾和会が「希望の丘」へ参画した経緯について、同法人理事長の横田通夫氏は、次のように語る。
 「当法人は、市内に療養病床の掛川北病院があり、長年にわたり総合病院との連携体制を構築してきました。質の高い診療を提供してきた実績を高く評価していただき、掛川市から強い要請を受けたことがきっかけです。国の中長期的な施策として療養病床は削減の方向に進んでいますが、掛川市の掲げる『希望の丘』や『ふくしあ』の構想に賛同するとともに、地域医療に貢献したいという想いから病院の新規開設を決めました」。
 そのほかの理由としては、地震の多発地域である静岡県において、予測される大規模災害に備え、免震構造の建物を新築できることも要因となった。


掛川市で初となる回復期リハ病床を開設


 着工から1年半を経て、平成27年4月に完成した掛川東病院は、免震構造の地上5階建てで、病床は3・4階に療養病棟200床、5階に回復期リハビリテーション病棟40 床の全240床となる。2階には介護老人保健施設「桔梗の丘」(100床)を併設するほか、1階に通所リハビリテーション事業所やリハビリ室、院内保育所などを設置している。


 ▲ 掛川東病院の外来・エントランス  ▲ 職員の働きやすい環境をサポートするため、運営するすべての病院に院内保育所を設置している

 施設設計の工夫として、今後10〜20年と建物を使用していくなかで、これからの医療制度改革や地域のニーズの変化にも対応した設計変更ができるよう、居室や廊下幅などは施設基準以上の広さを設けたことが特徴となる。
 同院の病床編成について、同法人常務理事の笠間雅彦氏は、「当初の計画では、掛川市の要件にあったのは療養病床240床のみというものでした。しかし、当法人は市内にすでに200床の療養病床を有していたこともあり、ただ240床の療養病床を新たに新設しても既存の病院と何が違うのかという思いがありました。そのため、今後の医療制度改革を見越したうえで、後方支援病院として在宅復帰支援の機能を強化するためにも回復期リハビリテーション病床を入れるべきだと考えました。これまで回復期リハ病床は当法人だけでなく、掛川市にもありませんでしたので、その部分の苦労はありました」と説明する。
 また、院内に老健を併設することで、他病院・施設からの入所を受け入れるとともに、ショートステイや通所リハビリテーションなど、在宅介護をしている患者のフォロー体制を整えた。病院併設型の老健のメリットとして、夜間・休日でも病院の当直医師が急変時等の対応をすることができ、単体の老健では入所困難な患者の受け入れが可能になることをあげており、患者家族にとって安心できる環境をつくった。


 ▲ 療養病棟の個室。多床室も含め、すべての病室に使い勝手のよい家具や車いす対応の洗面台を備える

セラピスト50人を配置し、質の高いリハビリを提供


 同院は「希望の丘」の中核施設として、主に中東遠総合医療センターをはじめとする地域の急性期病院の転院先としての機能を有し、急性期医療を終了した回復期や慢性維持期、在宅復帰に向けた患者の医療を担うことが役割となる。院内には計400uを超えるリハビリスペースを備え、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のセラピストは50人を配置している。回復期だけでなく、長期療養の患者に対しても、在宅復帰の可能性があれば家族のニーズを踏まえながら、積極的なリハビリを提供する。

               
 ▲ 同院には計400uのリハビリスペースがあり、セラピストを中心とした多職種連携により質の高いリハビリを提供する  ▲ セラピストのスタッフルーム

 回復期リハビリテーション病棟では専従のセラピストを24人配置し、回復期リハ病棟の要件でもある365日リハビリ対応が可能な体制を整えている。今年9月時点の稼働状況は、1日平均の入院患者数は33人で推移しており、在宅復帰率は85%と、当初に掲げた目標を達成している。
 入院患者の内訳は、骨折が50%、脳血管障害が25%、脊椎損傷その他が25%で、主に中東遠総合医療センターからの紹介が中心となるが、近隣の総合病院からの紹介も増えている。
 急性期病院と在宅をつなげるための取り組みとしては、法人として初のフル電子カルテを導入した。医療機関間で診療情報の共有ができるため、よりスムーズな連携が可能になったほか、各種の地域連携パスを導入し、回復期の患者の受け入れを行う。また、地域連携室が中心となり、連携先の医療機関に対して綿密な報告を行うことで信頼関係を高めることを大切にしている。


診療所や「ふくしあ」と連携し、在宅生活を支援


 在宅復帰に向けた地域連携については、希望の丘内にある「中部ふくしあ」や地域の診療所と連携を図り、入院からの在宅復帰、在宅復帰後のフォローアップ、QOLを尊重した療養生活を支援する。
 「『中部ふくしあ』には、医師会が運営する診療所や居宅介護事業所のほか、当法人が運営する訪問看護・訪問リハビリテーション事業所が入っています。診療所の医師と連携し、入院後の患者をしっかりとお返しするとともに、在宅復帰後の生活を支えられるサービスが提供できる体制を整備しています」(木村院長)。
 そのほかにも、同院に併設する老健のショートステイや通所リハビリを利用することで退院後の継続的なリハビリだけでなく、自宅で介護している家族のレスパイトにつなげている。
 病院の新規開設にあたっては、多くの医療従事者を確保する必要があったが、職員が知り合いに声を掛けるなどの協力を得て、確保することができたという。
 職員の人材確保・育成について、同院理事・事務局長の竹下康夫氏は、「とくにリハビリ関係のセラピストは多くの人材が必要でしたが、養成学校の講師をしていた方に入職してもらい、つながりのある学校に呼びかけてくれたことで県内外から新卒を含めて職員を採用することができました。また、人材育成の体制では、教育委員会が中心となり職員教育の推進を図るほか、中東遠医療総合センターとの合同研修や、セラピスト養成学校の講師による院内研修を実施しています」と語る。


事業者連絡会を開催し、施設間のつながりを構築


 「希望の丘」の施設間の連携については、掛川市と各施設の代表者が集まる「事業者連絡会」を毎月開催し、施設が有機的につながる仕組みを構築するための協議を行っている。
 すでに同院では、生活介護事業所からの要請を受け、指導にあたるセラピストを定期的に派遣したり、特別支援学校の肢体不自由の生徒に対するリハビリ提供を開始している。特別支援学校は高等部まであるため、生徒の職業訓練の場や将来的には働く場を提供していくことも構想するなど、開設からまだ間もないが、少しずつ施設間のつながりが生まれている。さらに地域住民を巻き込んだ交流事業を進めるために、「希望の丘運営委員会」を年3回開催する。掛川市や地域の地区長、施設事業者のほか、オブザーバーとして地域医師会や歯科医師会、薬剤師会に参加を呼びかけ、医療・福祉、教育、文化、防災など、多方面にわたる交流を計画している。
 地域への取り組みとしては、開設にあたり、地域住民に向けた公開講座を開催しており、「園芸療法」、「動物介在療養」、「漢方医療」をテーマにした講演を行い、200人以上の地域住民を集めた。園芸療法には高い関心が寄せられたことから委員会を発足し、地域住民と患者・利用者が交流しながら、花や野菜を育てる活動も始まっている。


 ▲ 200 人以上を収容できる多目的ホールは、研修をはじめ市民公開講座など、各種イベントに活用される

 「市民公開講座は大変好評で、開催を要望する声が多く寄せられています。幸いにして当院には医師や看護師、セラピストだけでなく管理栄養士や歯科衛生士がいますので、今後も定期的に開催していく予定です。公開講座を通じて病院に足を運んでもらい、何かあったときは気軽に何でも相談してもらえるような関係性を構築し、地域に貢献していきたいと思っています」(木村院長)。
 急性期病院の後方支援とともに、「希望の丘」の中核施設として、施設や地域住民との連携を進める、同院の取り組みが今後も注目される。


認知症患者の長期療養も必要
駿河西病院 院長 医療法人社団綾和会
理事長 横田 通夫氏

 当法人は、平成2年の開設以来、「患者さんに対してやさしい心と思いやりのある心で、医療・看護・介護を実践する」ことを基本理念に掲げ、地域の事情に適した医療・福祉サービスを提供してきました。
 現在、医療の問題点として、救急医療・急性期医療から慢性期医療・在宅医療への移行が効率的に行われずに、そのひずみが患者へのリスクになっていると感じています。また、在宅復帰を目指すなかで、一番のネックとなる認知症の患者に対して、社会全体でサポートしていく体制についても、もっと真剣に考えていけなければなりません。
 一方で在宅復帰という掛け声は理想的ではありますが、それを支える家族のことを考えると、長期療養の患者を預かるという部分を充実させることも大切なことではないかと感じています。


「希望の丘」の施設を有機的につなげる
医療法人社団綾和会 掛川東病院
院長 木村 正人氏

 掛川市が計画した保健医療福祉の重要施設が集合する「希望の丘」は、素晴らしい構想になりますが、どのように活用していくのかが一番大切となります。それぞれの施設の患者・利用者の生活を「希望の丘」のなかで有機的につなげていくためにも、医療・介護の双方を担う施設として、当院が果たさなければならない役割は大きいと感じています。少しずつではありますが、施設や地域住民とのつながりが生まれているので大きな流れにしていきたいと思います。
 また、当院は、急性期医療の後方支援病院として、回復期・慢性期医療を総合的に提供していますが、地域の患者の生活の質を高め、急性期医療から慢性期医療、そして在宅医療への流れをしっかりと支えることで、地域に貢献していきたいと考えています。


<< 法人概要 >>
法人名 医療法人社団綾和会 掛川東病院 病院開設 平成27 年4 月
住所 〒436-0030
静岡県掛川市杉谷南1丁目1-1
理事長 横田 通夫 氏 病院長 木村 正人 氏
職員数 270 人(法人全体1,080 人)
病床数 240 床(医療療養病床200床、回復期リハビリテーション病床40床)
診療科 内科、整形外科、リハビリテーション科
併設施設 介護老人保健施設桔梗の丘(100 床)/通所リハビリテーション(定員40 人)
法人施設 駿河西病院(療養病床200 床)/介護老人保健施設焼津ケアセンター(150 床)/
掛川北病院(療養病床200 床)/浜松南病院(一般病床50 床、療養病床100 床)
電話 0537−23−7111 FAX 0537−23−7116
URL http://www.kakegawa-higashi.com/


■ この記事は月刊誌「WAM」平成27年11月号に掲載されたものを一部変更して掲載しています。
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