厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会(部会長:菊池馨実・早稲田大学法学学術院教授)が2月20日に開催された。次期制度改正(2027年度・第10期介護保険事業計画)に向けた議論が令和6年12月23日(第116回)より始まっているが、2回目となる今回は、地域包括ケアシステムの深化に伴う相談支援のあり方、認知症施策の推進、要介護認定の認定審査期間等に焦点を当て、26名の委員による踏み込んだ議論が交わされた。
地域における相談支援のあり方
地域包括支援センターと居宅介護事業所の役割分担が重要に
地域において、利用者がさまざまな関係機関とつながるために最も重要な役割を果たすのが、「相談支援」である。先般(令和6年12月12日)中間整理が行われた「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」でも言及されたように、今後の高齢者の状況を考えると、医療・介護ニーズだけでなく、生活や住まいに関する複合的かつ多様なニーズを満たす相談支援のあり方が問われてくる。
その際に課題となるのが、居宅介護支援事業所と地域包括支援センターの役割分担である。介護サービスを地域のさまざまな社会資源も含めてケアプランに位置付け、自立支援につなぐ個別マネジメント(居宅介護事業所)と、それら個々の課題を地域課題として捉え、地域における多様な関係者と連携しながら新たな社会資源を創出する地域マネジメント(地域包括支援センター)を、それぞれが担うことが求められる。
これらの課題について、各委員からは、「十分な相談支援機能を発揮するため、ケアマネジャーの人材確保と定着、処遇改善、業務の負担軽減(特にシャドーワークと呼ばれている業務に関して)に力を入れていくことが必須である」という意見が出た一方で、「必要不可欠なシャドーワークもあり、“ソーシャルワーカー”としてカウンセリング機能も果たすケアマネジャー本来の力を発揮する場面もあるのではないか」「そもそもケアマネジャーの本来業務とは何か」という指摘があった。
また、「85歳以上の独居高齢者、認知機能が低下した高齢者の増加に対し、相談支援機能とリンクした権利擁護、意思決定支援、日常生活支援のパーソナルなネットワーク構築も重要だ」「主任ケアマネジャーが多忙なため本来の役割を果たせていない」という意見もあがった。
認知症基本法に基づいた認知症施策の推進
認知症の有病率は85歳を過ぎると大幅に上昇し、介護の必要な高齢者が今後さらに増えると見込まれる。今後は認知症基本法に基づき、認知症の人自身や家族が参画する新しい認知症観に基づいた施策を進めていく必要があり、地域における認知症カフェの開催、ピアサポートの充実などにより、当事者活動を支え、本人からの発信につなげていくことも重要とされている。また、そのために専門職や関係者が連携し、認知症の容態に応じた適切なサービスを提供することも求められる。
これらについては、委員から「認知症初期集中支援チームと地域包括支援センターとの業務の棲み分けが難しい。特に制度設計の整合性が図れていない」「災害時の認知症独居高齢者への対応に課題がある」「老老世帯にも関わらず、同居家族がいるからと支援が滞る事例が見受けられる」「認知症ケアパスの位置付けとさらなる活用促進のために、バリアフリーの視点を入れてはどうか」などの意見が示された。
要介護認定の認定審査期間は30日以内に
さらに、要介護認定の認定審査期間の短縮に関しては、参考案として、「認定審査の実施」「主治医意見書の入手」「介護認定審査会の開催」の3つの期間を合わせて30日以内とし、全国の自治体における取り組み状況を公表してはどうか、という事務局案が提示された。これについては、「公表することや期間の目安を示すことは大事だが、むしろいかに各保険者が効率化、迅速化できるかのポイントを示すことこそが重要。審査期間を短縮するためにどのような工夫の余地があるのか対応策をあげてほしい」「現在認定期間が31日を超えている実態に関しては自助努力だけでは解決できない多くの実情があり、個々の対応策を丁寧に議論しないと意味がないのでは」という意見も示された。これらの意見に留意したうえで、今後の実施に向け案が進められる運びとなった。