こども家庭庁の「こども家庭審議会:幼児期までのこどもの育ち部会」(部会長:秋田喜代美・学習院大学文学部教授/東京大学名誉教授)が2月18日に開催され、「こどもまんなか実行計画2025」の策定に向けた意見交換が行われた。
「こどもまんなか実行計画」とは、「こども大綱」で示された基本方針に沿って進めるべき具体的施策を、年度単位でとりまとめた“アクションプラン”のこと。例年6月頃に内閣総理大臣を長とする「こども政策推進会議」が策定することとなっており、それに先立って意見出しする機能を、こども家庭審議会の各部会が担っている。
生涯のウェルビーイングに影響を及ぼす
「母親の妊娠期〜小学校1年生」の100か月
この日、幼児期までのこどもの育ち部会では、事務局が「保育所・認定こども園における保育に関する最近の動向」や「『はじめの100か月の育ちビジョン』の関連施策の進捗状況」について説明を行い、これを受けて各委員が、「こどもまんなか実行計画2025」に盛り込むべき事項について発言した。
なお、「はじめの100か月の育ちビジョン」とは、母親の妊娠期から小学校1年生までの期間=「はじめの100か月」が、生涯にわたるウェルビーイング(身体・心・環境の面での幸せ)に影響を与える特に大切な時期とされていることから、施策推進上、この時期において大切にするべき点をまとめた申し合わせ事項のことで、正式名称は「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン」(令和5年12月22日閣議決定)という。
同ビジョンは、大きく分けて、次の5つの柱で構成されている。
@こどもの権利と尊厳を守る
A「安心と挑戦の循環」を通してこどものウェルビーイングを高める
B「こどもの誕生前」から切れ目なく育ちを支える
C保護者・養育者のウェルビーイングと成長の支援・応援をする
Dこどもの育ちを支える環境や社会の厚みを増す
子育て版ケアマネ
親子関係がこじれたときのショートステイ
委員からは、今後の支援体制で注力すべきポイントとして、妊娠期に関しては、「うれしい妊娠でも、予期せぬ困った妊娠でも、まずはすぐ相談できる体制づくりが必要ではないか」と広く相談できる体制づくりを求める意見が出された。また、子育て期に関しては、「子育て支援全般について、介護保険のケアマネージャーのように『これとこれが使えますよ』などとサービスをコーディネートする“子育て版ケアマネ”をつけてはどうか」とプッシュ型の伴走支援を求める意見が出された。さらに、親子関係を再構築する施策の一環として、「虐待まではいかなくとも、親子関係がこじれたときに、こどもたちが駆け込める“宿泊ありのショートステイ”の提供を施策化できないか」という提案が出された。
また、「はじめの100か月の育ちビジョン」の普及啓発に向けて、「母子保健・福祉・医療の関係学会や母子健康手帳など、様々な場面で露出を増やして、目に触れるようにするべき」という意見や、「企業に対し、雇用主の立場で“ビジョン”推進に寄与するように促す何らかのインセンティブを仕掛けとして組み込めないか」という意見が出された。