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福祉医療分野の制度・施策動向ウォッチ
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2025年5月29日

【厚生労働省】第146回社会保障審議会障害者部会(令和7年3月14日開催)

次期障害福祉計画、外国人の訪問系サービスへの従事で議論

 厚生労働省の社会保障審議会障害者部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学法学学術院教授)が3月14日に開催され、(1)次期障害福祉計画及び障害児福祉計画にかかる基本指針の策定、(2)外国人介護人材の訪問系サービスへの従事、の2点を議題として、議論が交わされた。

 厚生労働省の社会保障審議会障害者部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学法学学術院教授)が3月14日に開催され、(1)次期障害福祉計画及び障害児福祉計画にかかる基本指針の策定、(2)外国人介護人材の訪問系サービスへの従事、の2点を議題として、議論が交わされた。

外国人介護人材の訪問系サービス従事、障害福祉分野も条件付きで解禁

 「外国人介護人材の訪問系サービスへの従事」に関しては、訪問介護員等の人材不足の状況などを踏まえ、4月から一定の条件の下で訪問系サービスへの外国人の従事を認めるとの方針が3月11日に閣議決定された。これを受けて、まずは事務局が、障害福祉分野で“解禁”予定の対象サービスや要件について報告。その後、委員から意見表明が行われた。

 わが国における外国人介護人材の在留資格は、@EPA(経済連携協定)、A在留資格介護、B技能実習(令和6年6月から3年以内に「育成就労制度」に改正)、C特定技能第1号という4種類があるが、このうち訪問系サービスを提供できるものは、現行では@とAに限られ、BとCは認められていない。これを、「所定の研修の修了」と「1年以上の実務経験」の両方を満たしているBCの外国人について、以下の事項を事業所が遵守し、利用者・家族へ事前に説明することを条件に「訪問系サービスに従事OK」とするというのが今回の改正の概要となる。


(1)外国人介護人材に対し、訪問介護等の業務の基本事項等に関する研修を行うこと
(2)外国人介護人材が訪問介護等の業務に従事する際、一定期間、責任者等が同行する等により、必要な訓練を行うこと
(3)外国人介護人材に対し、訪問介護等における業務の内容等について丁寧に説明を行い、その意向等を確認しつつ、キャリアアップ計画を作成すること
(4)ハラスメント防止のために相談窓口の設置等の必要な措置を講ずること
(5)外国人介護人材が訪問介護等の業務に従事する現場において、不測の事態が発生した場合等に適切な対応を行うことができるよう、情報通信技術の活用を含めた必要な環境整備を行うこと


 なお、今回新たに認められることとなる対象サービスは、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、居宅訪問型児童発達支援、移動支援事業(地域生活支援事業)の7サービス。

「高齢者の介護と障害者の介助は違う」「円滑な意思疎通に配慮・工夫を」

 障害福祉分野における外国人介護人材の枠組みは、厚生労働省の「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」において高齢者介護分野を中心に対応が検討され、障害福祉分野にも適用する形で組み立てられた。そのため、その経緯を含めて委員からは、「高齢者の介護と障害者の介助は違う。障害種別ごとの理解の解像度をもっと高めた検討をお願いしたかった」「障害福祉分野の訪問系サービスへの外国人の従事の要件が、介護保険での基準と横並びで整理されているようだが、両者は中身が異なり、求められるスキルにも違いがある」「検討会に障害当事者誰も入っていなかったのは、いかがなものか。Nothing about us without usを踏まえてほしい」といった声が上がった。

 また、視覚障害・聴覚障害の当事者団体の委員からは、「視覚障害者のコミュニケーションは、言葉による伝達のウェイトが格段に高い。OJTの期間に言葉の伝達で『引っかかること』があれば、それを外国人従事者と利用者とで共有するなど、円滑な意思疎通ができるよう工夫してほしい」「聴覚障害者と外国人従事者の意思疎通の方法が『筆談』ということになると、かなりのコミュニケーションの齟齬が想定される。ろう者、ろう重複障害者、盲ろう者への介護には、手話通訳の同行を要件とするべきではないか」「研修に手話の実習の時間を入れて、外国人にも学んでいただくべきではないか」といった意見が出された。

4月から解禁、研修・OJT・訪問先選定に関して注意喚起の通知

 こうした議論も踏まえて、厚生労働省等は、令和7年3月31日付で留意事項を列記した通知を2通発出。一つが障害福祉・高齢者介護共通の通知(社援発0331第40号/老発0331第12号)で、もう一つが障害福祉に特化した通知(社援発0331第41号/障発0331第4号/こ支障第89号)。後者の通知で、以下のような注意喚起が図られている。


 ○特に障害福祉サービス等の提供にあたっては、傾聴、受容、共感等のコミュニケーションスキルやコミュニケーション方法を含め、障害特性に応じた支援が必要であり、研修実施や同行訪問等によるOJTの実施においては、利用者ごとに求められる支援内容や配慮すべき内容は異なるものであることから、その点に十分に留意の上、必要な対応を行うこと

 ○外国人介護人材の訪問先の選定にあたっては、利用者である障害者の状態像はそれぞれ異なることから、利用者の障害種別、障害の程度・状態等も十分に踏まえ、外国人介護人材のコミュニケーション能力(コミュニケーション方法を含む)や介護技術の状況・意向等を考慮し、訪問先の選定を行うとともに、利用者やその家族に事前に丁寧な説明を行うこと


 技能実習については4月1日付、特定技能については4月21日付で、外国人介護人材の訪問系サービスへの従事の“解禁”が施行された。

第8期障害福祉計画に向けた基本指針、サービスの地域差是正など検討

 もう一つの議題である「次期障害福祉計画及び障害児福祉計画にかかる基本指針の策定」の検討は、この日からのスタート。都道府県や市町村が3年ごとに域内の障害福祉サービスの必要量を見込んで基盤整備等の目標を設定し、提供体制の確保を図る「障害福祉計画・障害児福祉計画」は、都道府県・市町村が策定作業に入る前に、国が方向性や留意点を「基本指針」として示すこととなっている(下図参照)。その基本指針策定の作業が始まった。対象となるのは、令和9〜11年の第8期障害福祉計画/第4期障害児福祉計画で、今年度中に同指針はとりまとめられるスケジュールとなっている。


出典:第146回社会保障審議会障害者部会(令和7年3月14日)資料1「障害福祉計画及び障害児福祉計画について」1P、「障害福祉計画及び障害児福祉計画について(概要)」から抜粋


 事務局は、「計画で定める目標設定の在り方」や「地域の実情に即した実効性のある計画の策定(障害福祉サービスデータベースの活用等)」について基本指針に盛り込む考えを示すとともに、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」(令和5年12月22日閣議決定)や経済・財政新生計画改革実行プログラム2024(令和6年12月26日経済財政諮問会議)で注文のついていた以下の点を検討することを提案。これを受けて、各委員による意見表明が行われた。


(1)障害福祉サービスの地域差を是正し、供給が計画的かつ効率的に行われる方策
(2)都道府県知事が行う事業所指定の際に市町村が意見を申し出る仕組みの推進
(3)共同生活援助における総量規制も含めた地域の実態や地域移行の状況も踏まえた事業所指定の在り方
(4)利用者の状況に応じた適切な給付決定のための取組

「総量規制の前に、まず実態把握を」「GH管理者には支援経験を要件づけよ」

 この日の議論では、(3)の「共同生活援助(グループホーム)における総量規制」について意見が集中。「事業所数は増えていても、障害福祉サービス未経験であるところも多く、現状では障害者支援施設からの地域移行や、在宅の重度の障害者の利用がなかなか受け入れられていない。一くくりにグループホームが増えているから総量規制というのではなく、実態を十分把握・検証してから考えていただきたい」「小規模で質の高いサービスを提供している事業所まであおりを受けることのないよう、取り扱いには細心の注意が必要」など、慎重な議論を求める声が相次いだ。これらを受けて、「どのような機能を持った、どのような人を対象としたグループホームが、どこにどの程度必要なのかについての議論がまず必要」と機能で区切った検討を求める提案が出された。

 また、要件を満たしていれば指定を受けられるという“ハードルの低さ”に課題があるとして、代表者及び管理者の任用要件として「障害者支援施設での支援経験の原則化」を求める提案も出された。さらに、障害福祉計画そのものについても、「悪質な事業運営を排除する仕掛けを整える必要がある」として、指針の検討項目に加えるべきだという提案が出された。

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