| 事 務 連 絡
平成13年2月28日
都道府県
各 指定都市 民生主管部(局)長 殿
中 核 市
厚生労働省社会・援護局福祉基盤課長
厚生労働省老人保健福祉局計画課長
「社会福祉法人会計基準」及び「指定介護老人福祉施設等
会計処理等取扱指導指針」の運用に関する疑義回答について
標記会計処理については、平成12年12月19日社援施第49号、老計第55号「「社会福祉法人会計基準」及び「指定介護老人福祉施設等会計処理等取扱指導指針」等の当面の運用について」により、弾力的取扱いについて通知したところであるが、その後の主要な疑義回答を別紙のとおり示すので、了知の上管内関係法人に周知願いたい。
なお、今後ともこれら介護保険事業の会計処理に係る疑義については、必要に応じて疑義回答を示すので、随時、老健局計画課に照会されたい。
(別紙)
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| 問1 12年12月19日付の課長連名通知は、当面の運用ということだが、将来の見通し
として2つの計算書類必要となるのか、あるいはどちらかの計算書類に一本化され
るのか、もしくは当該運用の定着を図るのか。当該運用によると、どちらかの計算
書類を作成するかは法人が選択することになるため、法人ごとに違った計算書類
が混在することになるが、統一する考えはないのか。
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| 答1 今回の通知の趣旨は、「会計基準」に加え「指導指針」の2種類の会計処理方式が
示されたため、2度にわたる事務連絡を発出したものの、①両方式に基づく2種類の
計算書類を作成する必要があること、②両方式の間に計上額算定方法の違いがあ
ること、③そのため、2種類の計算書類を作成する際に、単に組替表の作成ではな
く、計上額の再計算をしなければならないこと、などの事務負担が生じていることを考
慮し、その軽減を図るとともに、当面の決算事務を円滑にできるようにする観点から、
弾力的な運用を容認することとしたものである。したがって、法人が選択した結果、異
なった計算書類が混在することはやむを得ないものであり、直ちに統一する考えは
ない。
2 今後の方向としては、社会福祉法人が行なう介護保険事業の会計処理のありかたに
ついて、社会福祉法人の実施事業形態及び事務負担、他の介護保険施設との均衡、
介護保険事業経営実態調査への円滑な対応方策等を勘案しつつ、改めて検討する
こととしており、その結果を踏まえて対応する予定である。
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| 問2 第3−2−(1)−アで法人全体の状況を把握する場合「総括表に類する書類を作
成する」とあるが、必ず作成するよう指導すべきか。法人の判断に任せてよいのか。
また、その様式等は任意の様式でよいのか。
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| 答1 総括表に類する書類とは、複数の特別養護老人ホームを運営している場合や特
別養護老人ホームの他に保育所や障害者福祉施設を運営している法人が、法人全
体の財務状況を自ら評価分析する際、そのような書類を作成することで対応可能で
あるという趣旨を入念的に示したものである。
2 したがって、あくまでも、法人の自主性に基づくものであり、行政が必ず作成する
よう指導する性格のものではない。また、法人がどのような視点から法人全体の財務
状況を分析するかは、法人が判断すべき内容であり、その用途に応じて合算項目を
選定するとすれば、それに伴い様式も異なってくるので、それぞれの法人の実情に応
じて工夫されたい。
(例)
・ 法人全体の資産、負債、純資産のそれぞれの合計額のみをみる場合は、各計算書
類の該当項目を合算する。なお、各勘定科目レベルについても合算してみる場合
は、課長連名通知の別紙1の双方の勘定科目対比表を参考にして対応可能である。
・ 収支面の状況をみる場合は、大区分の勘定科目又は中区分の勘定科目(主要科目
の表示に止め、計上額が少額のものは「その他の科目」としてまとめる方法もある。)
のレベルで合算する。
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| 問3 第3−2−(1)−イで主たる事業と一体的に運営される事業の会計処理について
記載しており、定款に記載している事業についても一体処理が可能とされているが、
本県では、定款に記載する事業とは、介護保険事業と合わせて実施していても事業
の継続性、予算規模、事業計画、人員配置等を勘案し、ある程度の事業規模であれ
ば定款に記載するよう指導している。したがって、定款に記載していない事業につい
ては、付随的な事業として一体的に処理しても支障なく事務負担軽減にもなるが、定
款に記載している事業は、会計基準であれば、社会福祉事業と公益事業は会計単
位も別でありさらに経理区分で分けられているものを一体的に処理してもよいものか。
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| 答1 一体的会計処理を容認することを示した趣旨は、その主たる事業が介護保険事業
である場合、資金の使途制限について措置費支弁施設とは異なる介護保険事業の
性格を考慮したものである。社会福祉法人とし期待される役割を果たすため、介護保
険事業を社会資源として活用することにより、積極的に地域福祉の推進に貢献できる
ような配慮をする一方、当該法人の事業経営の実態に照らし弾力的に会計単位の設
定を可能にすることにより、社会福祉法の趣旨を逸脱しないと解される範囲において、
事務負担の軽減を図ることとしたものである。
2 したがって、法人が実施する事業の内容を明確にするため定款に記載することと、
日々の会計処理を機械的に区分して仕訳することとは、必ずしも一致しなくても差し
支えないこととしたものである。
3 なお、当然のことながら、一体的会計処理を容認することが、事業別の収支内訳の
作成を省略できるということではなく、セグメント等によりそれぞれの収支状況を明ら
かにしなければならないことに留意されたい。
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| 問4 第3−2−(3)−イは、介護保険事業と一体的に運営している事業形態であれば
可能なのか。会計処理も一体的に処理していなければならないのか。
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| 答 会計処理を一体的にするか否かは、問3の説明趣旨を勘案し法人が判断すべきも
のであるが、会計処理の方法の如何にかかわらず、介護保険事業の運営に支障を
及ぼさない範囲において、介護保険事業を拠点とした地域福祉の推進のための事業
に資金を活用することは、差し支えないものである。
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| 問5 第3−2−(4)−イで会計基準の中区分を指導指針の勘定科目に置き換えて適宜
補正できるとあるが、法人の判断によるのか、統一して指導すべきか。
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| 答1 課長連名通知の別紙1の「「会計基準」の資金収支計算書と「指導指針」の収支計
算書との対比」の勘定科目の「介護保険収入」に係る備考欄において、指導指針の
勘定科目に置き換えることが望ましいとしているところであるので、介護保険事業経
営実態調査に円滑に対応するためには、できる限りその方向で処理願いたい。
2 また、問7の説明趣旨から、「移行時特別積立金」及び「移行時特別積立預金」の
勘定科目を設けることとされたい。その他の科目については、厚生労働省として統一
して指導する方針はない。
3 なお、介護保険事業経営実態調査については現在検討中であるが、指導指針を基
本としつつ、支出面においては会計基準の場合にも対応できるように配慮する方向
で検討中である。
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| 問6 第3−2−(4)−ウに「指導指針の科目を削除することは原則として認められない」
とあるが、計算書類の様式には指導指針に示されている科目を全て記載した上、該
当のない欄に「0」と計上しなければならないのか。
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| 答 通知の趣旨は、指針に示されている科目に計上すべき額が存するにもかかわら
ず、科目を任意に統合することにより必要な科目を削除することは認められないとい
うものである。
したがって、指導指針に示されている科目を機械的にすべて計算書類に記載する
必要はないものである。
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| 問7 平成12年3月10日付老発第188号通知第1の3では、特別養護老人ホームの繰
越金等に係る移行時の会計処理は、指導指針の第3により行なうものとされているが、
今回の通知では、会計基準と指導指針のどちらかの方式を選択できるとされている。
2つの通知の整合性をどうとるのか。仮に会計基準で会計処理した場合の積立金の
流用又は使用についての取扱いをどうするのか。
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| 答1 今回の課長連名通知により、結果的に会計基準と指導指針とにおいて異なる点
は、計算書類の様式と勘定科目の設定に止まることとなった。
すなわち、国庫補助金等特別積立金取崩額、国庫補助金等特別積立金における
借入金元金償還補助金及び移行時の基本金の取扱いについて、従来の会計基準
及び指導指針により示していたそれぞれの算定方法を、今回は、どちらの方式を採
った場合であっても何れかの算定方法を選択できるようにしたところである。
したがって、計上額の差異は、会計処理の方式に起因するものではなく、法人が事
業実施形態、事務処理に必要な基礎資料の整備状況及び事務体制等を勘案した上、
算定方法を選択した結果のものである。
2 このような考えかたの下に、「社会福祉法人経理規定準則」に基づく会計からの移行
処理に当たっても、その処理方式は会計基準と指導指針の選択を容認するものであ
る。
3 特別養護老人ホームについては、12年度以降は原則として資金の使途の制限が
なくなったが、一方、11年度決算における繰越金等は、従来の資金の使途制限があ
る中で生じたものであることを踏まえ、老発第188号通知により、「移行時特別積立
金」及び「移行時特別積立預金」の取扱いを示しているものである。
なお、措置費支弁対象施設の場合は、会計基準に移行した場合においても、社援
施第9号通知により、従前通り「次期繰越活動収支差額」に対する資金の使途制限
の取扱いは継続しているものである。
4 したがって、会計基準による処理をしている法人にあっても、原則として「移行時特
別積立金」及び「移行時特別積立預金」を設けることとし、当該移行時特別積立金の
使用等に当たっては、老発第188号通知第1の4に基づく承認手続きを行なうこととさ
れたい。
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| 問8 設備資金借入金の償還に係る補助金の取扱いについて、指導指針では、国庫補
助金等としているが会計基準では、31条の2号基本金になるのか、あるいは指導指
針と同様に国庫補助金等特別積立金となるのか。
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| 答 会計基準においては、設備資金借入金の償還に係る補助金は事業活動収支計算
書の事業活動収支の部の「借入金元金償還補助金収入」に計上するのみであり、純
資産として 基本金組入又は国庫補助金等特別積立金積立のいずれの処理も不要で
ある。
ただし、今回の課長連名通知の第3の2の(9)により、会計基準方式を採っている
法人の場合であっても、指導指針の処理方法を用いて計上額を算定できることとされ
たところである。
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| 問9 会計基準と指導指針のどちらかの方式を選択するということは、単に会計単位等
の区分の仕方が違うだけでなく、各種引当金や国庫補助金等特別積立金等の移行
処理の仕方が違うために、計算書への計上の仕方も違ってくるが、それを容認する
ということか。
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| 答 貴見のとおりである。(問7を参照されたい。)
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