これまで、日本では“介護は家庭(家族)の問題”という意識がありました。しかし、世界一の長寿国となり、寝たきりや認知症などの要介護高齢者の増加、介護の長期化・重度化など、介護の必要性や重要性がますます高まり、介護する側の高齢化なども深刻な問題となっています。さらには女性の社会進出やソロ社会化(一人暮らしの増加)・核家族化の進展など、家族だけで介護することが困難な時代を迎え、2000(平成12)年4月に介護保険制度が創設されることとなりました。
介護保険制度は、介護が必要になった高齢者等やその家族を社会全体で支えていく仕組みです。介護は「明日は我が身」の出来事です。介護が必要になるのは限られた人だけでなく、誰にでもその可能性(リスク)があります。このようなリスクを多くの人で負担しあい、万が一介護が必要になったときに、保険料・税金の補助を受けて、利用料の1割または2割・3割の自己負担で、サービスを利用できるようにする制度です。
介護保険制度は、40歳以上の人が支払う「保険料(介護保険料)」と「税金」とで運営されています。運営は市町村と特別区(東京23区)(以下、市区町村)が行い、これを都道府県と国がサポートします。運営者である市区町村を「保険者」といいます。また、介護が必要になったときにサービスを利用することができる人のことを「被保険者」といい、介護保険料を支払っている40歳以上の人です。なお、制度の概要は下記の図を参照ください。