職場内の意思疎通不足が事故やクレームにつながる
本連載では、“職場内のコミュニケーション”にフォーカスを当て、職場風土を改善するためのさまざまなヒントをお届けしてまいります。
ところで、人間の悩みは4つに大別することができるといわれます。それは、「お金」「健康」「将来」、そして「人間関係」。つまりコミュニケーションです。皆さまの職場では意思疎通・連携はうまくいっているでしょうか?今、職場では例えば、面と向かって話す、メール、電話(内線)、掲示板、メモ、申し送り、会議など、さまざまな手法で意思疎通を行っています。10年前と比較しても物ごとの進むスピードは格段に速くなり、仕事の進め方も変わりました。確実に便利になっているはずなのですが、業務はより多忙になり、情報過多ともいえる状態です。また、人の価値観の変遷により、教育や人間関係の構築はより難しくなっているのではないでしょうか。
現場では「私は聞いていない」、「そんなつもりで言ったのではない」という行き違いがよく起こりがちです。抜け、誤解、忘れに代表されるミスコミュニケーションの多くは、職場内の意思疎通不足や伝達ミス、信頼関係の構築不足によって起こります。これらが事故やクレームに繋がるのです。また、施設の雰囲気や推進力にも大きく関係しますし、スタッフのやりがいをも左右し、ひいては定着率にも繋がるのです。
そこで今回は、それらを少しでも改善させるために今すぐできることをいくつかご提案したいと思います。
すぐ実行できるコミュニケーションの手法
@『伝達の手段を何重にもする』
例えば、メールの後にあえて声かけします。いくら伝えたからといって相手もずっと覚えているわけではありませんし、見るのを忘れ、進捗が止まっている可能性もあります。お互いの認識を確実にする効果があります。
A『話しやすい雰囲気づくり』
あなたは、何か相談を受けた時、どのような対応の仕方をしていますか?
パソコンの画面を見ながら返事したりしていないでしょうか。また、無表情であいづちも打たずやり取りしていないでしょうか。対応の仕方一つで、相手との信頼関係やあなたへの印象はまるで変わってしまうものなのです。
B『直接会いに行く』
私の周りには、「こんな些細なことのために?」と思うほど、忙しいなか、わざわざ会いに来てくださる方がいらっしゃいます。ここぞという場面では短時間でも直接相手に会いに行く。すると、親密感が格段に違いますし、言葉上の誤解も排除することができます。メールや電話で行うより、案件が早く進むことが多いのです。また、少々難しい案件にも、OKを出しやすくなります。
C『ザイアンスの法則( 単純接触効果)
人の親密度は、会った頻度に比例すると言われます。人は会えば会うほど相手に好意をもつようになるものですし、相手の人間的な側面を知ったとき、より強く相手に好意をもつようになるものなのです。
D『「どう伝えたか」ではなく「どう伝わったか」』
伝える側としては、圧倒的な正しさを認識したうえで伝えるわけですが、自分の言った言葉に対して、相手がどう感じたかという事実が重要です。相手の視点に立って物ごとを眺めてみることも大事なことです。相手にとってわかりやすく、認識しやすい形に変換する必要があるのです。
このように、スキルとしては色々とありますが、まずは「相手のために時間をつくり、実際に会って話す」というシンプルな原則に立ち返ることが大事なのではないでしょうか。
※ この記事は月刊誌「WAM」平成25年4月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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