イライラの要因は心身状態の影響が少なくない
当たり前のことですが、私たちが働くうえではいつも穏やかに心地よくありたいものですし、楽しく働きたいものです。しかし人間ですから、時にカッとなったり、イライラすることもあるでしょう。これをうまく自分でコントロールする術があれば、仕事に対するモチベーションはまるで変わるはずです。また、こちらがいちいちことを荒立てずに、ニュートラル(中立)な状態で関われば、相手もそのように対応してくれて、場の雰囲気もよくなるものです。
なぜか怒りがちになってしまう要因として、相手や状況がどうこうというよりも、実は自分のコン
ディションが整っていないという、心身状態からの影響が少なくありません。例えば、昨夜寝不足だった、家で嫌なことがあった、風邪で何となくダルい、最近疲れ気味だ、栄養の偏りなどがあげられます。そのため、基本的なことではありますが、常に自分の状態を管理しておくことが何より大事になります。まずここを整えてください。
また、なんとなくイライラしている時、というのは顔もこわばってムスッとしているものです。これは周りにも悪影響を及ぼします。あなたの姿を周りの人はよく見ている、ということを意識してみてください。そこで、あえてニッコリ笑顔をつくってみます。そしてよい姿勢をつくり、深呼吸もしてみます。文字通り一呼吸おいてみるのです。身体の状態と感情は連動しているので、身体の側から変えてしまえば、それだけで気分を変えるのに効果があります。こうすることが、次の客観視の土台となります。
自分自身のルールに当てはめず、柔軟性をもって物ごとをみる
ちょっと自分の考え方も変えてみましょう。相手がそうしているのには、何かしら理由があったのかもしれません。人は皆、自分の正しさに基づいて行動するものです。単にこちらの誤解に過ぎないのかもしれません。実際、私も朝からある方に対してイライラしていて、状況確認してみたところ、まったくの思い過ごしであったということは1度や2度ではありません。しかも、一旦その疑いのモードに入ってしまうと、なかなか抜け出せなくなるものです。早とちりせず、柔軟性を
もって物ごとをみることが大事になります。
そして、「自分は今、何に対してイラついているのだろうか?」とセルフコーチングし、客観視してみます。するとそれは、特定の人の特定の行動や行為に対してではないでしょうか?
しかも、どうしてもそこに焦点が当たってしまうから、余計に目についてしまう。自分がどうして怒ったり、イラついたりするのかというと、「〜はかくあるべし」という自分がもつ独自のルールから逸脱しているからです。しかし、押さえておかなくてはいけないのは、「本当にそれは正しいのか?」という点です。ひょっとしたら、それは自分だけの正しさなのではないでしょうか?
もし「自分は怒りやすい」と思っている場合、それはいわば1つのパターンにしか過ぎません。そうなるように自分の意識の焦点や行動・思考パターンが癖になってしまっているのです。ゆえに感情も反応的になります。感情とは、決して無自覚に起こるものではありません。自分はどう感じたいのか、選ぶこともできるのです。
ぜひ「もう自分は怒らない」、「いちいちイラつかない」と心のなかで決め、日々振る舞うようにすれば、とても気分よく仕事ができるようになるはずですよ。そういった、いわば「感情の筋肉」もぜひ鍛えてみてください。
●「怒らない技術」 島津良智 2010 フォレスト出版
●「医療・福祉の現場で使える『コミュニケーション術』実践講座」 鯨岡栄一郎 2012 運動と医学の出版社
※ この記事は月刊誌「WAM」平成26年6月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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