児童館などで遊びの指導を通じ、子どもたちの健康の増進や情操を豊かにする
しごとの内容
地域の18歳未満のすべての児童を対象に安全な遊び場や学習の場を提供し、その健康の増進と豊かな情操を育む一方、社会関係になじませるため、さまざまな指導を行います。
具体的には、施設の集会室や遊戯室、工作室、音楽室、図書室、広場のぶらんこなどを利用して児童たちを“遊びの輪”に入れ、児童同士の生き生きとした遊びの世界を再現しながら、協調性や創造性、好奇心を伸ばすため、音楽や劇、絵画、紙芝居、映画祭、親子劇場、児童劇、伝承遊び、地域の高齢者や障害者との交流活動などさまざまな遊びや催しを企画したり、仲間づくりに努めたりします。
なお、児童館などは子ども会や母親クラブなど地域の組織活動の拠点の役割も果たしますが、地域によっては高学年になるにつれて受験勉強やクラブ活動などが忙しくなるため、低学年ばかりの利用になってしまっているところもあります。
いずれにしても、児童が好きであるだけでなく、児童から親しまれ、かつ信頼されるよう、性格が温厚であることが必要です。同時に、その指導力や児童たちの行動の観察力、活動の推進役としての資質も求められます。
主な職場
児童館、児童遊園、児童センター、地域子育て支援センター
将来性
少子化の傾向が続いているとはいえ、共働きの家庭は今後、ますます増える傾向にあります。とりわけ、都市部では学校から帰宅しても保護者が働きに出ているケースが多く、家にだれもいない「カギっ子」の小学生を夕方まで預かる必要などもあり、今後も重要なしごとです。
従事者数
1万843人(2017年10月現在)
勤務形態
原則として通常の公務員の勤務体系と同じく常勤ですが、施設の開館時間に応じ、午後だけのパートタイマーなど非常勤職員の場合もあります。
給与水準
公立の場合、公務員給与規定にもとづいて支給されます。私立の場合、ほぼ公務員給与規定を参考に設定されています。
就職のルート
一般的には保育士の資格を取得する、社会福祉士の資格を取得する、または高校などを卒業後、児童福祉の職場で2年以上の実務を経験する、もしくは厚生労働省所管の養成機関を卒業する、あるいは小・中学校、高校、または幼稚園の教員免許を取得し、しごとに就くことになります。
なお、大学で心理学、体育学等の課程を修めて卒業、またはこれらの課程において優秀な成績で単位を取得し、大学院への入学が認められたり、大学院で心理学などを専攻する研究科、もしくはこれらに相当する課程を修了して卒業し、児童厚生施設の設置者、あるいは都道府県知事に適当であると認定されたのち、しごとに就くことも可能です。
いずれにしても、公立の場合、公務員試験に合格することが前提となります。
採用状況
公立の場合、公務員試験によって採用されますが、欠員が生じたときなどに行われる傾向にあります。私立の場合もほぼ同様の採用試験を実施します。
なお、公立の場合、児童の遊びを指導する者(児童厚生員)を専門職としては採用せず、一般の事務職として採用し、数年後、このなかから有能な人材を登用し、児童厚生員として配置するところもあります。
就職するためのポイント
原則として学歴は問われませんが、実質的には保育士の資格や教員の免許の取得、あるいは大学で指定の科目を履修しておくことが求められます。このため、これらの資格の取得や科目の履修は必須です。
また、児童健全育成推進財団では研修に連動した資格制度を設けています。児童健全育成に従事する者が意図的、計画的に専門的な知識と技術を身につけてもらうため、児童厚生二級指導員、児童厚生一級指導員、児童厚生一級特別指導員、児童健全育成指導士が設けられています。
同育成財団は全国の保育士養成校などを「児童厚生員養成校」として認定しており、そこで保育士資格を取得すると同時に「児童厚生一級指導員」、または「二級指導員」を取ることができます。このように保育士資格と一緒にこれらの資格を取得することで就職に有利になることもある、といわれています。
関連団体・組織
児童健全育成推進財団
http://www.jidoukan.or.jp/