生活困窮のリスクのある世帯を対象に、包括的かつ早期の支援を行う
しごとの内容
生活困窮者自立支援法に基づいて各市町村(福祉事務所のない町村については都道府県)が開設しているワンストップ型の相談機関(=自立相談支援機関)で、相談支援の実務を担う専門職です。相談支援員/主任相談支援員/就労支援員の3職種が配置されています。
相談支援員は、年齢や属性にかかわらず、ひきこもり、多重債務、住居喪失、DV被害、依存症などの事情があって生活が行き詰ってしまっている人、周囲のサポートを受けられずに困っている人からの相談をすべて受け付け、話を傾聴し、直面している課題を整理・把握して支援プランを作成し、自立に向けた支援を提供します。困難を抱えながらも支援につながっていない人に対するアウトリーチ支援も行っています。
主任相談支援員は、相談支援員の業務に加えて、相談業務全般のマネジメント、個々の支援員に対するスーパーバイズ、支援困難ケースへの対応など高度な相談支援、社会資源の開発・連携や、地域住民への啓発活動を通じた地域社会への働きかけなども担います。
就労支援員は、就労に向けた各種支援(就職相談、求人情報紹介・マッチング、ハローワークへの同行等)を行ったり、地域で雇用が創出されるように、ハローワーク、協力企業、商工会議所等との連携に努めます。
●主任相談支援員の主な業務内容
○相談業務全般のマネジメント
○個々の支援員に対するスーパーバイズ
○支援困難ケースへの対応など高度な相談支援
○社会資源の開発・連携や、地域住民への啓発活動を通じた地域社会への働きかけ など
●相談支援員の主な業務内容
○生活困窮者への相談支援
・アセスメント、プラン作成、支援調整会議の実施等の一連の支援プロセスの実施
・記録の管理や訪問支援などのアウトリーチ
○個別的・継続的・包括的な支援の実施
○社会資源その他の情報を活用した地域ネットワークの中での支援の実施 など
●就労支援員の主な業務内容
○就労支援(能力開発、職業訓練、就職支援、無料職業紹介、求人開拓など)
○キャリアコンサルティング
○ハローワーク、商工会議所、協力企業等との連携
○就労準備支援や中間的就労の場の活用 など
主な職場
自立相談支援機関
将来性
生活困窮者自立支援制度は、生活に困窮するおそれのある人や生活困窮の状態にある人(世帯)に対して、生活保護受給に至る前の段階で支援を行うことによって、課題がより複雑化・深刻化する前に、「本人の尊厳を保持した包括的かつ早期の支援」を提供することを目的としたしくみです。個別の支援ニーズを「地域課題」として捉えて、困窮リスクを低下させるような“地域づくり”にも取り組みます。
人口減少と少子高齢化、単身世帯の増加、労働の非正規化を通じて、人と人の“つながり”の脆弱化が進む今日において、相談支援員/主任相談支援員/就労支援員は地域共生社会実現へ向けた重要な役割を担っています。
従事者数
主任相談支援員:1,248人(2021年度)
相談支援員:3,467人(2021年度)
就労支援員:1,982人(2021年度)
出典:「生活困窮者自立支援法等に基づく各事業の令和3年度事業実績調査集計結果」|厚生労働省
(https://www.mhlw.go.jp/content/001121354.pdf)
勤務形態
原則として日勤です。
給与水準
公務員の場合は、公務員給与規定にもとづきます。民間事業者の場合は、勤務先の給与規定にもとづきます。
就職のルート
自立相談支援機関は、市町村等の直営によるもの(約3割)と、民間事業者に委託を受けて実施しているもの(約7割。直営と委託の併用を含む)があります。
直営のものについては、@公務員試験に合格して市町村等に採用された職員が業務に就くケース、A期間の定めを設けて雇用された相談援助職経験者等が業務に就くケース、B民間法人に籍を残した職員が出向して業務に就くケース(在籍型出向)、C民間の派遣会社から派遣されて業務に就くケース(労働者派遣)――といったパターンがあります。
委託のものについては、業務委託を受けた事業所の正職員が業務に就くケース、期間の定めを設けて雇用された臨時職員が業務に就くケース、民間の派遣会社から派遣された派遣労働者が業務に就くケース――といったパターンがあります。
<主任相談支援員>
自立相談支援機関における相談支援業務全般のマネジメントをはじめ、支援困難事例への対応、相談支援員や就労支援員への指導・育成、社会資源の開拓・連携の取組等の高度な相談支援技術が求められることから、以下の@からBのいずれかに該当することが要件となっています。
@社会福祉士、精神保健福祉士、保健師として保健、医療、福祉、就労、教育等の分野における業務に5年以上従事している者であり、かつ、生活困窮者への相談支援業務その他の相談支援業務に3年以上従事している者
A生活困窮者への相談支援業務その他の相談支援業務に5年以上従事している者
B相談支援業務に準ずる業務として、実施主体である自治体の長が認めた業務に5年以上従事している者
なお、主任相談支援員として配置後に、国・都道府県が行う養成研修を受講することが求められます(修了後に都道府県から修了証が発行される)。
<相談支援員>
全国共通の配置要件はありません。自治体ごとに定められています。なお、相談支援員として配置後に、国が行う養成研修を受講することが求められます(修了後に都道府県から修了証が発行される)。
<就労支援員>
全国共通の配置要件はありません。自治体ごとに定められています。なお、就労支援員として配置後に、国が行う養成研修を受講することが求められます(修了後に都道府県から修了証が発行される)。
就職のポイント
相談支援員と就労支援員については全国共通の配置要件は設けられていませんが、市町村ごとにそれぞれ要件が定められています。相談支援員であれば「社会福祉士または精神保健福祉士の有資格者」「相談支援業務にかかる一定以上の実務経験」、就労支援員であれば「キャリアコンサルタントの有資格者」「就労支援にかかる一定以上の実務経験」などを要件としているところが多いようです。
現在は配置後に養成研修が実施されていますが、ゆくゆくは養成研修を受講して修了証を得ていることが、配置要件として位置づけられるようになる見通しです。
業務に必要とされる能力については、以下のように示されています。
●主任相談支援員に必要とされる能力
○スーパーバイズや人材育成等を含んだ相談業務全般のマネジメント能力
○高度な相談支援能力
○地域課題を把握し、新たな社会資源を開拓したり開発する能力 など
●相談支援員に必要とされる能力
○ニーズの把握・適切な選択肢の提供能力
○調整能力、コミュニケーション能力、相談技術
○個人をチームや地域で支える支援に関する能力 など
●就労支援員に必要とされる能力
○職業安定機関や企業等法人との調整能力
○雇用・労働分野に関する横断的な知識
○キャリアコンサルティング能力
○就労の場を開拓する能力 など
関連団体・組織
一般社団法人生活困窮者自立支援全国ネットワーク
https://life-poor-support-japan.net/