中小事業所におすすめする「無料省エネ診断」とは
東日本大震災と福島原発事故が契機となり、電力事情が悪化し、節電要請や電気料金値上げなどで、皆さまの施設運営も厳しいのではないでしょうか。しかし、無理な節電は長続きしませんし、企業経営にも支障となります。事業・サービスの継続には、賢い省エネ・省コスト対策が、求められます。
当センターは、東京都や区市町村などと連携し、中小規模事業所や家庭部門の温暖化対策の拠点として、地球温暖化防止に関する普及啓発のほか、事業者や都民の皆さまが取り組む地球温暖化防止活動に対してさまざまな支援を行うのが役割です。
そこで、次のような業務を行っています。
(1)中小事業所向け
@無料省エネ診断、A省エネ対策研修会、B地球温暖化対策報告書制度の運用、等です。
(2)家庭向け
@家庭の省エネ診断、A太陽エネルギーの普及促進、等です。
【省エネ診断】
これら事業の一つが、事業所向けの省エネ診断です。当センター発足以来、これまで2000件を超える事業所を診断しています。
事業所の「無料省エネ診断」は、診断経験の豊富な専門技術者を派遣して、事業所の各所を点検し、無駄を省ける箇所や工夫できる箇所はないかを検討し、後日詳細な報告書をお送りするというものです。主に大規模事業所の診断で知られているのが、一般財団法人省エネルギーセンターですが、当センターでは中小事業所に適した内容の提案を行っています。これまで実施した2000件強のうち、病院は36件、介護施設は78件となっています。(対象となる事業所の条件はこちらです)
求められる経営トップによる省エネルギー体制の構築
今回の連載では、病院や介護施設の設備ごとに、省エネの手法を詳細に説明しながら、かつ実際の診断例も適宜紹介いたします。
病院・介護施設とも、省エネルギーを進めるために、最初に求められるのは、経営トップによる省エネルギー体制の構築です。そのために必要になるのが、
@エネルギー管理体制を経営トップの指導で整備すること、
Aエネルギー管理方針の策定と省エネルギー目標の設定、
B継続的に省エネルギーを進めるための経営者のリーダーシップ、
C省エネルギーを推進するための役割分担、
D高効率な省エネルギー機器の導入があげられます。
別掲で好事例をあげてみました。参考にしていただければと思います。
<好事例>
● 薬剤師を委員長とする、医師、看護師、事務部門等の各代表者からなる環境委員会を設立して月1回の会議を開き省エネを推進しています。
● 会議でエネルギー使用状況を議論するとともに、ホームページ上で公開し、周知が図られています。
● 省エネルギーを推進していく上においては、担当者のみが活動するのではなく、(エネルギー使用量や空調・照明・医療機器の使用状態等の把握、改善の企画および実行について)経営トップのバックアップとすべての関係者の協力が不可欠です。
※ この記事は月刊誌「WAM」平成25年4月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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