第12回:ポンプ・ファンの省エネルギーおよび12回連載のまとめ
ポンプ・ファン運転上の問題点
医療・福祉施設には、給水用や換気用など多くのポンプやファンが使用されています。建物を設計する際には、給水量や換気量などは最大の必要量に余裕率を見込んでポンプやファンの能力を選定するので、一般的には過大な容量になっているとみてよいでしょう。必要流量にするために運転時間の調整や弁・ダンパーによる調整または回転数制御による調整が行われます。
ポンプ・ファンの特性
ポンプ・ファンが過大流量のままで運転されていればエネルギーの無駄になり、流量調整に吐出弁またはダンパーを使用する場合は絞りによるエネルギーの損失を生じます。
ポンプ・ファンの流量を調整する方法で最も効率がよいのは回転数を調整する方法です。ポンプ・ファンの吐出量は回転数に比例しますが、動力は回転数の3乗に比例するので、下図に示すように他の調整方法に比べて大幅な省エネルギーになります。例えば、回転数を定格の80%にすれば流量は80%になりますが、動力は51%に半減します。
インバータ装置の導入
医療・福祉施設でポンプ・ファンの回転数を調整する方法で最も適しているのはインバータ制御方式です。電動機駆動のポンプ・ファンの回転数は周波数に比例します。インバータは周波数(東日本は50Hz、西日本は60Hz)を変える装置です。
インバータの使用に際して、適正な流量にするために周波数の調整範囲をあらかじめ決めておくことをおすすめします。例えば、50Hz地域では上限45Hz、下限30Hzに設定することなどです。
12 回連載のまとめ
12 回にわたり省エネについて連載させていただきましたが、ぜひ参考にして省エネの効果を上げていただきたいと思います。異常気象や伝染病の拡大など地球温暖化による悪影響を防ぎ、同時にエネルギーコストの低減を図るには、省エネが一番です。
省エネは、できることから実行することです。次の3点を大事なポイントとしてお示しして、この連載を終えたいと思います。
1. 宝は現場にあり 現場をよく観察しましょう。ムダが見つかります
2. データがものをいう データを活用し、グラフにして「見える化」しましょう
3. 継続は力なり 省エネは一時的でなく、継続して取り組みましょう
※ この記事は月刊誌「WAM」平成26年3月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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