管理方針のもと、具体的な行動目標を定める
経営トップによる省エネルギー体制の構築については、前回簡単に触れました。
今回は、さらに詳しく説明していきます。
(1)管理方針は、次のような内容がよいでしょう。
@ 事業所全体を包括するような大きな方針
A 一人ひとりのモチベーションを高める具体的で強いメッセージ性のある方針
B 短く端的な表現によるわかりやすい方針
管理方針の具体例
私たちは、地球温暖化防止のため、エネルギーの賢い使用に努めることで、社会的責任と使命を果たすことをここに宣言し、以下の管理方針を定めます。
● 環境負荷低減のため、エネルギー消費の低減に努めます。
● 全員の力の結集が地球環境改善に大きく寄与することを理解し、努力します。
等々
この管理方針のもと、さらに具体的な行動目標を定めます。
@ 空調設備の温度設定、
A 冷暖房の使用期間、
B 各室の照明照度、
C 各設備の清掃頻度等々です。
(2)目標値の設定と比較
省エネ改善活動を効果的に、かつ、継続して行うために、目標設定、実績確認、評価そして次の目標設定といった継続的な取組みを行いましょう。これが、いわゆるPDCAサイクルを回すことです。
目標設定は、例えば電気の使用量を昨年比5%減とする等です。電気以外もエネルギーの種類別にすべて決定します。
実績確認では、エネルギー量の月ごとの変動状況、前年との比較等を行います。そして評価します。
さらに、日々、前日のエネルギー消費状態を翌日の行動に生かすと、即効性のある取組みになります。
その他、原単位管理の導入、「見える化」の推進などが有効です。
職員の役割分担を明確にする
(3)職員主導による省エネルギーの推進
職員の役割分担をはっきりさせます。不要時の消灯、機器の空運転防止などが大事ですが、掛け声だけでは定着しません。声を掛ける人、確認する人などを決めて、エネルギー使用に無駄のない職場づくりをすすめましょう。
エネルギーの無駄や、ロスに気づいたら、みんなで話し合い、改善しましょう。
(4)利用者参加による省エネルギーの推進
医療・福祉施設を利用している方およびその親族の方にも省エネルギー活動を理解してもらいましょう。そのためには、常に省エネルギーの重要性を訴え、継続的な活動をすることです。
施設の省エネルギーの推進に関するマニュアルを作成・配布し、管理方針や施設の取組内容を明示したポスターまたはラベルを貼るなどして、省エネ意識を喚起しましょう。
(出典:一般財団法人 省エネルギーセンター『ビル省エネ手帳』より)
(参照資料)『地球温暖化対策報告書作成ハンドブック』
※ この記事は月刊誌「WAM」平成25年5月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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