節電と省エネルギー
2011年3月11日に発生した東日本大震災によって、東京電力管内の発電所は供給力が半減しました。そのために広範囲の停電が発生し、一時は計画停電を余儀なくされました。
従来、電力需要が増加しても電力会社が発電所を増設してくれるので、私ども需要家は温暖化対策と経費節減のために省エネの必要性には関心を持っても、電力会社の供給力にはあまり関心がありませんでした。大容量の電気は蓄えることができないので、電力会社の供給力は必ず需要電力を上回る余裕を持たなければなりません。供給力が不足すると停電などによって需要をカットせざるを得なくなります。
大震災を経験して、私たちは省エネルギーと併せて最大電力(ピーク)を抑制する節電も必要であることを学びました。
電力(kW)と電力量(kWh)の違い
電気によって電動機が動いたり電灯が点灯したりしますが、その力の大きさを電力といい、単位はキロワット(kW)を用います。一方、電力の使用量を表しているのが電力量で、単位はキロワットアワー(kWh)を用います。
○ 電力(kW)は、発電や電気の消費の瞬時の大きさで、下図左のグラフの高さで表されます。電
力需給ひっ迫時に求められるピークカット対策とは、この最大電力(=高さ)の抑制を意味します。
○ 電力量(kWh)は、発電や電気の消費の総量で、下図右のグラフの面積で表されます。
夏と冬の電気の使われ方
電気の需要が大きいのは真夏と真冬です。これは冷暖房需要が大きいためですが、ことに夏の冷房需要時に最大電力を発生します。
夏期の電力需要は、14時頃にピークを迎えます。この時間帯は、冷房負荷が大きくなるからです。冬期の電力需要は、9〜10時頃および17〜18時頃にピークを迎える傾向があります。とくに夕方は、暖房負荷が大きくなりやすい時間帯です。
下図は東京電力管内の平均的な需要曲線ですが、病院、介護施設では冷暖房に係る夜間の消費電力が下図の傾向より多くなるものと推定されます。貴事業所の24時間需要曲線を作成してみて電力使用の現状把握から省エネ対策を考えることもお勧めです。
節電と省エネルギーの効果
上述のようにピークを抑える節電とエネルギーの使用量を節減する省エネについての違いをご理解いただけたと思います。
病院などの事業所でピーク電力を管理する方法としてデマンドコントローラを設置する方法があります。
デマンドコントローラは設定した電力を超過しそうなときに警報を発しますので、一部の負荷を抑制して最大電力の発生を防止できます。このことにより契約電力を低減して基本料金を下げることができます。
電力使用量、ガス使用量、用水量などを低減する省エネルギーについては、用途ごとにさまざまな方法がありますが、この連載やクール・ネット東京の無料省エネ診断(対象となる事業所の条件はこちらです)
、研修会などで修得していただきたいと思います。
※ この記事は月刊誌「WAM」平成25年7月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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