第21回: 効果的な会議にする技術 − ファシリテーションとは −
会議を成功させる司会進行の手法
私たちは仕事上、多くの時間を「会議」で費やす。だが、果たしてその会議は意味のある時間になっているだろうか?単なる時間と労力の浪費にはなっていないだろうか?会議を効果的に進行する「ファシリテーション」という技術がある。これは、いわば“グループコーチング”であり、会議成功の可否は司会進行役(ファシリテーター)がカギを握るといっても過言ではない。今回は、貴施設の会議を少しでも改善するために今すぐできる基本的な手法をご紹介したい。
@ ルールの共有化
例えば、意見に対して「否定しない」「最後まで聴く」ということは最低限のルールとして押さえたい。突拍子もないような意見にこそ、よいアイデアが隠されていたりする。これがないと、活発な発言ができなくなってしまう。
A 会議の目的を明確にする
どうして集まるのか?定例なのか、緊急なのか。ただ集まることが目的であれば、止めたほうがいい。「今日はどの辺を目標にやっていきましょうか?」もしくは、「ここを目標にやっていきましょう」と参加者の合意を得る。
また、そもそも、会議をもたなければいけないのかどうかも問題だ。議題として出す以前に関係者に事前周知し、答えを出し、GOサインを出してしまえば、その方が当然、組織的に案件が進むスピードが早いし、無用に会議を開く必要もなくなる。
B テーマの明確化
今回は何について話すのか。最重要のもの1点のみを扱う、というくらい絞ってもよい。
C 終了時間を決める
制限時間はせいぜい1時間。集中力の観点から、2時間は長いだろう。デッドラインを決めることにより、無駄のない進行に繋がっていく。
D 傾聴のスキル
うなずきや相づちは相手の話を引き出すことにつながる。また、区切りのいい所で、「ここまで出たのは、○○○○ということですよね?」と要約と振り返りを行うと、要点の整理につながり、参加者の納得感も得やすい。
会議の最後は「誰が」「いつから」を明確に
E 質問のスキル
よくありがちなのは、意見がなかなか出ない状態。このような時、「どなたか意見はありますか?」と振ってもなかなか機能しない。「○○さんはいかがですか?」「○○さんはどのようにお考えでしょうか?」と指名し、意見を引き出していく。とくに、普段から発言が少ない人に対して優先して働きかけると、それが場の呼び水になることも多い。もしこう着状態に入ってしまったら、「例えば、○○だとしたらいかがでしょうね?」と「仮にこうだったら?」と質問を振ってみるのもいい。
話がいつも長くなりがちな方に対しては、「シンプルに一言で言うといかがですか?」の質問が効果的であるし、もし意見が抽象的であれば、「具体的に言うと、どんな感じでしょうか?」と深掘りする質問も効果的だ。
Fもし話が脱線したら、進行役はタイミングをみて、本来の流れにすぐ引き戻そう。
G会議の最後には、肝心の「誰がいつから(いつまで)」それに取りかかるのか、はっきりさせること。そうしないと、会議の決定事項が何もなされず無駄になってしまう。
組織におけるコーチングの活用としては、人数が多い分、個人面談より多少高度な技術を要するが、随所においてこれまでご紹介してきたコーチングのスキルを総動員できる。ぜひ一度、会議のあり方を見直すきっかけにしてみてはいかがだろうか。
※ この記事は月刊誌「WAM」平成24年12月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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