自信の大きさはセルフイメージの大きさ
リーダーとして立ち回るなかで、さまざまな場面で「自信」が話題にのぼることが少なくない。多くの場合、リーダーとして何をしなければいけないか、ということは頭ではわかっているが、実行に移すための「自信」がないというのだ。これが行動の阻害因子ともなってしまう。そこで今回は、自信を高めるための考え方についてご紹介したい。
「自信」には、これという実体がない。自信とは、自分が自分のことをどう捉えているか、というセルフイメージであり、それには自己肯定感が関与している。一方、「自信がない」というのはその人の根拠のない思い込みでもある。
まず、すぐ出来ることは、「自信があるように振る舞うこと」である。本連載の第15、18回でもご紹介したように、言動、姿勢、動作、表情をあたかも自信があるかのように振る舞ってしまうのだ。身体と感情には密接な関係がある。その上で、もし何か行動した場合は「よくやった!」と自分で自分を褒めること。些細なことだとしても努力した自分に“OK”を出すことが自己肯定感を高め、それが後々、「自信」という感情につながってくるのだ。
また、自分に自信があるかどうか、というのは、多くの場合、過去の経験に基づいており、それに従っていると自分の枠を超えることはなくなってしまう。そこを抜け出すために有効なのは、「目標」「目的」を持つことだ。目標は自分自身をより成長させてくれる手段となり、行動の推進力となる。目先の出来るか出来ないかという小さな部分ではなく、本来の目的・目指すべき場所という大枠で捉えることができ、何より迷いを断ち切ることができる。そして、「自信」を超えたところで取り組む意味がでてくる。
躊躇する前に「今できること」に取組む
次に、行動するうえで、「自信があるかどうか」ではなく、「可能性があるかどうか」に意識の焦点を当てることが大切だ。「自信があるかどうか」の観点で物ごとを見ると、どうしても「そこまでの自信はない・・」という方向に行ってしまう。「今できること」「自分がコントロールできること」に集中し、「やる!」と決断してしまうのだ。
そのうえで、躊躇する前にどんな些細なことでもいいから行動してしまうこと。実際に動くことによって、改善すべき点が見えてくる。行動する際は、もしかすると未知への不安や失敗への恐怖があるのかもしれない。「失敗」には多くの場合、ネガティブな意味づけがなされているが、失敗は単なるフィードバックであり、学びや改善の種ととらえることもできる。ただトライ&エラーで行動を続けていけばよいのだ。「ピンチはチャンス」とはよく言ったもので、もし「失敗」という概念すらなかったら、いかがだろうか?「失敗」から学び改善することで、その後小さな成功体験を積み重ねることになり、結果的に自信につながるのだ。
最後に、焦点をシフトする、という意味では、物ごとに対して「感謝する」ことがとても有効である。「自信があるかないか」と考えることは、自分自身に対して究極に焦点が当たっている状態だ。逆に「感謝」というのは、周りの人や物ごとに対して焦点を当てることになる。すると、今こうできているありがたさや、いかに恵まれた状況であるか、と謙虚な思いに立ち返ることができ、その仕事の大きな意味を見出すことにもつながる。ぜひお勧めしたい。
以上の点から、目の前に起こる事実は変わらない。それに対してどう意味づけを変えていくかが共通したヒントになりそうだ。それによって、日々多忙でストレスフルな業務を単なる「自信」とは違う角度からとらえることができるようになるに違いない。
●「一生折れない自信のつくり方」 青木仁志 2009 アチーブメント出版
●「一瞬で自分を変える法」 アンソニーロビンズ 本田健(訳) 2006 三笠書房
●「池田貴将通信」 池田貴将 2011?2012 株式会社オープンプラットフォーム
※ この記事は月刊誌「WAM」平成25年1月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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