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連載コラム
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トラブルに学ぶリスク対策

介護現場で起きた事例を踏まえ、原因とその防止策のポイントをお伝えしていきます。



<執筆>
株式会社安全な介護 代表取締役
山田 滋(やまだ しげる)
<プロフィール>
介護現場で積み上げた実践に基づくリスクマネジメントの方法論は、「わかりやすく実践的」と好評。著書に『安全な介護』(筒井書房)、『介護施設の災害対策ハンドブック』(中央法規)など多数

事例O:デイの利用者から大量のサプリメントを買わされた

こんな事故が起きました!

デイサービスの女性利用者の娘さんから、所長に電話で次のようなクレームがありました。「母がデイで知り合った女性から50 万円分ものサプリメントを買わされた。デイの職員も買っていると売り込んでいるらしい。止めさせて欲しい」というものでした。所長は「デイの職員が利用者から商品を買うことはありません。また、デイの外での利用者同士のお付き合いまで、こちらで干渉することはできません」と答えました。娘さんは「また騙されたら困るからデイサービスは違うところに変えます」といって電話を切ってしまいました。後日「娘さんから苦情申立があった」と市から連絡がありました。

事故原因と防止対策

デイサービスの所長がいうように、サプリメントを販売している利用者の、デイサービス外での販売行為を止めさせることは事業者にはできません。また、利用者が大量のサプリメントを買わされるという被害に遭ったとしても、デイサービスには法的な責任もありません。しかし、近頃では一般企業でさえ地域貢献活動が求められ熱心に取り組んでいるなかで、高齢者の生活を支えるべきデイサービスが、「施設内のことしか責任はございません」というようでは、介護事業者としての自覚が欠けます。

地域では高齢者がオレオレ詐欺や特定商取引(悪質な訪問販売など)の被害に遭って、多額の生活資金を詐取されるのを防ぐため、銀行でもATMの近くに人を配置して、不審な行動をする詐欺被害者の発見に努め、高齢者を守る取り組みをしています。利用者の生活に注意を払い詐欺や悪徳商法の被害から利用者を守るのも、デイサービスの重要な社会的責任なのです。

本事例では、利用者がサプリメントを購入して8日以内であれば、クーリングオフができるかもしれませんし、明らかに“通常消費する量を著しく超える量(加量販売契約)”ですから、契約の解除ができるかもしれません。「50万円ものサプリメントを買わされてしまった」と娘さんが訴えているのですから、デイサービスの責任回避を主張する前に解決のための助言をしていれば、苦情申立には至らなかったでしょう。

ちなみに消費者庁が作成した「高齢者の消費者トラブル見守りガイドブック」では、「民生委員やヘルパー、ケアマネジャーの方々は高齢者にとって身近で心強い味方です」といっています。介護事業者は高齢者の生活に密接に関わっているので、地域住民よりも高齢者を守る責任は重いといえるでしょう。施設内の事故

デイの利用者から大量のサプリメントを買わされた

防止のための取り組みも大切ですが、もっと利用者の生活全体に配慮できないものでしょうか。サービス向上のための取り組みも重要ですが、たまには外に目を向けて特殊詐欺や特定商取引法(※)について勉強するのもよいでしょう。

※特定商取引に関する法律  特定商取引とはいわゆる訪問販売のことですが、居宅に訪問して販売行為をする者の他、展示会やイベントに参加させたり電話で呼び出すなどして販売行為をする者も該当します。特定商取引法は、販売者に対して勧誘を受ける意思の確認などを義務づけるほか、契約を締結しても8日以内であれば契約解除ができる(クーリングオフ)、通常の消費量を著しく超える購入契約(過量販売契約)は1年以内に契約を解除できるとして、取引の公正性と消費者被害の防止を図る法律です。

トラブルを避ける事故対応

利用者や家族からクレームの訴えがあった時は、対応が不可能とわかっているような内容でも、最後までしっかり聞き取ることが、クレーム対応の基本中の基本です。絶対にその場で「対応できない」と即答してはいけません。クレームを一旦お預かりして対応を考えることで、専門家に相談したり助言できることを調べるなど、少しでもお客様の意に添う対応ができるかもしれません。救いを求めるお客様に門を閉ざす対応は、猛烈な悪感情を生むので注意が必要です。

※ この記事は月刊誌「WAM」平成28年7月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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