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連載コラム
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トラブルに学ぶリスク対策

介護現場で起きた事例を踏まえ、原因とその防止策のポイントをお伝えしていきます。



<執筆>
株式会社安全な介護 代表取締役
山田 滋(やまだ しげる)
<プロフィール>
介護現場で積み上げた実践に基づくリスクマネジメントの方法論は、「わかりやすく実践的」と好評。著書に『安全な介護』(筒井書房)、『介護施設の災害対策ハンドブック』(中央法規)など多数

事例㉓:迅速な対応が必要なヒヤリハットとは?

こんな事故が起きました!

ある施設で、歩行介助中に利用者が突然ガクッと膝折れして転倒しそうになりましたが、運良く職員が支えられたので転倒を免れました。それまで膝折れしたことはなかったので、職員は翌日ヒヤリハットシートを提出するつもりでした。ところが、翌日シートを提出する前に、別の職員がこの利用者の歩行介助をして、突然膝折れしたため転倒させてしまいました。しかも転倒した時、職員が利用者の健側の左腕を強くつかんだため、左上腕骨と大腿骨の2 カ所を骨折していたのです。家族は「なぜ腕と足を骨折するのか? 介助方法が乱暴なのではないか?」とクレームを言ってきました。前日にヒヤリハットがあったことが、後に判明しましたが家族には説明できませんでした。

事故原因と防止対策

もちろん、転倒しそうになった時に健側の腕をつかみ無理に引っ張れば、腕を骨折させる危険が高いですから、この介助ミスは大きな問題です。しかし、もっと大きな問題は「膝折れしたことがない利用者に膝折れが起こる」というヒヤリハットが発生しながら、迅速な対応を怠ったために大きな事故につながってしまったことです。つまり、ヒヤリハット活動が形骸化し「ヒヤリハットが起きたらシートを書いて提出すればよい」と考えて、事故を未然に防ぐ対応を忘れていることが大きな問題なのです。

では、ヒヤリハットシートなどなかった時代は、どのように対応していたのでしょうか? 歩行介助中に膝折れして転倒しそうになれば、すぐに緊急カンファレンスを行い、この利用者が歩行介助中に膝折れが起こることを他の職員に知らせていたのです。今回もそのように対応すれば、別の職員が腕をつかむような歩行介助はしなかったでしょう。

このように、すぐに事故につながるようなヒヤリハットは、他のヒヤリハットと区分して取り扱うルールが必要になりますが、それだけではありません。本事例のような介助中のヒヤリハットも他のヒヤリハットと別の対応が必要になります。介助中の事故はプロとしての防止義務の重い事故ですから、介助中のヒヤリハットに対しては、確実に事故を防ぐ方法が必要になるのです。悠長にシートを書いているヒマなどありません。あ

デイサービスで転倒骨折、原因は居宅で起きたアクシデント

る利用者の介助中に危険な現象が起きたら、その利用者に関わるすべての職員に注意を促すと同時に、介助方法の変更などの詳細で具体的な事故防止対策を講じて、全職員に徹底しなければなりません。

ヒヤリハットシートに緊急対応サインを付けて区分している施設もあります。具体的にはヒヤリハットシートの枠外に「緊急対応」と赤字で書いて、ヘルパーステーションのボードに貼ったり、赤い付箋を付けて提出するなどの方法で、他のヒヤリハットと区分しているのです。「本日離床時ふらつきあり、車椅子対応にしてください」と、シートに大きく赤ペンで記入し床頭台近くの壁に貼っていた職員もいました。ヒヤリハットを書くことはよいことですが、その取扱い方についてはそろそろ見直しが必要ではないでしょうか?

トラブルを避ける事故対応

利用者に怖い思いをさせるようなヒヤリハットや、一歩間違えば大事故につながるようなヒヤリハットは、他のヒヤリハットと区別して扱う必要があります。なぜなら、これらのヒヤリハットは「怖い思いをさせた」、「危うく大事故になるところだった」などの、家族クレームにつながりやすいからです。これらのヒヤリハットは、「家族への謝罪が必要なヒヤリハット」として区別して、クレームになる前に管理者から謝罪する方がよいでしょう。

※ この記事は月刊誌「WAM」平成29年2月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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