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介護施設でのロボット・ICTの導入

全6回に渡って、介護施設でのロボット・ICTの導入の現状やポイントについてをお届けします。


<執筆>
  国際医療福祉大学大学院
  福祉支援工学分野 教授 東畠 弘子 氏


第4回:排泄ケアと機器の親和性

排泄予測支援機器が在宅で利用できる

 2022年4月から在宅で利用できる福祉用具に排泄予測支援機器が加わりました。介護保険制度では原則在宅の福祉用具利用は貸与ですが、一部厚生労働大臣が定めるものを特定福祉用具販売として年間10万円まで購入が認められています。その「販売」の種目に追加されたのです。

 排泄予測支援機器とは「利用者が常時装着した上で、膀胱内の状態を感知し、尿量を推定するものであって、一定の量に達したと推定された際に、排尿の機会を居宅要介護者等又はその介護を行う者に自動で通知するもの」です。尿の溜まり具合を検知するもので、介護ロボットの1つです。介護ロボットの開発重点化分野の1つに「排泄支援」があり、自動排泄処理装置は介護保険で利用できます。トイレ内での立ち上がりなどを機器で行う排泄動作支援機器も開発されました。従前から特別養護老人ホームなどの介護施設においては、排泄ケアは基本のケアとして取り組むところが多いですから、排泄予測支援機器について考えてみる価値はあると思います。

施設の排泄ケアの取り組み

 機器の活用を検討する前に、施設での排泄ケアの取り組みについて触れます。2015年に全国老人福祉施設協議会と老施協総研は、会員に排泄ケアの取り組みに関するアンケート調査と、排尿記録の活用を行うモデル事業を実施しました(注1)。

 調査によると「排泄状態の改善に向けた取り組みの実施状況」は「排尿・排便の両方を行っている」が75・9%で、「どちらも行っていない」は10・7%でした。排尿記録は、「つけている」が93・4%で、さらに「つけている」と回答したうちの93・3%が「活用している」と回答していました。入所者の平均要介護度が4以上と回答した施設が半数を占める中で、排泄ケアへの取り組みは優先順位の高いものと考えます。

 福祉用具の利用は「ポータブル用補助手すり」が最も多く44・3%で、次いで「トイレ用背もたれ」が25・9%ですが、福祉用具を「利用していない」も28・9%みられました。

 超音波で膀胱内の尿量を測定する「超音波残尿測定器の活用」は、「はい」が0・6%で、「いいえ」が98・6%でした。2015年時点で、50余りの施設が導入していることに、筆者は驚きでした。2018年の全国老人保健施設協会の報告書では、介護ロボット開発重点分野のうち「排泄・介助支援」の導入をしているのは1%でしたが、「導入検討中」はテスト的に導入中も含めて3・7%(50施設)、「今後検討したい」は49・7%(670施設)でした(注2)。

「今後検討したい」は排泄に関わらずいずれの分野でも半数程度がありましたから、施設のなかで介護ロボット・機器の活用の検討に対する意識は一定数あると、推測できます。

導入効果は排泄ケアにかかる時間の減少

 介護ロボットには実際にどのような効果があるのかについて、厚生労働省が2022年3月に報告書をまとめています(注3)。介護サービスの質の向上、職員の負担軽減、業務効率化の3点から効果検証を行うものです。「夜間見守り」と排泄予測機器、業務支援ソフトや移乗などの機器を組み合わせた「パッケージの導入モデル」の2つのテーマで、導入調査意向を示した特別養護老人ホームなどの施設で行われました。排泄予測は8施設で実施です。導入前と導入後には2回(3週間、さらにその後1カ月程度時間をおいて)タイムスタディやアンケート調査を実施しました。

 この結果、施設利用者の排尿コントロールに大きな変化はみられませんでしたが、導入後の排泄ケアにかかった時間を排泄ケア記録からみると、導入前は1日93・7分が、導入後の事後@は72・9分、事後Aでは55・6分と短くなっています(図1)。1日当たりの尿もれ回数も導入前と導入間もなくは、図2のようにほぼ同じですが、導入後の時間が経った事後Aでは1日1・7回と、減少をみせています。排泄予測機器の効果として、排尿リズムがわかることで失禁に伴うシーツ交換などの負担減少や、パッド交換の適正化につながるという意見があがりました。ただし、導入による実証期間が短いこと、対象数が少なく、限定した範囲での実証なので、利用者を増やしたときの検証などは、さらにみる必要があるのかもしれません。職員が使用に慣れる時間も必要です。

 排泄ケアの取り組みは、前項で述べたように排尿記録をつけているところが多く、介護の基本として取り組まれていますが、「これまで膀胱の溜まり具合は予測でしかなかったが、発話で尿意を訴えられないケースが多い。溜まり具合を確認し、事前に声掛けできる」との職員のコメントを読むと、利用者と介護職員双方にとって機器導入を検討する価値はありそうです。しかし、その場合も、何を目的にするのかを明確にしないと、漠然と質の向上と効率化というだけでは職員の理解は得られにくいと考えます。例えば、尿意に関して発話が難しい人、排尿パターンが不安定な人といった対象者や装着の時間帯など、検討が必要です。

図5

在宅での使用は確認や試用が必要

 厚生労働省は排泄予測支援機器が在宅での利用対象になるにあたって通知(注4)を出しており、そのなかで事業者には販売前に主治医の意見書などで膀胱機能を確認すること、一定期間の試用を推奨することや、販売後も必要に応じて利用確認や使用の指導に努めることとしています。またQ&Aの中で、常時失禁の状態でおむつ交換の時期を把握するための使用は、「トイレでの自立に向けた排泄を促すことを目的としているので、適切ではない」と回答しています。これらの点を考えると、在宅において使用するには、ハードルが高いように思われます。むしろ排泄ケアの取り組みを実践している施設こそ、排泄誘導の手段として親和性が高いように思うのです。

引用文献

(注1)特別養護老人ホームにおける入所者の重度化に伴う効果的な排泄ケアのあり方に関する調査研究事業報告書 全国老人福祉施設協議会/老施協総研2016年3月

(注2)全国老人保健施設協会 介護老人保健施設におけるIoT等の活用の可能性に関する研究事業報告書 2018年3月

(注3)厚生労働省 介護ロボット等の効果測定事業報告書 2022年3月

(注4)介護保険の給付対象となる排泄予測支援機器の留意事項について 老高発0331第3号 2022年3月31日

※ 2022年5月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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