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介護現場でのICT活用
〜企画・導入・運用〜


 全12回に渡って、介護施設でのICTの導入における企画・導入・運用のポイントについてをお届けします。


<執筆>
 社会福祉法人善光会 理事 宮本 隆史 氏


第5回:デジタル系見守り機器の効果・注意点

 第5回目となる今回は、介護施設での普及が本格化しはじめているデジタル系見守り機器について解説いたします。デジタル系見守り機器は、センサーやWi-Fiなどの外部通信機能を備えた介護ロボットの1つであり、厚生労働省と経済産業省が定める「ロボット技術の介護利用における重点分野」のうちの、見守り・コミュニケーション分野に該当します。介護施設が導入する場合には、介護ロボットに関する補助金を活用することも可能です。

 デジタル系見守り機器は、その特徴として、センサーが見守りに必要なさまざまな情報を感知し、PCやスマートフォン・タブレットなどのデバイスに、被介護者の状態を表示する機能や、転倒などの異変を感知し通知する機能を持ちます。これまでのようなアナログ系の離床センサーのように、居室から音が鳴るたびに訪室して確認が必要となったり、大きな音で利用者に苦痛を与えることなく使用できることも大きな特徴です。では、現在使われている主なデジタル系見守り機器の種類と、利用する効果をみてみましょう。

デジタル系見守り機器の種類と効果

 現在使われているデジタル系見守り機器は、主に@睡眠状態や呼吸・心拍などの検知ができる睡眠型センサー、A遠隔から画像や映像で確認ができるカメラ型センサー、Bさまざまな機能を複合的に持つ複合型センサーの3つに分かれます(表1)。

@ 睡眠型センサー

 睡眠型センサーは、利用者のベッド上での睡眠状態や、離床や起き上がりなどの状態変化、また心拍や呼吸などのバイタル値を測定することができる機器です。主に、ベッドとマットレスの間に敷くシート状のタイプが多く、被介護者に負担をかけることなく利用できることもメリットです。

 これまで、夜間の見守りにおける巡視では、すべての居室を訪室して、異変がないかどうかを確認する必要がありましたが、ベッドでの睡眠状態だけではなく心拍・呼吸などのバイタル値も確認できるため、必ずしも訪室しなくてもモニター画面より安否確認ができます。また離床などの状態変化や、バイタル値の特別な変化時にはデバイスへ通知が送られるので、さまざまな被介護者のリスクに備えて介入することが可能です。

 さらに睡眠状態やバイタル値が、データとして蓄積される機器では、ケアプランや日々の介助に活用することができます。パラマウントベッドの「眠りSCAN」は、睡眠日誌(図1)や呼吸・心拍日誌など日々の状態をグラフ表示する機能があるので、良質な睡眠をとれるよう睡眠改善を図り、被介護者の生活の質(QOL)を高めることもできます。

A カメラ型センサー

 カメラ型センサーは、カメラ機能と、被介護者のベッド上の状態変化を察知するセンサー機能を備えた機器です。被介護者の離床・起床などの動きにあわせて届くデバイス上の通知に基づき、遠隔からベッド上や居室の状態を、画像や映像で確認することができます。同時に複数の被介護者に関する通知が届いた場合には、画像や映像でその状態を見たうえで、優先度がより高い被介護者のもとへ訪室することができます。

またカメラ型センサーの場合、被介護者のプライバシーに関する設定ができます。例えば、アルコ・イーエックスの「ペイシェントウォッチャープラス」ではモザイクやボカシを通した表示設定変更(図2)が可能です。プライバシーに関する機能を活用し、介護者のプライバシーに対する配慮をすることも重要なポイントです。

B 複合型センサー

 複合型センサーは、睡眠型センサーのような睡眠やバイタルなどの状態察知と、カメラ型センサーのような画像・映像表示の双方の機能を備え持つセンサーです。ナースコールなどのように、見守りとして必要な機能を多数持っているセンサーもあります。例えば、コニカミノルタQOLソリューションズの「HitomeQ ケアサポート」(図3)は、行動分析センサーとして居室内の転倒やベッドからの離床を感知するだけでなく、呼吸異常を感知する機能やナースコール機能、さらにはケア記録機能も備えており、センサーが感知したときは映像での確認が可能です。1台の機器で包括的な見守りを可能にすることで見守り業務を大きく効率化させ、被介護者に提供する介護サービスの品質を向上させます。

デジタル系見守り機器の注意点

 見守りに関する介護の業務の向上につながるデジタル系見守り機器ですが、注意点もおさえておきましょう。

@ 通信環境の構築

 多くの機器はWi-Fi環境が構築されていることを前提としています。機器の導入には、Wi-Fi 環境の整備のための設備導入費用が発生しますし、被介護者の居室だけではなく、介護職員が勤務するフロア全体に電波を行き届かせるためには専門家のサポートが必要なこともあります。

A 見守り業務に関するオペレーションの変更

 既存の業務オペレーションのままでは、デジタル系見守り機器を導入後も、業務の効率化が進まない場合が数多くあります。例えば、睡眠型センサーの導入によって、遠隔で安否確認できる環境になっても、必要以上に訪室することで、見守りの業務効率は向上せず、職員の負担を増やすこともあります。機器の利用を組み込んだ見守り業務へと、オペレーションを変えていくことが必須です。

B 組織一体として取り組む意識

 機器を導入したものの、想定以上に介護職員の利用が進まず、機器を撤去したというケースもあります。当連載の第2回や第3回でご紹介したように、導入前には、業務改善のための委員会設置や業務改善課題の設定など、導入に関する共通の目的意識を持つことも必要です。導入後には、介護職員の利用状況調査を行い、業務課題の解決のために継続的に改善を図っていくことが必要でしょう。

※ この記事は月刊誌「WAM」2023年2月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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