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介護現場でのICT活用
〜企画・導入・運用〜


 全12回に渡って、介護施設でのICTの導入における企画・導入・運用のポイントについてをお届けします。


<執筆>
 社会福祉法人善光会 理事 宮本 隆史 氏


第7回:ケアテック(介護ロボット)活用による現場職員の負担軽減

 第7回目は、ケアテック(介護ロボット)を活用することの効果を、介護現場の職員の負担軽減という視点からご説明します。今後ますます深刻化が予測されている介護職員不足のなか、職員の負担軽減を図り、長く働きたいと思える職場づくりを行っていくことは重要です。当連載の第4回(タブレット型介護記録システム導入効果・注意点)での、記録作業に関する職員負担の大幅な軽減に続き、今回は、介護ロボットの活用による介護現場職員の負担軽減について、具体的に説明します。

@ 見守り機器による負担軽減

 夜勤業務では、排泄介助や見守り業務だけでなく、施設によっては洗濯・記録等さまざまな業務に追われ、忙しく勤務されている場合も多いかと思います。こうしたなか、安否確認のための定時巡回については見守りセンサーを活用することで、職員の勤務負担を大幅に軽減することが可能です。

 定時巡回は、すべての居室を訪室し、ドアを開けて、呼吸等に異常はないかといった安否確認や、また転倒・ずり落ちなどの事故はないかと確認していく業務です。このうち、安否確認や、転倒・ずり落ちなどの事故発見については見守り機器が有効です。

 社会福祉法人善光会(以下弊会)では、施設での安否確認については眠りSCAN(パラマウントベッド株式会社)、事故発見・防止を含めた行動検知にはHitomeQケアサポート(コニカミノルタQOLソリューションズ株式会社)を活用して、大幅な職員の勤務負担軽減を実現しました。

 眠りSCANが定時巡回で活用できるポイントは、モニター上で睡眠状態・呼吸値・心拍値といった定時巡回での安否確認事項をすべて一覧化できることです(図1)。1人当たりの介護職員が夜勤時に受け持つ20人の利用者情報がモニターでひと目で確認できます。これにより、弊会では20室すべて訪室すると1回当たりおおむね5分程度はかかっていた業務が、モニターを見て確認し、タブレット上の介護記録システムSCOP Home(弊会)に記録するだけで完了するようになりました。歩き回ることの身体的負担はゼロ、5分かかっていた業務は、特段の異常がなければ確認・記録にかかる数十秒程度です。夜勤全体に換算すると30分以上の大幅な時間削減となりました。

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 またHitomeQケアサポートは転倒・ずり落ちなどの事故発見で活用しています。HitomeQケアサポートは行動検知センサーであり、転倒による事故をはじめ、起床や離床、呼吸異常などの情報を感知します。異常があればスマートフォンへ通知を送り、その通知が届いたらアプリケーションで、映像を遠隔から確認することが可能です。転倒による事故発見はもちろんですが、転倒に繋がるリスクの可能性がある起床や離床といった情報も届くので、遠隔で必要な情報を入手できます。

 以上のように、弊会の施設では定時巡回で夜勤の職員がバタバタと歩き回って安否確認・異常確認をすることがなくなり、その分、眠れない方への傾聴や、認知症の方への対応など、利用者とのコミュニケーションにより時間を使うことが可能となりました。さらに、こうした見守りセンサーは看取りケアの際も利用者の異変を教えてくれるので、状態の変化が気になって他の業務に集中できないといったストレスの軽減になりました。弊会のアンケート結果では8割以上の職員から、業務負担の軽減を実感しているとの回答を得ています。

A 移乗支援機器による負担軽減

 また、移乗支援や入浴支援の介護ロボット機器の活用も、職員の負担軽減に有効です。移乗支援機器は、介護職員の身体に直接装着する装着型と、利用者自身に搭乗していただく非装着型の2つにわかれており、どちらも大柄な利用者を移乗する際に活用できます。装着型では介護者1人の身体負荷への直接的なサポートが期待でき、また非装着型では機器自体が利用者を支えることで持ち上げない介護が可能となり、負荷軽減につながります。

 弊会では、装着型ではHAL腰タイプ介護支援用(CYBERDYNE株式会社)、非装着型では移乗サポートロボットHugT1(株式会社FUJI)(図2)、ROBOHELPER SASUKE(マッスル株式会社)などを使用しており、どちらも介護職員の希望によって使用できる体制を整えています。

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 また非装着型のHugT1とROBOHELPER SASUKEは利用者の状態によって使い分けています。HugT1は利用者が搭乗すると、やさしく抱え上げる形で立位への転換ができ、そのまま立位保持した状態でズボン等の脱衣が可能になります。トイレに誘導しての排泄介助時に、2人がかりで介助している場合や、介助者の身体で利用者を支えるような場合に、介護者の負担軽減に繋がります。またROBOHELPER SASUKEは、シートごとベッドから抱き上げる動作が可能となり、シートに乗っている際に揺れがほとんど起きないことが特徴です。寝たきりの方の移乗時などで介護者の負担軽減につながっています。


B 入浴支援機器による身体的負担軽減

 また、入浴介助における機器の活用も負担の軽減につながります。入浴介助分野の介護ロボットは、個浴用の一般浴槽に特別な工事なく設置できることを前提に開発されているので、個浴での入浴介助で介護者の負担軽減を図ることが可能です。

 弊会のグループホームでは、wellsリフトキャリー(積水ホームテクノ株式会社)を導入しています。グループホームでは浴室のスペースが小さいこともあり、寝たまま入れるような機械浴の導入が難しいという実情がありました。当機器はシャワーキャリーと呼ばれる椅子本体とリフトが一体型になっているため、脱衣室から浴槽の出入りまで乗り換える必要がなく、キャリーに乗ったままでの入浴が可能となりました。利用者を入浴支援する際に介護者が抱きかかえるようなことがなくなり、介助者への負担軽減につながりました。

 また、弊会では、入浴するだけで皮脂の汚れを落とすことができるピュアット(株式会社金星)を導入しています(図3)。ピュアットは、浴槽に入れるシャワーヘッドから発生されるウルトラファインバブルが皮脂の汚れを除去してくれる装置です。身体拘縮のある方など、拘縮部位の洗身に手が行き届きにくい場合も、入浴するだけで汚れを落として清潔にしてくれるので、介助者の入浴介助時の洗いにくさなどを軽減することにつながります。

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※ この記事は月刊誌「WAM」2023年4月号に掲載された記事を一部編集したものです。
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