更生保護 〜 一人ひとりにできる立ち直り支援 〜
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犯罪や非行をした人の立ち直りには、重層的な支援が求められます。ここまでの事例で挙げられていたような、生きづらさを抱えた人たちへの支援には、国が実施する各種施策、地方公共団体が行う各種行政サービスに加えて、民間団体等やボランティアが行うきめ細かな支援が必要です。国・地方公共団体・民間団体等によりそれぞれ行われる取組が重層的に積み重なって、ネットワークとしての支援が行われる必要があります。
民間団体等が行う支援には、例えば次のようなものが挙げられます。
アイコンをクリックしてみてください。
【保護司による面接】
【広報啓発活動“社会を明るくする運動”】
犯罪や非行をした人が、保護観察に付された場合、最も身近で相談に応じるのが、保護司の方々です。日常生活に関すること、就労や交友関係に関すること、社会復帰に向けての不安や悩みなど、毎月の面接を通じて、指導や助言を行います。
全国で約47,000人が活動していますが,地域の人間関係の希薄化などを背景としたなり手不足により、現在、減少傾向にあります。若手や現役世代の人たちに、保護司制度を認知していただくなどして、なり手の方を安定的に確保していく必要があります。
犯罪や非行をした人の中には、頼るべき家族がいない、生活環境に恵まれない等、様々な理由で、社会復帰に当たって不可欠な住居がない人がいます。
そのような人たちのために、一時的な宿泊場所や食事を提供し、居場所となって、円滑な社会復帰を支えているのが、全国に103か所ある「更生保護施設」です。更生保護施設は、民間の更生保護法人等によって運営されており、施設長を始めとした職員の方々が、入所者の再出発を支えています。施設の中には、高齢者や障害者、薬物依存のある人への支援を行う専門職のスタッフを配置しているところもあります。
犯罪や非行をした人が立ち直るためには、就労し、自立を図ることが大切です。
仕事をすることは、生活の糧を得るだけでなく、自らが社会の一員として、社会に貢献していくための場を得ることでもあります。
犯罪や非行をした人に対し、就労を通じて自立を支援していく各種取組が行われており、その取組を支え、刑務所出所者等の雇用に協力いただいている方々が、協力雇用主です。
非行のある少年の中には、学校にうまく適応することができなかったり、修学に関する知識が乏しいなどの理由で、学びの機会が途絶えてしまう少年がいます。
また、非行の背景に不良仲間との交友がある少年は、友達との健全な交友関係の構築ができず、悩みや喜びを同年代の仲間たちと分かち合う経験に恵まれてこなかった人も少なくありません。
BBS(Big Brothers and Sisters)は、そのような少年たちに、同世代の姉や兄のような存在として支援活動を行うボランティアです。等身大の目線で少年たちにともだちとして接し、悩みや喜びを分かち合ったり、学びを支援したりしています。
犯罪や非行をした人の立ち直りを支援する活動に加えて、地域の犯罪や非行を予防し、安全・安心な町づくりを行うことも、更生保護の大きな活動の一つです。家族や地域における人間関係の希薄化などに伴い、悩みごとを周囲の人に相談できず、孤立を深める人がいます。
更生保護女性会は、女性ならではのきめ細やかな視点、「ほうっておけない」の精神のもと、地域の安全・安心に寄与する様々な活動を行っています。力を入れている活動の一つに「子育て支援」があります。これは、地域のお父さん・お母さんのために、子育てサロンを開くなどして、その拠り所となり、必要に応じて、きめ細やかな相談に乗るなどしています。
犯罪や非行をした人が立ち直るためには、彼らが地域で受け入れられることが必要不可欠です。しかし、一度悪いことをした人が本当に立ち直ることができるのだろうか、再び過ちを犯してしまうことはないのだろうか、という心配から、その社会復帰を地域で受け入れることに不安を持たれる場合があることも事実です。
立ち直ろうとする人の社会復帰を理解し、応援してくださる方々を増やすために、立ち直りを支援する営みがあるということ、そして、そのことの価値を広く社会に知ってもらうことができるよう、広報・啓発活動に努めています。
“社会を明るくする運動”〜犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ〜は、法務省が主唱し、地方公共団体や様々な民間団体が協力して行っている広報・啓発活動です。毎年7月を強調月間として、地域住民を対象とした街頭広報活動やシンポジウムなど、地域に根ざした様々な活動が行われています。
なお、令和2年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、人と対面しての活動が困難な状況となっていますが、SNSを通じた広報など、工夫を凝らした活動が展開されています。
犯罪や非行をした人の再犯を防止することは、国の重要な施策の一つです。しかし、犯罪や非行をした人の立ち直りを支援し、安全・安心な地域社会をつくるには、国だけではなく、様々な民間の方々の協力、そして、地域の方々の理解が欠かせません。
再犯防止をより効果的に推し進めるためには、教育、保健医療、福祉、就労、経済等、様々な分野と連携して取り組むことが大切です。また、地域には、これらの制度と制度の狭間に陥り、そのことで孤立と生きづらさを深める人たちがいます。インフォーマルな支援や、草の根の活動とも手を携えながら、生きづらさに対する支援が重層的に展開されること。そして、財政的な基盤が比較的弱いとされる、それらの小さな活動が、将来にわたって息長く続いていくよう、資金の手当てがきめ細やかになされることが必要です。