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8.給付管理業務8.給付管理業務
利用者が介護保険サービスを利用すると、サービス提供事業者は介護給付費(利用者負担分を除くサービス利用料)を国民健康保険団体連合会(以下「国保連」という。)に請求することとなります。国保連は審査を行ったうえで、サービス事業所に給付を行いますが、その審査の際に必要となるのが、ケアマネジャーが作成する書類です。ここでは、具体的にどのような書類を作成するのか一連の流れをとおしてみてみます。
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給付管理業務の流れと書類の作成について
ケアマネジャーが行う給付管理業務は、@1か月単位で個々の利用者の介護保険サービスの利用予定を作成し、Aサービス提供事業者との調整を行い、Bサービス提供後は実施内容を確認し、C国保連に必要書類を送付するという一連のプロセスから構成されています。この流れを具体的な書類の作成として、整理したのが以下の図です。 1.「サービス利用票」、「サービス利用票別表」の作成と交付 ケアマネジャーは利用者個々に、1か月単位で介護保険サービスの利用予定として「サービス利用票」と支給限度額の管理や利用者負担額などの概算書となる「サービス利用票別表」を作成(利用者用と事務所用に2部作成します)し、利用者に交付します。「サービス利用票」の内容に利用者の同意・確認を得られたら、「同意」を得たことの証拠となるように支援経過記録にその旨を記載するなどの方法をとることが求められています。そのうえで1部を利用者に交付し、1部を控えとして保管します。 2.「サービス提供票」、「サービス提供票別表」の作成と交付 次に、「サービス利用票」から各サービス事業者に関係する部分を転記して「サービス提供票」と支給限度額の管理を行うための「サービス提供票別表」を作成し、それぞれのサービス事業者に交付します。 3.実績が記入された「サービス提供票」、「サービス提供票別表」の確認 各サービス事業者は、「サービス提供票」にもとづいてサービスを行い、提供したサービスの実績をサービス提供票の「実績」欄に記入していきます。 その月のサービス提供がすべて完了した後、実績が記された「サービス提供票」および「サービス提供票別表」は、ケアマネジャーに返送されますので、そこに記されている実績を控えとして保管していた「サービス利用票(控)」に転記し、「サービス利用票(控)」の予定と「サービス提供票」の実績に食い違いがないか確認します。 仮に、利用者の都合などで予定通りにサービス提供がなされなかった場合は、利用者に確認をとるなどして、サービス事業者側の記す実績に間違いがないかを確かめ、「サービス利用票(控)」の実績欄を埋めていきます。 4.「給付管理票」の作成と国保連への送付 「サービス利用票(控)」が完成したら、その内容を転記して「給付管理票」を作成します。「給付管理票」は毎月10日までに国保連に提出します。その際、居宅介護支援にかかる費用の請求書(居宅介護給付費請求書)も作成し、あわせて送付します。 国保連には、各サービス事業者から介護給付費の請求書と明細書が届いています。明細書の内容とケアマネジャーから届く「給付管理票」を突合して確認が行われ、各サービス事業者に給付費が支払われるという流れになります。 給付管理業務を行う上で注意したいこと
サービス事業者は、国保連に請求書と明細書を出すだけでは介護給付費の支払いを受けることができません。必ずケアマネジャーが作成する「給付管理票」との突合が必要になります。仮に「給付管理票」に間違いがあり、事業者が提出した明細書と内容が一致しなければ、サービス事業者側に落ち度はなくても差し戻しとなってしまいます。 その場合、訂正を行って改めて請求をしたとしても、介護給付費の支払い月は後ろにずれることになり、サービス事業者にとっては損害となるおそれもあります。こうしたケースが発生すると、ケアマネジャーとサービス事業者の信頼関係にも影響が及びかねません。 こうした間違いは、両者の間でサービスの実績情報がリアルタイムで共有されていない、あるいはサービス提供票の実績と給付管理票の照らし合わせが万全でないといった場合に生じがちです。 間違いを防ぐためには、予定されたサービスが変更になった場合の連絡方法などをサービス事業者との間でルール化しておくことが必要です。また、余裕をもって給付管理業務を行えるよう、月末から翌月の10日までのスケジュールをしっかり整えておくことも重要です。
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