介護保険のサービス計画を作り、サービスの手配を行う
介護保険でサービスを使う人に対し、どのようなサービスが必要かを考え、介護サービス計画(ケアプラン)を立て、そのサービスを手配するのが、介護支援専門員(ケアマネジャー)です。計画は、利用する人本人やその家族の情報や状況を知り、思いや考えを聞いて、本人がもっている力をできる限り引き出すことに心を配ります。定期的に利用者の様子を確認し、必要に応じて細やかに計画を見直します。
計画を作成するうえで、利用者の病気の状態を詳しく知る必要があるため、その人の通院に付きそうこともあります。
居宅介護支援事業所を中心に、介護施設での勤務も
介護支援専門員は、自宅で生活する人のケアプランを作る居宅介護支援事業所に勤めています。施設やグループホームに所属して、その施設の入所者のための計画を作る人や、役所の相談窓口などで働く人もいます。
国が決めたレベルの高い研修を受けると、主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)になることができます。主任介護支援専門員になると、高齢者のさまざまな相談を受ける地域包括支援センターなどで働くことがあります。
居宅介護支援事業所で働く介護支援専門員の場合
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- 8:30
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出社・情報共有の打ち合わせ
担当している利用者さんについての生活変化などを報告。
制度に関する情報交換も行う
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- 9:00
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電話相談の対応
「新たに介護保険サービスを利用したい」という人からの電話相談に対応
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- 10:00
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新規の利用者Aさんの自宅を訪問
ワンポイント解説
利用者の中には、人を家に招き入れたり、自分のことについていろいろ聞かれることに慣れていない人もいます。その人の警戒心を和らげることも必要です。
ケアプランを作る前に、Aさんの主治医(かかりつけ医)から聞いた持病の情報をふまえて、自宅での生活ぶりなどの情報を収集
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- 11:30
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昼食・休憩
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- 12:30
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サービス担当者会議の資料整理
ワンポイント解説
介護支援専門員は、ケアプランを完成させる前に、実際に介護サービスを提供する担当者を集めて、利用者さん宅でサービス担当者会議を開催し、司会進行します。
サービス担当者会議の資料として、ケアプランの原案などを整える
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- 13:00
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新規の利用者Bさんの自宅でサービス担当者会議
Bさんのサービスに関係する専門職とともに、課題やサービスの内容を検討
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- 15:00
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利用者Cさんの自宅にモニタリング訪問
ワンポイント解説
担当する利用者さんに定期的に自宅を訪ねてサービス利用の様子などを確認することが義務づけられています。このように、五感を働かせて利用者さんなどから情報を引き出すことも大切です。
部屋の中が少し散らかっているように見えたので、本人に聞いたところ、「最近だるくて掃除ができない」とのこと。家族や医療職に伝えることを検討する
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- 16:00
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ケアプランの作成
今日訪問した利用者さんたちのケアプランの原案を作成。それをもとに、サービスを提供する事業者の調整も行う
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- 17:30
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終業
利用者さんの「自分から進んでする生活」が増えたとき
・訪問リハビリを入れたことで、台所に立てるようになった
・訪問介護により、「取り込んだ洗濯物はわたしがたたむ」など、役割によりできることが増えた
利用者さんの人間関係が豊かになったとき
・通所介護を手配したことで、人との交流が広がった
・家族の介護の負担が減り、家族の間に笑顔が増えた
サービスの担当者が専門的に動いてくれたとき
・計画の方針に沿って、ケアの内容を積極的に提案してくれる
・利用者さんの気になることがあると、速やかに伝えてくれる
都道府県実施の試験を受け、合格して実務研修を受ける
介護支援専門員にはまず、都道府県が実施する、研修を受講するための試験(介護支援専門員実務研修受講試験)を受けます。合格すると87時間の実務研修を受けられます。研修修了後、都道府県の介護支援専門員名簿に登録すると、介護支援専門員証が発行され、介護支援専門員として働くことができます。試験を受けるには、いくつかの条件があります。
1
医師や看護師(准看護師)、介護福祉士、社会福祉士、理学療法士などの医療・介護・リハビリ等の資格をもっていること
2
介護施設や障害者施設などで、相談援助の仕事をしていること
@Aを満たし、かつ@やAの仕事を5年以上していると受験資格が得られます。
なお、介護支援専門員になった後は、5年ごとに更新研修を受けることが必要です。これを受けないと、引き続き介護支援専門員として働くことができません。