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さまざまな 心の問題や悩みを分析して解決の道を探る
社会がますます複雑になる中、あらゆる世代の人がさまざまな心の問題や悩みを抱えがちです。こじれると、病気になったり、自らを傷つけたり、犯罪にかかわってしまうことさえあります。
そのような心の問題や悩みに対し、なぜそうなっているのかを専門的な視点で分析しながら、本人の治る力を引き出せるように一緒に解決していくのが臨床心理士です。
高齢者は、特に認知症のある人などで心理的な葛藤が強い傾向があり、ストレスが体調や行動に出やすくなるため、心理的ケアをしたり、介護をしている家族の相談にのることもあります。
臨床心理士は民間の団体が認定する資格で、歴史もあります。しかし、「安定して仕事につける資格があるとよい」と、国による資格を求める声が上がりました。そこで、2017年に、国による認定試験を合格した人を対象に、公認心理師という資格が生まれました。
心の問題で相談や助言が必要な人が頼る 幅広い機関
心の問題で悩む人に支援や治療を行う病院や精神保健福祉センターのほか、家庭事情などから心の問題を抱えがちな子どもたちを支える児童相談所や児童心理治療施設、さまざまな事情で犯罪をおかしてしまった人を立ち直らせる少年鑑別所・刑務所など、幅広い場で働いています。
最近では、施設で暮らしている高齢者の話を聞きながらメンタルケアをして悩みを解消する臨床心理士もいるほか、全ての学校に派遣することになったスクールカウンセラーの多くも臨床心理士や公認心理師の資格をもっています。
一般病院で働く臨床心理士の場合
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- 8:30
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出勤、院内での申し送り入院患者さんで心理相談が必要なケースなどを確認
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- 9:00
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患者Aさんに心理カウンセリングワンポイント解説ご自身や家族の病気に対する悩みを聞き、不安な思考をやわらげる方法を一緒に考える
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- 11:00
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病棟で患者Bさん・Cさんに対応病気への不安を訴えるBさん、家族に対する罪悪感をもつCさんの話をそれぞれていねいに聞き、心理的なケアを行う
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- 12:00
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昼食、休憩
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- 13:00
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患者Dさんのご家族の心理相談に対応ワンポイント解説Dさんへの介護負担で心の問題を抱えたご家族の相談にのる。病院の家族会への参加をうながした
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- 14:00
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難病の患者Eさんのカンファレンス(打ち合わせ)に参加ワンポイント解説Eさんは難病のため、看護師から最近心理面が不安定との報告があり、参加
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- 15:00
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精神疾患がある人のケースで地域ケア会議に参加ワンポイント解説地域でひとり暮らしをする精神疾患のあるFさんをどのように支援するか、多職種で話し合う
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- 16:30
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病院に戻り、その日の心理相談の記録を整理相談者への心理検査の結果を見て、どのような支援が必要かを考える
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- 17:30
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終業
心理的ケアを通じて、相談者をめぐる人間関係がよくなったとき
・人づきあいに不安を感じていた人が、周囲とよい関係を築けた
・ひきこもりの人と家族が、両者のケアを経て関係がよくなった
重い病気がある患者さんが、前向きな生活を取り戻したとき
・「生きていてもしかたない」と言っていた人が、意欲を取り戻した
・余命わずかの人が、「残りの人生を大切に生きる」と笑顔に
地域のさまざまな支援が、うまく回るようになったとき
・スクールカウンセリングを通じて、教育現場がいきいきした
臨床心理士・公認心理師それぞれ 試験に合格することが必要
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